JTがオーラルたばこ国内発売、煙なしで潜在客600万人
はじめに
日本たばこ産業(JT)が、たばこの新しい選択肢を日本市場に投入しました。2026年3月3日、小袋(パウチ)を口に含んで味や香りを楽しむ「オーラルたばこ」の新ブランド「ノルディックスピリット」を発売したのです。紙巻きたばこや加熱式たばことは異なり、煙も蒸気もにおいも出ないため、原則としてどこでも使用できます。JTは潜在的な顧客を600万人と見込んでおり、すでに競合2社が先行する市場でシェアトップを狙う方針です。
オーラルたばことは
使い方と特徴
オーラルたばこは、ニコチンを含む小さなパウチを上唇と歯茎の間に挟んで使用する製品です。口に含むだけで、約30分間にわたり味わいや香りを楽しめます。火を使わず、電子デバイスも不要で、煙や蒸気を一切発生させません。
JTの「ノルディックスピリット」はスウェーデン製で、モダンオーラル発祥の地の製法を採用しています。素材や品質にこだわった製品だとJTは説明しています。「リフレッシュパウチ」というカテゴリ名で、たばこの新しいスタイルを提案する位置づけです。両手がふさがらないハンズフリーで使えるのも特徴の一つです。
製品ラインナップと価格
発売時のラインナップは「コーラフィズ・ミディアム」で、3月3日からCLUB JTオンラインショップで先行発売されました。4月6日からは全国のセブン-イレブン、ローソン、NewDaysで順次販売が始まります。「ベリーミックス・ミディアム」も3月中旬からオンラインで発売予定です。14袋入りで価格は500円です。
競争が激化するオーラルたばこ市場
先行する競合2社
日本のオーラルたばこ市場では、すでに2社が製品を展開しています。ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の「VELO(ベロ)」と、フィリップ・モリス・ジャパン(PMJ)の「ZYN BY IQOS(ジン・バイ・アイコス)」です。
BATのVELOは日本人向けに開発された「純白パウチ」を使用し、紙巻きたばこと比較して有害性物質の発生を約99%カットしたとされています。コンビニエンスストアを中心に販売網を構築済みです。PMJの「ZYN BY IQOS」は2025年7月にエリア限定で発売され、高品質なたばこ葉の粉末と抽出ニコチンを配合しています。
JTの参入戦略
JTは後発ながら、その販売力と流通網を武器にシェア獲得を目指します。JTは日本のたばこ市場で圧倒的なシェアを持ち、コンビニエンスストアとの関係も深い企業です。全国のコンビニで一斉に展開することで、先行する2社との差を一気に縮める狙いがあります。
オーラルたばこ市場自体がまだ立ち上がったばかりの段階です。市場が成熟する前にJTが参入したことで、3社による激しいシェア争いが展開される見込みです。
注意点・展望
600万人の潜在顧客とは
JTが見込む潜在顧客600万人は、現在のたばこユーザーの中で「においを気にしている」「喫煙スペースを探すのが面倒」「周囲への配慮からたばこの使用頻度を減らしている」といった不満を抱える層です。オーラルたばこは受動喫煙のリスクがなく、新幹線や飛行機の中、会議中やリモートワーク中など、場所を選ばずに使えるため、これらの層に訴求できると考えています。
規制面の動向
オーラルたばこは「たばこ製品」として規制されるため、20歳未満への販売は禁止されています。JTは2026年2月に財務省からの認可を取得し、正式に国内販売の許可を受けました。ただし、使用場所について明確な規制はまだ整備されていません。煙やにおいがないため「原則どこでも使える」とされていますが、施設ごとの判断に委ねられる部分が多く、今後のルール整備が注目されます。
世界市場の動向
オーラルたばこはスウェーデンを中心に北欧で長い歴史を持つ製品カテゴリです。スウェーデンでは「スヌース」と呼ばれ、国民の間で広く普及しています。近年は米国でもZYNブランドを中心に急成長しており、グローバルなたばこメーカー各社が次の成長分野として注力しています。日本市場はこのグローバルトレンドに遅れて参入した形ですが、喫煙規制の厳格化が進む中で成長余地は大きいと見られています。
まとめ
JTの「ノルディックスピリット」参入により、日本のオーラルたばこ市場はBAT、PMJ、JTの3社体制となりました。煙もにおいも出さない新しいたばこの形態は、喫煙環境が厳しくなる日本で一定の需要を獲得する可能性があります。500円という手頃な価格設定と全国のコンビニでの販売体制を武器に、JTが後発から巻き返しを図ります。まだ黎明期にあるこの市場が今後どこまで拡大するのか、消費者の反応と各社の競争戦略が注目されます。
参考資料:
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