JT株価が反落、最高益見通しも市場予想届かず
はじめに
2月13日の東京株式市場で、JT(日本たばこ産業、証券コード2914)の株価が反落しました。終値は前日比173円(2.81%)安の5,967円となっています。同社は2026年12月期の連結純利益が前期比12%増の過去最高益になるとの見通しを発表しましたが、市場の期待水準には届かず、売りが優勢となりました。
この日は日経平均株価全体も前日比697円安の5万6,941円と続落しており、相場全体の軟調さもJT株の下押し要因となりました。この記事では、JTの決算内容と市場の反応、そして今後の展望について解説します。
JTの決算と業績見通し
2025年12月期の好決算
JTが発表した2025年12月期の連結決算(国際会計基準)は、売上収益が前期比13.4%増の3兆4,677億円、調整後営業利益が同21.5%増の9,022億円と、いずれも過去最高を更新する好決算でした。トルコやロシアなど海外市場で紙巻きたばこの需要が想定を上回って推移したことが主な要因です。
年間配当は当初予想の208円から234円に引き上げられ、26円の増配が実施されました。
2026年12月期の見通し
2026年12月期の業績予想は、売上収益が前期比7%増の3兆6,970億円、調整後営業利益が同8%増の9,550億円としています。連結純利益は前期比12%増の5,700億円を見込み、過去最高益を更新する計画です。
配当は前期比8円増の年間242円を予定しており、2年連続の増配となります。フィリピンや英国などでの紙巻きたばこの値上げが業績を押し上げる見込みです。
市場予想との乖離
過去最高益の見通しにもかかわらず株価が反落した理由は、市場の期待値との差にあります。アナリストのコンセンサス予想はJTの会社予想を上回る水準にあり、「最高益だが期待に届かない」という評価になりました。高配当株として人気のJTは、機関投資家やアナリストの注目度が高く、わずかな期待値とのギャップが株価に影響しやすい銘柄です。
日本株市場全体の動向
日経平均697円安の背景
2月13日の日経平均株価は、前日比697円87銭(1.21%)安の5万6,941円97銭で取引を終えました。一時は下げ幅が900円を超え、心理的節目の5万7,000円を下回る場面もありました。
下落の主因は、前日の米国株式市場の下落です。高性能なAIが幅広い業務を代替し、企業の採算が悪化するとの懸念から、米国のIT・ハイテク関連株に売りが広がりました。この流れが日本市場にも波及し、朝方から利益確定売りが優勢となりました。
半導体関連株の動向
日経平均は大幅安で始まったものの、売り一巡後は下げ渋る展開となりました。半導体製造装置のアプライドマテリアルズ(AMAT)が市場予想を上回る業績見通しを発表し、米国時間外取引で10%以上上昇したことを受けて、アドバンテストや東京エレクトロンなどの値がさ半導体関連株に買いが入りました。
注意点・展望
たばこ事業の構造変化
JTの成長戦略のカギを握るのが、加熱式たばこへの転換です。同社は今後3年間で約8,000億円を加熱式たばこなどに投資する計画を掲げています。紙巻きたばこで得た利益を原資に、次世代製品への移行を進める構えです。
世界的な健康志向の高まりや各国の規制強化により、紙巻きたばこ市場は中長期的に縮小が見込まれます。加熱式たばこ市場では、フィリップ・モリスの「IQOS」やブリティッシュ・アメリカン・タバコの「glo」との競争が激化しており、JTの「Ploom」がどこまでシェアを拡大できるかが問われています。
為替リスク
JTは海外売上比率が高く、為替変動の影響を大きく受けます。円安はJTにとって追い風となりますが、為替一定ベースでの調整後営業利益は年平均成長率で1ケタ台後半の伸びにとどまる見通しです。為替動向次第では、業績見通しの上振れ・下振れの可能性があります。
高配当株としての魅力
JTは配当利回りが約4%台と高水準を維持しており、個人投資家を中心に高配当株として根強い人気があります。配当性向75%程度を維持する方針を掲げており、業績の成長に伴い増配が期待できる構造です。ただし、株価が好業績を織り込んだ水準にある場合、短期的な調整が起きやすい点には注意が必要です。
まとめ
JTの2026年12月期は過去最高益を見込む堅調な業績見通しですが、市場の高い期待値に届かなかったことが株価反落の要因となりました。たばこ事業は紙巻きから加熱式への転換期にあり、約8,000億円の投資計画の成否が中長期的な成長を左右します。
高配当銘柄としての魅力を維持しつつ、次世代製品で競争力を確保できるかが今後の注目点です。投資判断にあたっては、為替動向と加熱式たばこ市場での競争環境を注視する必要があります。
参考資料:
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