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by nicoxz

キオクシアがサンディスクと合弁延長で1700億円獲得

by nicoxz
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はじめに

キオクシアホールディングスは2026年1月30日、三重県四日市市の四日市工場における米サンディスクとの合弁契約を5年間延長し、2034年12月末までとすることを発表しました。この契約延長の最大の注目点は、サンディスクからキオクシアに対して合計11億6500万ドル(約1782億円)が支払われることです。

NANDフラッシュメモリ市場は、生成AIの普及やデータセンター需要の拡大を背景に大きな転換期を迎えています。この合弁延長は、生産拠点を握るキオクシアの交渉力の強さを示すものであり、今後のメモリ業界の勢力図にも影響を与える可能性があります。

キオクシアとサンディスクの合弁関係

20年以上にわたる協業の歴史

キオクシア(旧東芝メモリ)とサンディスクの合弁関係は、2000年代初頭にまで遡ります。四日市工場でのフラッシュメモリ共同生産は、両社が設備投資を分担しながらNANDフラッシュメモリを製造するという独特のビジネスモデルで成り立ってきました。

サンディスクは自社で海外に製造工場を持たず、四日市工場と岩手県北上市の北上工場でキオクシアとの合弁を通じて製品を調達しています。この構造が、今回の交渉でキオクシアが優位に立てた大きな要因です。

契約延長の具体的内容

今回の契約延長では、以下の点が明らかになっています。

  • 四日市工場の合弁契約を従来の2029年末から2034年末まで5年間延長
  • 北上工場はすでに2034年末までの契約期間となっており、両拠点の契約期間が統一される形に
  • サンディスクは製造サービスと継続的な製品供給の確保を目的に、11億6500万ドルを2026年から2029年にかけて分割で支払う

交渉の背景と1700億円の意味

生産を握るキオクシアの強み

今回の契約で特筆すべきは、サンディスクがキオクシアに対して約1782億円もの大金を支払う点です。これは単なる契約延長の対価ではなく、「製造能力の確保」に対するプレミアムと位置づけられます。

サンディスクにとって、キオクシアとの合弁がなければ自社製品の安定的な生産基盤を失うことになります。特に生成AI需要の高まりによりNAND型フラッシュメモリの需要が拡大する中で、製造拠点の確保は経営上の最優先課題です。

サンディスクの好調な業績が後押し

契約延長の発表と同時期に、サンディスクは2025年10〜12月期の決算を公表しました。売上高は前年同期比61%増、純利益は同7.7倍と大幅に拡大しています。この好業績が、高額な契約条件を受け入れる余力をサンディスクに与えたと考えられます。

決算発表を受けてサンディスクの株価は時間外取引で22.94%上昇し、投資家の期待の高さを示しました。キオクシアの株価も連想買いで大幅に上昇しています。

NAND市場におけるキオクシアの立ち位置

シェア低下と利益重視への転換

かつてキオクシアはNANDフラッシュメモリ市場で30%近いシェアを誇っていましたが、近年はシェアが低下傾向にあります。2024年時点では約17%、2025年第2四半期には13%台にまで下がりました。

この背景には、3D-NAND(BiCS FLASH)の技術開発が競合他社に比べて2世代程度遅れていることがあります。市場シェアではサムスン電子(約33%)やSKハイニックス(約21%)に差をつけられています。

利益率重視と新たな成長戦略

キオクシアは市場シェアを追う戦略から利益率重視へと方針を転換しています。設備投資は売上収益の20%以内に抑える方針を掲げ、効率的な経営を目指しています。

注目すべきは、AI向けSSD市場への注力です。キオクシアは2026年をめどに第10世代の最先端NAND型フラッシュメモリの量産を計画しており、推論用AIに向けたSSD製品群を拡充しています。さらにNVIDIAと共同で、従来比100倍に迫る動作速度を実現するSSDを開発し、2027年に製品化する予定です。

SSD市場で15%のシェア獲得を目指すというキオクシアの戦略は、単なるメモリチップの供給者から、AI時代のストレージソリューションプロバイダーへと変貌を遂げようとしていることを示しています。

注意点・展望

合弁関係のリスク要因

合弁契約の延長は両社にとってメリットが大きい一方で、リスクも存在します。NAND市場は需給変動が激しく、メモリ価格の急落が起きれば両社の収益に影響を及ぼします。実際、2025年第1四半期には主要5社の合計収益が前期比約24%下落する場面がありました。

また、キオクシアとサンディスクの関係は、かつての東芝メモリ売却問題の際にも緊張が走ったことがあります。長期的な合弁関係の維持には、技術開発の方向性や投資判断の一致が不可欠です。

今後の注目ポイント

2034年までの合弁延長により、両社は中長期的な視野で設備投資やAI向け製品開発を進められる体制が整いました。今後はスマートファクトリー化の推進や、生成AI需要の取り込みがどこまで進むかが焦点となります。

まとめ

キオクシアとサンディスクの合弁契約延長は、生産能力を握るキオクシアが交渉において有利な条件を引き出した形となりました。約1782億円の受け取りは、今後の技術開発や設備投資の原資として活用されることが期待されます。

NANDフラッシュメモリ市場は生成AI需要で成長が見込まれる一方、競争も激化しています。キオクシアがシェア回復よりも利益率とAI向け高付加価値製品に注力する戦略が、今後どのような成果をもたらすか注目されます。メモリ業界への投資を検討している方は、両社の四半期決算やNAND市場全体の需給動向を継続的にチェックすることをお勧めします。

参考資料:

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