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by nicoxz

衆院選で自民に保守層回帰、参政党との競合の行方

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はじめに

2026年2月8日投開票の衆議院議員総選挙が1月27日に公示されました。高市早苗首相による国会冒頭解散を受けた短期決戦です。序盤の情勢調査では、自民党が参政党と競合する小選挙区の7割超で「有力」または「優勢」との結果が出ています。

2024年の前回衆院選では、石破茂前政権の下で自民党から保守層が流出し、参政党や日本保守党が議席を伸ばしました。今回の選挙では、高市首相の就任によって保守層が自民党に回帰しつつある可能性が指摘されています。本記事では、この保守層の動向と選挙の見通しを詳しく解説します。

高市政権誕生と衆院解散の背景

冒頭解散に踏み切った理由

高市首相は2025年10月の自民党総裁選で勝利し、就任からわずか3か月で衆院解散に踏み切りました。1月23日の通常国会召集当日に解散を表明するという「冒頭解散」です。

解散の狙いは明確です。内閣支持率が約70%と高水準にあるうちに選挙を実施し、2024年衆院選で失った議席を回復することです。自民党内からも「支持率が高いうちに早く解散した方がよい」という声が上がっていました。

高市首相は与党で過半数(233議席)の獲得を目標に掲げ、「下回った場合は即刻退陣する」と明言しています。解散時点で自民党は196議席、連立を組む日本維新の会は34議席で、合計230議席と過半数をわずか3議席下回る状況でした。

公明党の連立離脱と新たな政治構図

今回の選挙で注目すべきは、政治構図の大きな変化です。公明党が自民党との連立を解消し、立憲民主党と新党「中道改革連合」を結成しました。公明党内には「自民が高市総裁でなければ連立離脱もなかった」との声もあり、高市首相の保守色の強い政治姿勢が連立組み替えの一因とされています。

この結果、選挙の構図は大きく変わりました。自民党はこれまで頼りにしてきた公明党の組織票を失う一方、維新との連立で新たな支持基盤の構築を迫られています。

自民党と参政党の競合構図

全289選挙区の6割で直接対決

参政党は今回の衆院選で178人の候補者擁立を発表しました。全289小選挙区のうち約6割にあたる182選挙区で自民党候補と直接競合する構図です。

序盤の情勢調査によると、この競合区のうち自民党候補が「有力」とされた選挙区が35%、「優勢」とされた選挙区と合わせると7割を超えています。前回衆院選で保守層の流出に苦しんだ自民党にとって、巻き返しの兆しが見えています。

保守層回帰の背景

保守層が自民党に戻りつつある要因として、以下の点が挙げられます。

第一に、高市首相自身の保守的な政策姿勢です。安全保障政策の強化、憲法改正への積極姿勢、外国人政策の見直しなど、保守層が重視する政策を前面に打ち出しています。自民党は選挙公約で「政策大転換には強い信任が今こそ必要」と訴えています。

第二に、参政党の組織力の限界です。参政党は2024年の参院選で躍進しましたが、全国の小選挙区で自民党に対抗できるだけの候補者の知名度や組織基盤は十分とは言えません。東洋経済の分析では、自民党大勝シナリオの場合「保守票を奪うとみられた参政党の伸びも限定的」とされています。

第三に、「高市効果」による支持の集約です。保守層の間では「高市首相個人は支持するが、自民党そのものを積極的に支持しているわけではない」という声もありますが、選挙では結果的に自民党への投票につながる傾向があります。

各党の支持動向と選挙の焦点

比例区の投票先調査

紀尾井町戦略研究所の調査によると、比例区の投票先は自民党21%、中道改革連合8%、国民民主党7%、維新4%、参政党4%です。自民党がトップではあるものの、2024年衆院選直前の36%と比べると大幅に低い数字です。

選挙ドットコムの電話調査では、自民党と維新、参政党、日本保守党が前月より支持率を下げた一方、国民民主党やれいわ新選組が上昇しています。

3つのシナリオ

東洋経済の分析では、今回の衆院選の結果として3つのシナリオが提示されています。

  1. 自民勝利シナリオ:高市人気が持続し、保守票が自民に集約。参政党の伸びは限定的
  2. 中道勝利シナリオ:立憲・公明の新党が無党派層を取り込み、都市部で躍進
  3. 勢力拮抗シナリオ:与野党ともに過半数に届かず、連立の組み替えが必要に

週刊文春は参政党の議席が「7倍」に増える可能性も指摘しており、保守票の行方は最後まで予断を許しません。

注意点・展望

「高市人気」と「自民支持」のギャップ

情勢を見る上で注意が必要なのは、内閣支持率の高さが必ずしも自民党への投票に直結しないという点です。菅原琢氏の分析では「支持率と自民党支持は別」と指摘されており、高い内閣支持率が自民党の議席増を保証するわけではありません。

元自民党事務局長の久米晃氏も「自民党にとって得なことは一つもない選挙だ」と厳しい見方を示しています。公明票の喪失を保守層の回帰だけで補えるかが最大の焦点です。

投票率と無党派層の動向

短期決戦となる今回の選挙では、投票率が結果を大きく左右します。無党派層の投票行動は選挙戦終盤まで流動的であり、序盤情勢がそのまま結果に反映されるとは限りません。物価高対策や外国人政策といった争点がどの程度有権者の投票行動に影響するかも注目されます。

まとめ

2026年衆院選の序盤情勢では、高市首相の保守的な政策姿勢を背景に、参政党との競合区で自民党が優位に立っています。前回選挙で流出した保守層の一部が自民党に回帰しつつある兆候が見られます。

ただし、公明票の喪失、比例区での自民支持率の低迷、内閣支持率と党支持率のギャップなど、不確定要素は多く残ります。2月8日の投開票日まで、各党の選挙戦略と有権者の動向を注視する必要があります。

参考資料:

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