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by nicoxz

参政党が自民党「王国」に刺客擁立、保守票争奪戦の行方

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はじめに

2026年2月8日投開票の衆議院選挙に向けて、参政党が大規模な候補者擁立を進めています。神谷宗幣代表は1月21日の記者会見で、全国160人以上の候補者を小選挙区で擁立する方針を明らかにしました。

注目すべきは、その擁立基準です。参政党は単に数を増やすのではなく、「親高市」か否かという独自の基準で選挙区を選別しています。高市早苗首相を支持する自民党議員の選挙区は避け、「高市首相の足を引っ張る」議員には積極的に刺客を送り込むという戦略です。

この記事では、参政党の刺客戦略の詳細、自民党との保守票争奪戦の構図、そして今後の政界への影響について解説します。

参政党の大規模擁立戦略

160人規模の候補者を全国に展開

参政党の神谷宗幣代表は、2026年衆院選に向けて160人以上の候補者を小選挙区で擁立する方針を示しています。1月21日時点で143人の擁立を発表しており、残りの候補者についても衆議院解散日の23日と26日に追加発表するとしています。

同日には新人82人の擁立も発表され、元自民党参院議員の和田政宗氏が宮城2区から出馬することも明らかになりました。

2024年の前回衆院選では、参政党は首都圏や大阪圏の小選挙区を中心に候補者を立てていました。しかし今回は地方の選挙区にも大幅に擁立を広げ、自民党が長年議席を守ってきた「自民王国」と呼ばれる地域にも積極的に候補者を送り込む方針です。

「自民党と正面からガチンコで戦う」

神谷代表は記者会見で「自民党と正面からガチンコで戦う」と明言しました。参政党は2020年に結党された比較的新しい政党ですが、地方議員数は140人を超え、国民民主党に匹敵する規模に成長しています。

全国47都道府県に支部を設置し、地方選挙で93.5%という高い勝率を誇っています。この地方組織の基盤を活かして、今回は全国規模での戦いに挑みます。

2025年7月の参院選では14議席を獲得して躍進しており、今回の衆院選では現有3議席から15〜40議席への大幅な議席増を目指しています。

「親高市」か否かで選別する擁立基準

高市支持派は避け、反高市派には刺客を

参政党の擁立戦略で最も特徴的なのは、「親高市」か否かという基準で選挙区を選別している点です。

神谷代表は東スポのインタビューで、その方針を具体的に説明しています。「高市さんの政策に対してポジティブに進めようとしている議員さんたちを落としてしまうと、高市さんの党内の基盤が弱くなってしまいますから、そういう人はなるべく避けていこうと」と述べました。

一方で「高市さんの足を引っ張ろうとしている自民党の議員もいるので、そういう人たちはいない方がいいじゃないの、ということを頭の片隅では考えている」とも発言しています。

つまり、自民党内のリベラル派や、高市首相に批判的な議員の選挙区には積極的に刺客候補を送り込み、保守派議員の選挙区は避けるという戦略です。

自民党との連立は否定しつつ是々非々の姿勢

ただし、神谷代表は自民党との連立については明確に否定しています。2025年10月に高市早苗総裁が就任した際、「党の状態が未完成なので全く検討もしていない」と述べました。

時事通信のインタビューでは「今の力では利用されて終わるだけだ。だから入らない」と、より踏み込んだ発言もしています。

一方で、政策面では是々非々の姿勢を示しています。「政策が近いものは協力はできると思う。国益にかなうようなものは賛成する」とし、「高市氏について半分ぐらい政策は合う。合う政策はもちろん協力する。そうでなければ徹底的に非難する」と述べています。

保守票争奪戦の背景

高市政権誕生で変わった構図

2025年10月の自民党総裁選で高市早苗氏が勝利し、首相に就任したことで、保守票をめぐる構図は大きく変化しました。

高市氏は党員・党友票で他候補を圧倒して勝利しました。「失われた30年」での経済低迷や物価上昇に賃上げが追いつかない状況の中、保守層からは「安倍路線への回帰」を求める声が高まっていたのです。

国民民主党の「手取りを増やす」政策や、参政党の「日本人ファースト」といった主張によって、自民党から保守層が流出していました。高市氏の総裁就任は、この流れを食い止める狙いがあったとされています。

参政党の「がっかり」と独自路線

しかし、神谷代表は高市首相の所信表明演説について「かなり期待をして臨んだが、正直感想を言うと、ちょっとがっかりしている」と批判しました。

「結局、自民党の枠を超えていない」「新自由主義的なグローバリズムの流れから脱していない政策」と評価し、消費税減税への言及がないことや教育政策の薄さにも失望を示しています。

神谷代表は「高市氏もどちらかというとグローバリズム側。『グローバリズム保守』だ。われわれが反グローバリズムでぶれない限り、対立軸は明確だ」と述べ、参政党独自の立ち位置を明確にしています。

今後の展望と注意点

保守分裂で野党に漁夫の利も

参政党の大規模な刺客擁立は、自民党にとって大きな脅威となります。特に地方の「自民王国」と呼ばれる選挙区では、保守票が参政党に流れることで、自民党候補の得票が減少する可能性があります。

しかし、保守票が分裂することで、立憲民主党など野党候補に漁夫の利をもたらす可能性もあります。自民党と参政党が互いに票を奪い合う構図は、結果的に野党を利する展開になりかねません。

選挙後の政界再編の可能性

週刊文春は「選挙後に合流? 参政党・神谷宗幣が目論む高市自民との魔合体」という見出しで報じています。現時点で連立は否定されていますが、選挙結果次第では政界再編の動きが出てくる可能性も指摘されています。

神谷代表は2025年7月の参院選躍進後、次の衆院選で与党入りを目指すと発言していた経緯もあります。参政党が大幅に議席を伸ばした場合、自民党との協力関係がどうなるかは注目点の一つです。

まとめ

参政党は2026年衆院選で160人規模の候補者を擁立し、自民党の「王国」に刺客を送り込む戦略を展開しています。「親高市」か否かという独自の基準で選挙区を選別し、自民党から保守票を奪う狙いです。

一方で、高市首相への「がっかり」発言に見られるように、政策面では独自の反グローバリズム路線を打ち出し、自民党との差別化も図っています。連立は否定しつつも是々非々で協力するという複雑なスタンスです。

2月8日の投開票に向けて、保守票の行方と、選挙後の政界再編の可能性に注目が集まります。

参考資料:

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