衆院選比例代表で自民が全地域リード、中道は苦戦
はじめに
2026年衆院選が1月27日に公示され、2月8日の投開票に向けた選挙戦がスタートしました。各報道機関が実施した序盤情勢調査では、比例代表において自民党が全ブロックでリードする展開となっています。
一方、立憲民主党と公明党が合流して結成された新党「中道改革連合」は、新党名の浸透不足や若年層への訴求力の弱さが課題として浮き彫りになっています。定数176の比例代表は各党の基礎体力を映す鏡であり、その動向は選挙全体の行方を大きく左右します。
本記事では、比例代表の序盤情勢と各党の戦略、そして若年層の投票動向について詳しく解説します。
自民党が比例で大幅上積みの勢い
全ブロックでトップを維持
序盤情勢調査によると、自民党は比例代表の全11ブロックでトップの支持を集めています。紀尾井町戦略研究所が1月19〜20日に実施した調査では、比例投票先として自民党を挙げた有権者は21%に達しました。これは前回2024年衆院選の同時期と比較して9ポイントの増加です。
共同通信のトレンド調査でも、自民党は比例投票先で29.2%を獲得し、他党を大きく引き離しています。2024年衆院選で獲得した59議席から大幅に上積みし、2021年衆院選で記録した72議席を上回る勢いです。
高市政権の求心力が追い風に
自民党の比例好調の背景には、高市早苗首相の政権運営への一定の評価があります。高市首相は「与党で過半数を下回った場合は即刻退陣する」と明言しており、この姿勢が有権者に対する覚悟として受け止められている面があります。
ただし、一部の分析では内閣支持率の高さが「不支持留保の支持」で膨れ上がっている可能性も指摘されています。実際の投票行動に結びつくかどうかは、選挙戦終盤の情勢次第です。
世代を超えた支持の広がり
自民党の強みは世代を問わず幅広い支持を集めている点です。共同通信の調査では、30代以下の若年層で24.5%、40〜50代の中年層で29.8%、60代以上の高年層で31.3%と、全世代で安定した数字を示しています。特定の世代に偏らない支持基盤が、比例代表での議席上積みを支えています。
中道改革連合が直面する3つの課題
新党名の浸透不足
中道改革連合は2026年1月16日に結成されたばかりの新党です。立憲民主党から144人、公明党から21人の計165人の国会議員が参加し、野田佳彦・斉藤鉄夫の両氏が共同代表に就任しました。
しかし、結成から公示までわずか10日余りという短期間では、新党名の認知度が十分に広がっていません。世論調査でも新党結成について「良くなかったと思う」が47.7%と、「良かったと思う」の22.0%を大きく上回っています。有権者にとって馴染みのない党名が、比例投票先の選択に影響を与えている可能性があります。
若年層の支持が極端に低い
中道改革連合の最大の課題は若年層の支持率の低さです。共同通信の調査では、30代以下の比例投票先としての支持率はわずか1.0%にとどまっています。一方で60代以上の高年層では22.9%と自民党に迫る数字を示しており、世代間の支持格差が極めて大きい状況です。
若年層の受け皿となっているのは国民民主党です。18〜29歳では国民民主がトップの29%を獲得しています。「手取りを増やす」という明確なメッセージが若者に響いている一方、中道改革連合の政策は若年層にとって訴求力が弱いと見られています。
比例戦略の構造的な問題
中道改革連合は比例名簿において、公明党出身者28人を各ブロックの上位に登載しました。これは公明党との合流条件を反映した人事です。小選挙区では旧立憲候補を公明支持層が応援し、比例では公明出身者を優遇するという相互協力の構図です。
しかし、この戦略が有権者にとってわかりにくいものとなっている面は否めません。政策面では食料品消費税ゼロ、非核三原則の堅持、選択的夫婦別姓の導入などで一致していますが、旧来の支持層以外への浸透には時間がかかる見通しです。
注目される第三極の動向
国民民主党の若者票獲得
国民民主党は与党とも中道改革連合とも距離を置く「フリーハンド」戦略を採用しています。比例投票先では全体で7%と第3位につけており、特に若年層での支持が際立っています。社会保険料の引き下げや可処分所得の増加といった「手取りを増やす」政策が、生活実感に直結するメッセージとして若い世代に支持されています。
維新・参政党の存在感
日本維新の会は与党の一角として比例4%を確保しています。参政党も同じく4%を獲得し、特に40〜50代の壮年層で支持を集めています。これらの政党がどこまで比例議席を伸ばすかも、全体の議席配分に影響を与えます。
注意点・展望
序盤情勢調査はあくまで公示直後の一時点を捉えたものです。選挙戦中盤から終盤にかけて情勢が変動する可能性は十分にあります。特に中道改革連合については、新党名が浸透するにつれて数字が改善する余地があります。
与党の自民・維新は解散時点で合計230議席と過半数233議席を下回っていました。高市首相が掲げた「与党過半数」のラインを巡る攻防が、比例代表の議席争いにも直結します。
また、投票率が選挙結果を大きく左右する要素であることも見逃せません。若年層の投票率が上昇すれば国民民主党が躍進し、高齢層の投票率が高ければ中道改革連合に有利に働くという構図です。
まとめ
2026年衆院選の比例代表は、自民党が全ブロックでリードする一方、中道改革連合は新党名の浸透不足と若年層の支持獲得に苦戦しています。国民民主党が若者の受け皿として存在感を示しており、比例戦線は多極化の様相を呈しています。
2月8日の投開票まで残りわずかです。各党がどのように無党派層や若年層にアプローチするかが、最終的な議席数を左右する鍵となります。有権者としては、各党の政策をしっかり比較した上で投票に臨むことが重要です。
参考資料:
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