マッキンゼーが数千人削減へ AI効率化で組織再編加速
米マッキンゼー、数千人規模の人員削減へ
AI導入による効率化で組織再編を本格化、今後2年で段階的に実施
米大手コンサルティング会社 マッキンゼー・アンド・カンパニー が、管理・間接部門(バックオフィス)を中心に数千人規模の人員削減を計画していることが15日、ブルームバーグ通信の報道で明らかになりました。
報道によると、マッキンゼーの経営陣は社内で「約1割の削減が必要」と伝えており、今後18〜24カ月かけて段階的に進める計画です。削減対象は顧客対応を行わない部門が中心で、AIや自動化技術の活用によって業務を代替していくとみられます。
背景:AI普及とコンサル業界の構造転換
マッキンゼーの従業員数は2022年時点で約4万5000人でしたが、現在は約4万人に減少。2025年11月にはテクノロジー関連部門で約200人の削減を実施しており、AI活用による業務効率化を進めています。
同社はクライアント企業向けにAI導入を支援する立場でありながら、自社の組織運営にもAIを積極的に取り入れる姿勢を鮮明にしています。管理・経理・データ処理などの定型業務は自動化が進み、人員最適化の対象になりやすい領域といえます。
コンサル業界全体にも波及
マッキンゼーに限らず、コンサルティング大手ではAIシフトを背景に人員整理が進んでいます。
- アクセンチュア:2025年9月、約1万1000人の削減計画を発表。
- PwC:米国で150人削減、過去1年間で累計5600人削減。
- EY、BCGなども自動化と効率化を理由に組織再編を進めています。
AIがレポート作成やデータ分析などの定型業務を代替しつつある中、各社は高付加価値領域へのシフトとコスト構造改革を同時に進めています。
マッキンゼーのコメントと今後の展望
マッキンゼーは現時点で公式な声明を発表していませんが、関係者によると「AI活用による業務効率化と専門領域への集中が目的」としています。今後は生成AIツールを活用したコンサルティング業務の再設計や、データ駆動型の戦略提案が中心になる見通しです。
同社は同時に、社内人材の再配置やリスキリング(再教育)を通じて、AI時代に対応できる組織体制を構築する方針です。
まとめ
マッキンゼーの大規模人員削減は、コンサルティング業界全体で進むAI時代の組織再編の象徴といえます。AIによる効率化が進む一方、人材の再教育や新たな専門領域の確立が今後の競争力の鍵を握るでしょう。
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