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by nicoxz

マイクロソフト株急落が示すAI投資の転換点

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はじめに

2026年1月29日、マイクロソフトの株価が約10%急落し、1日で時価総額3570億ドル(約56兆円)が消失しました。これは2020年3月のコロナショック以来、同社にとって最大の下落率であり、米国株式市場の歴史上2番目に大きな時価総額喪失です。

決算の数字自体は好調だったにもかかわらず、なぜ市場はこれほど激しく反応したのでしょうか。その背景には、AI投資の「回収期」を求め始めたウォール街の姿勢の変化があります。本記事では、マイクロソフト急落の要因と、AI関連株全体への影響を解説します。

マイクロソフト決算の中身:好決算なのに売られた理由

表面上は好調な業績

マイクロソフトの2026年度第2四半期(2025年10〜12月)決算は、売上高813億ドル(前年同期比17%増)、営業利益383億ドル(同21%増)、調整後1株当たり利益4.14ドル(同24%増)と、いずれもアナリスト予想を上回りました。クラウド事業の売上高は四半期として初めて500億ドルを突破し、515億ドルに達しています。

Microsoft 365 Copilotの有料ユーザー数も1500万席に到達するなど、AI関連の成長指標も良好でした。

Azure成長率の鈍化が火種に

投資家の失望を招いたのは、クラウドサービス「Azure」の成長率です。Azureの売上高成長率は39%で、前四半期の40%からわずかに減速しました。さらに、次四半期の見通しとして37〜38%という数字が示され、成長率の鈍化傾向が鮮明になりました。

CFOのエイミー・フッド氏は決算説明会で「第1・第2四半期に稼働を始めたGPUをすべてAzureに割り当てていれば、成長率は40%を超えていた」と説明しました。しかし、この発言はかえって投資家の不安を増幅させました。AI研究開発やCopilot、OpenAI向けに計算資源を優先的に振り向けている実態が明らかになったためです。

記録的なAI設備投資と「回収」への疑問

375億ドルの設備投資

マイクロソフトの四半期設備投資額は375億ドルに達し、前年同期比66%増と過去最高を記録しました。モルガン・スタンレーのアナリスト、キース・ワイス氏はこの規模を「予想以上に速いペース」と表現しています。

フリーキャッシュフローは設備投資の急増により圧迫され、粗利益率は約68%と3年間で最低水準に沈みました。巨額のAIインフラ投資が利益率を圧迫する構図が数字にはっきり表れています。

OpenAI集中リスク

決算で明らかになったもう一つの懸念材料が、OpenAIへの依存度です。マイクロソフトのクラウド受注残のうち約45%がOpenAI関連とされ、単一顧客への集中リスクが機関投資家の間で警戒されています。

OpenAIとの提携はマイクロソフトのAI戦略の要ですが、その規模が大きくなるほど、OpenAI側の経営判断や技術動向がマイクロソフトの業績に直結するリスクが高まります。

ウォール街で変わるAI投資への視線

「ハネムーン」の終わり

今回のマイクロソフト急落について、複数のアナリストが「ウォール街のAIに対するハネムーンフェーズが正式に終わった」と指摘しています。Wedbush証券のダン・アイブス氏は「市場は設備投資の削減と、より速いクラウド・AI収益化を求めている」とコメントしました。

2025年1月にはNVIDIAがDeepSeekショックで1日に5890億ドルの時価総額を失っており、今回のマイクロソフトの3570億ドル喪失は、米国史上2番目の規模となります。AI関連銘柄が巨額の時価総額を一瞬で失うパターンが繰り返されています。

他のテック株への波及

マイクロソフト急落の影響は周辺にも広がりました。iShares拡張テクノロジーソフトウェアETFは同日5%下落し、ナスダック総合指数も0.7%安で取引を終えています。AI関連の設備投資競争を繰り広げるGoogle(Alphabet)やAmazon(AWS)の決算発表を前に、投資家の間で「AIバブル」リスクへの警戒感が強まっています。

注意点・展望

FOMCの影響は限定的

同日のFOMC(米連邦公開市場委員会)は市場予想通り政策金利を据え置きました。金融政策面からのサプライズはなく、株式市場の関心はもっぱら決算シーズンに集中しています。マイクロソフトの急落は金融政策ではなく、AI投資の収益化という個別テーマに起因するものです。

今後の注目点

2026年を「AIの変曲年」と位置づけるアナリストも多く、設備投資の回収が目に見える形で示されるかが、今後のAI関連株の方向性を左右します。マイクロソフト自身は翌日の株価が横ばいで推移しており、パニック的な売りの継続は回避されました。しかし、Azureの成長率が37〜38%にとどまるという見通しは、今後の決算でも注目され続けるでしょう。

まとめ

マイクロソフトの歴史的急落は、好決算でも市場が売りで反応する「期待と現実のギャップ」を浮き彫りにしました。AI設備投資が四半期375億ドルという規模に膨らむ一方、その成果がクラウド成長率に十分反映されていないと市場は判断しています。

投資家にとっての教訓は、AI関連銘柄であっても「投資の回収」が示されなければ容赦なく売られるということです。今後のテック大手の決算発表でも、設備投資とリターンのバランスが最大の焦点になるでしょう。

参考資料:

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