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by nicoxz

ミネアポリスで大規模ゼネスト、ICE抗議に市民が結集

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はじめに

2026年1月23日、米中西部ミネソタ州ミネアポリスで大規模なゼネスト(ゼネラルストライキ)が発生しました。レストランや小売店など750店以上がシャッターを下ろし、氷点下23度という記録的な寒さの中、数万人の市民がICE(移民・税関捜査局)への抗議デモに参加しました。

この動きは、1月7日にICE職員が女性を射殺した事件を契機に広がりました。前日の22日にはバンス副大統領が現地を訪れ沈静化を図りましたが、むしろ市民の抵抗は強まっている状況です。

米国で大規模なゼネストが発生するのは極めて異例であり、トランプ政権の移民政策に対する反発の象徴的な出来事として国際的な注目を集めています。

事件の発端:レニー・グッド射殺事件

1月7日の事件

2026年1月7日、ミネアポリスで37歳の米国市民レニー・グッドさんがICE職員ジョナサン・ロスによって射殺されました。グッドさんの車両が現場から離れようとしていた際、車の左前方に位置していたロスが3発の銃弾を発射し、彼女を死亡させました。

ヘネピン郡検視局は死因を複数の銃創による殺人と判定しました。しかし、米司法省はロス職員を刑事訴追しないと発表し、これが抗議活動をさらに激化させることになりました。

地元政府の対応

ミネアポリス市のジェイコブ・フレイ市長やミネソタ州のティム・ウォルズ知事は、事件を受けてICEに市からの撤退を求めました。しかし連邦政府は「オペレーション・メトロ・サージ」と呼ばれる大規模な移民取り締まり作戦を継続し、約3,000人の連邦移民捜査官がミネソタ州に派遣されています。

ゼネストの規模と影響

経済的ブラックアウト

1月23日に実施されたゼネストは「ICE Out of Minnesota: A Day of Truth and Freedom(真実と自由の日)」と名付けられ、労働組合、宗教指導者、コミュニティ活動家らが主導しました。

主催者の呼びかけにより、市民は仕事や学校を休み、買い物や外食を控えるよう求められました。700店を超える企業やレストランが連帯して閉店し、経済活動を意図的に停止させる「経済的ブラックアウト」が実現しました。

抗議デモの参加者

主催者によると、デモだけでも5万人から10万人が参加したと推定されています。これに加え、仕事や学校、買い物を控えた人々の数はさらに多いとみられます。

アルジャジーラは現地から「気温は氷点下23度ですが、店は閉まり、デモ参加者たちは2019年以来最も寒いこの日に外に出て、ICEに『出て行け』という単純なメッセージを送っています」と報じました。

空港での逮捕者

同日、ミネアポリス・セントポール国際空港では約100人の聖職者が抗議活動中に逮捕されました。彼らは航空会社に対し、強制送還便への協力を停止するよう求めていました。

バンス副大統領の訪問と反応

沈静化を目指した訪問

ゼネストの前日、1月22日にJ.D.バンス副大統領がミネアポリスを訪問しました。バンス氏は「温度を下げる」ために来たと述べ、地元当局に連邦政府の移民政策への協力を求めました。

バンス氏は記者会見で「これはアメリカのほぼすべての管轄区域で、赤い州でも青い州でも通常起こることです。ここでそうなっていないのは、地元当局が『ICEを助けるな、煽動を促進せよ、しかし温度を下げることは何もするな』と言われているからです」と述べました。

連邦捜査官の対応についての言及

一方でバンス氏は、連邦法執行官による移民取り締まりの対応が「完璧ではなかった」とも認めました。トランプ大統領から「彼ら(地元当局)と歩み寄れ」という指示を受けたとも明かしています。

地元政府の反発

ウォルズ知事は「副大統領が温度を下げることに同意してくれたのは嬉しいですが、行動は言葉より雄弁です。街中に3,000人のICE職員は必要ありません。それは地元警察全体を合わせた数より多いのです」と反論しました。

フレイ市長はバンス氏の訪問を「政治的パフォーマンス」と批判し、ICEによる人種プロファイリングを非難しました。

事態のさらなる悪化

新たな射殺事件

ゼネストの翌日、1月24日にも新たな事件が発生しました。ミネアポリス在住のアレックス・プレッティ氏が連邦捜査官によって射殺されたのです。

事件は午前9時頃、サウスミネアポリスのイートストリート地区で発生しました。初期報告によると、男性は路上でドーナツ店「グラムドール・ドーナツ」の外で複数の捜査官と揉み合いになった後、胸部に複数の銃弾を受けました。

この新たな射殺事件により、抗議活動がさらに激化する可能性があります。

歴史的な意義と今後の展望

米国史における位置づけ

大規模なゼネストは米国では極めて稀な出来事です。1919年のシアトル・ゼネスト、1934年のミネアポリス・トラック運転手ストライキなど、歴史的な事例はあるものの、近年では前例がほとんどありません。

今回のゼネストは、労働組合、宗教団体、コミュニティ組織が連携した点で注目されます。移民政策という単一のテーマに対し、これだけ幅広い層が結集したことは、トランプ政権への反発の深さを示しています。

今後の見通し

連邦政府は移民取り締まり強化の方針を変更する兆候を見せていません。一方、ミネソタ州の地元政府は連邦政府への協力を拒否する姿勢を維持しています。この対立構造は、少なくとも当面は続く見込みです。

新たな射殺事件の発生により、抗議活動のさらなる拡大や、他州への波及も予想されます。米国の移民政策をめぐる緊張は、今後も高まり続ける可能性があります。

まとめ

ミネアポリスで発生した大規模ゼネストは、ICEによる女性射殺事件を契機に、市民の怒りが爆発した結果です。氷点下の極寒の中、数万人が抗議に参加し、750店以上が閉店するという異例の事態となりました。

バンス副大統領の訪問にもかかわらず事態は沈静化せず、むしろ新たな射殺事件の発生で緊張はさらに高まっています。トランプ政権の移民政策と地元政府の対立は深刻化しており、この問題は米国の政治・社会に長期的な影響を与える可能性があります。

参考資料:

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