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by nicoxz

ミネアポリスICE射殺事件が引き起こした全米ゼネストの全容

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はじめに

2026年1月、米ミネソタ州ミネアポリスで移民・税関捜査局(ICE)の捜査官による市民射殺事件が相次ぎ、米国社会を揺るがす大規模な抗議運動に発展しました。1月30日には全米各地で「ナショナル・シャットダウン」と呼ばれるゼネストが実施され、多くの商店がシャッターを下ろし、学校や職場を休む人が続出しました。

80年ぶりとなる全米規模のゼネストはなぜ起きたのでしょうか。本記事では、事件の経緯、抗議運動の広がり、そしてトランプ政権の移民政策が引き起こした社会的分断について解説します。

事件の経緯:3人の犠牲者

レネー・グッドさん射殺(1月7日)

発端は2026年1月7日に起きた事件です。米国市民であるレネー・グッドさん(37歳)が、ミネアポリスでICE捜査官ジョナサン・ロスによって射殺されました。グッドさんは移民ではなく米国市民であり、この事実が市民の怒りをさらに増幅させました。

フリオ・セサル・ソサセリスさん負傷(1月14日)

1月14日には、ベネズエラ出身のフリオ・セサル・ソサセリスさんがミネアポリス北部でICE捜査官に脚を撃たれ負傷しました。わずか1週間で2件の発砲事件が起きたことで、地域社会の緊張は一気に高まりました。

アレックス・プレッティさん射殺(1月24日)

さらに1月24日、退役軍人省の集中治療室看護師であるアレックス・ジェフリー・プレッティさん(37歳)が、米税関・国境警備局(CBP)の捜査官によって複数回撃たれ死亡しました。医療従事者であり退役軍人ケアに従事していた人物の射殺は、抗議運動を決定的に拡大させる契機となりました。

80年ぶりの全米ゼネスト

第一波:1月23日のミネソタゼネスト

1月23日、労働組合、地域団体、宗教指導者が連携してゼネストと州全体のデモを呼びかけました。これは米国で約80年ぶりとなるゼネストです。氷点下20度(華氏マイナス20度)の厳寒の中、5万人以上がミネアポリスのダウンタウンを行進しました。700以上の中小企業がストに連帯して店を閉めました。

第二波:1月30日の「ナショナル・シャットダウン」

プレッティさんの射殺と第一波ストの成功を受けて、1月30日には全米規模の「ナショナル・シャットダウン」が呼びかけられました。「仕事もしない、学校にも行かない、買い物もしない」をスローガンに、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークなど全米各地で抗議デモと学校ウォークアウトが実施されました。

経済界からも異例の声

1月25日には、ミネソタ州商工会議所のウェブサイトに60社以上のCEOによる公開書簡が掲載されました。署名者には3M、カーギル、メイヨー・クリニック、ターゲット、ベスト・バイ、ユナイテッドヘルス・グループ、ゼネラル・ミルズなどミネソタを拠点とする大企業のトップが名を連ね、事態の即時沈静化を求めました。

トランプ政権と司法の対立

「オペレーション・メトロ・サージ」の実態

一連の事件の背景には、トランプ政権が推進する移民取り締まり作戦「オペレーション・メトロ・サージ」があります。ペンス副大統領(当時のバンス副大統領)は1月22日にミネアポリスを訪問し、連邦移民捜査官の活動を擁護しました。

裁判所命令への違反

しかし、ミネソタ州連邦地裁のパトリック・シルツ首席判事は1月28日、ICEが2026年1月1日以降だけで少なくとも96件の裁判所命令に違反していたと認定しました。司法の判断を無視する連邦機関の行動は、法治主義の根幹を揺るがす問題として深刻に受け止められています。

連邦検察官の辞任

司法省公民権局の幹部が憲法上の調査開始を拒否したことを受けて、ミネアポリスとワシントンの連邦検察官10人以上が抗議の辞任を表明しました。取材中に逮捕された元CNNアンカーのドン・レモン氏のケースも、報道の自由をめぐる議論を呼んでいます。

注意点・今後の展望

この問題は移民政策の是非だけでなく、連邦政府と地方自治体の権限関係、法執行機関の武力行使基準、報道の自由など、米国の民主主義の根幹に関わる複数の論点を含んでいます。

今後の焦点は、射殺事件の捜査がどのように進展するか、そして2026年の中間選挙に向けてこの問題がどの程度争点化するかです。ゼネストという極めて異例の抗議行動が米国社会にどのような変化をもたらすのか、引き続き注視が必要です。

まとめ

ミネアポリスでのICE捜査官による3件の射殺・発砲事件は、トランプ政権の移民政策に対する市民の不満を爆発させ、80年ぶりの全米ゼネストという歴史的事態を引き起こしました。経済界からの異例の批判や、連邦検察官の抗議辞任など、社会のあらゆる層から懸念の声が上がっています。

米国内の分断がさらに深まる中、この問題の行方は2026年の米国政治を大きく左右する可能性があります。

参考資料:

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