日経平均844円安、2日連続下落——米雇用統計と日中関係が重荷
はじめに
2026年1月8日、東京株式市場で日経平均株価が大幅に下落しました。終値は前日比844円安の5万1117円で、2日連続の値下がりとなりました。
前日の米国株式市場でハイテク株が売られた流れを引き継ぎ、東京市場でも半導体関連銘柄を中心に売りが広がりました。また、日中関係の悪化も投資家心理を冷やす要因となっています。
市場では、2026年1月9日に発表される米雇用統計への警戒感も強く、様子見姿勢が広がっています。VIX指数(恐怖指数)は約3週間ぶりの高水準に上昇しており、当面は不安定な相場が続く可能性があります。
844円安の背景
米ハイテク株安が波及
日経平均株価が大幅に下落した直接のきっかけは、前日の米国株式市場の動向です。1月7日のニューヨーク市場では、ハイテク株を中心に売りが広がりました。
ナスダック総合指数は下落し、エヌビディアやアップルなど大型テック株が軟調でした。この流れを受けて、東京市場でも東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体関連銘柄が下落しました。
日中関係悪化の影響
市場では、日中関係の悪化も投資家心理を冷やす要因となっています。2025年11月の高市早苗首相の台湾有事発言以降、中国政府は自国民に対して日本への渡航自粛を呼びかけるなど、両国関係は緊張状態にあります。
インバウンド(訪日外国人)需要への影響や、中国ビジネスに依存する企業への懸念が、売り材料となっています。
年始からの調整局面
2025年末から2026年年初にかけて、日経平均株価は堅調に推移していました。5万円台を維持し、最高値更新への期待も高まっていました。
しかし、年明け後は利益確定売りや海外要因への警戒から、調整局面に入っています。2日連続の大幅下落で、上昇分の一部が帳消しとなりました。
米雇用統計への警戒
1月9日に発表予定
市場が注目しているのは、2026年1月9日(金)日本時間22時30分に発表される米国の12月雇用統計です。非農業部門雇用者数や失業率は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を左右する重要指標です。
雇用統計の結果次第では、FRBの利下げ(または利上げ)ペースに対する市場の見方が変わり、株式市場や為替市場に大きな影響を与える可能性があります。
ドル円は156円台で推移
雇用統計発表を控え、為替市場では様子見姿勢が強まっています。ドル円は156円台中心で推移しており、大きな動きは見られませんでした。
雇用統計が予想を上回れば、米金利上昇・ドル高円安の流れになる可能性があります。逆に予想を下回れば、ドル安円高に振れる可能性があります。
VIX指数が上昇
投資家の不安心理を示すVIX指数(恐怖指数)は、1月7日の終値が前日比4.27%高の15.38となりました。これは約3週間ぶりの高水準です。
VIX指数の上昇は、市場参加者がリスクを警戒していることを示しています。雇用統計発表後も、しばらくは不安定な相場が続く可能性があります。
セクター別の動き
半導体関連が下落
米ハイテク株安を受けて、半導体関連銘柄が大きく下落しました。東京エレクトロン、アドバンテスト、レーザーテックなど、半導体製造装置関連銘柄が軒並み売られました。
生成AI需要で半導体関連銘柄は2025年に大きく上昇しましたが、高値警戒感から利益確定売りが出やすい状況です。
小売りセクターに警戒感
報道によると、実質賃金の低迷を受けて小売りセクターの決算への警戒感も広がっています。「上がらぬ賃金」が消費を抑制し、小売企業の業績に影響するとの見方があります。
百貨店やスーパー、コンビニなど小売り関連銘柄も、軟調な値動きとなりました。
ディフェンシブ銘柄は底堅い
一方、電力・ガスや食品など、景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄は相対的に底堅い動きでした。市場全体が調整する中で、資金の逃避先となっています。
今後の見通し
雇用統計次第で方向感決まる
当面の焦点は、1月9日発表の米雇用統計です。予想通りであれば、市場は落ち着きを取り戻す可能性があります。しかし、予想と大きく乖離した場合は、株式・為替ともに大きく動く可能性があります。
市場予想では、非農業部門雇用者数は前月比16万人程度の増加、失業率は4.1%程度と見込まれています。
日銀の金融政策にも注目
国内では、日銀の金融政策決定会合(1月下旬)への注目も高まっています。追加利上げの有無が焦点となっており、事前観測で市場が動く可能性があります。
利上げが実施されれば、金融株には追い風となる一方、成長株には逆風となる可能性があります。
年初来の調整はどこまで続くか
2025年に大きく上昇した日経平均株価は、2026年入り後に調整局面に入っています。5万円を大きく割り込むような下落があれば、投資家心理がさらに悪化する懸念があります。
一方、企業業績は堅調であり、調整が一巡すれば再び上昇基調に戻るとの見方もあります。中長期的な視点では、押し目買いの好機と捉える向きもあります。
投資家への注意点
短期的な値動きに一喜一憂しない
844円という下落幅は大きく見えますが、日経平均株価が5万円台という水準を考えると、下落率は約1.6%です。日々の変動の範囲内とも言えます。
短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、中長期的な視点で投資判断を行うことが重要です。
分散投資の重要性
特定の銘柄やセクターに集中投資していると、今回のような急落で大きな損失を被る可能性があります。国内株だけでなく、海外株や債券、不動産など、資産を分散することでリスクを軽減できます。
情報収集を怠らない
米雇用統計や日銀の金融政策など、市場に影響を与える重要イベントは事前に把握しておくことが大切です。経済指標の発表スケジュールや、企業の決算発表日程をチェックしておきましょう。
まとめ
2026年1月8日、日経平均株価は844円安の5万1117円で取引を終え、2日連続の大幅下落となりました。米ハイテク株安の波及と日中関係悪化への懸念が、投資家心理を冷やしました。
1月9日発表の米雇用統計を控え、市場には警戒感が広がっています。VIX指数は約3週間ぶりの高水準に上昇しており、当面は不安定な相場が続く可能性があります。
投資家は短期的な値動きに惑わされず、中長期的な視点を持つことが重要です。分散投資を心がけ、重要な経済指標の発表スケジュールを把握しておくことをおすすめします。
参考資料:
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