日経平均5万4000円突破、解散株高は持続するか
はじめに
2026年1月14日、日経平均株価が初めて5万4000円台に到達し、史上最高値を連日で更新しました。終値は前日比792円高の5万4341円となり、「選挙は買い」という経験則を地で行く展開となっています。
高市早苗首相が通常国会冒頭での衆院解散を検討しているとの報道を受け、市場は大きく反応しました。株高で知られる小泉政権や安倍政権時代は解散後約半年で2割高を記録しましたが、高市政権下ではその記録を超える可能性があるのでしょうか。
本記事では、解散株高のメカニズムと今後の見通しについて詳しく解説します。
日経平均5万4000円突破の詳細
1月14日の相場展開
2026年1月14日の東京株式市場で、日経平均株価は3日続伸し、終値は前日比792円07銭(1.48%)高の5万4341円23銭を記録しました。これは連日での最高値更新となります。
取引の詳細を見ると、始値53,827円、高値54,487円、安値53,792円で、売買代金は東証プライム市場の概算で7兆1,426億円に達しました。活発な取引が行われたことがうかがえます。
株高の要因
株価上昇の最大の要因は、衆議院解散観測の高まりです。高市首相が23日召集の通常国会冒頭で衆院解散を検討しているとの報道をきっかけに、日経平均は前日に大幅高となり、14日も同様の報道が相次ぎました。
内閣支持率が高い状態での解散・総選挙となれば、自民党が議席数を伸ばす公算が大きいとみられています。高市首相が掲げる政策が進めやすくなるとの見方が強まり、政策の恩恵を受ける期待の強いAI・半導体関連株や防衛株、造船関連株などの上昇が目立ちました。
海外投資家の動向
注目すべきは海外投資家の動きです。外国人投資家は高市首相のスタンスを、かつて日本株を大きく押し上げた「アベノミクス」の正統後継と見ており、「Japan is Back」の再現シナリオを描いています。
日経平均先物価格は、解散報道が出た1月9日の海外市場で1,500円から1,600円程度の大幅上昇となりました。海外勢の期待が先行している相場といえます。
過去の解散株高との比較
小泉政権の「郵政選挙」
1990年以降12回の衆議院選挙を振り返ると、解散直前から投開票直前までに東証株価指数(TOPIX)が上昇したのは10回あります。
特に際立っているのが2005年の「郵政選挙」です。小泉純一郎首相(当時)が郵政民営化法案の否決を受けて衆院を解散し、自民党が圧勝しました。この時、株価は解散前後で約9%上昇しました。
小泉政権下では、解散から約半年で日経平均は約2割高を記録しています。
安倍政権とアベノミクス
2012年の衆院選も株価が約9%上昇しました。この選挙は自民党の政権奪還と第2次安倍内閣の発足につながり、その後の「アベノミクス」による長期株高の起点となりました。
第2次安倍政権発足時からの2,822日間に及ぶ在任期間中、日経平均株価の上昇率は2.33倍に達しています。長期安定政権が株価上昇を支えた典型例といえます。
高市政権の現状
高市政権発足後の「高市トレード」も顕著です。2025年10月に高市新総裁が誕生して以降、ドル円レートは147円台から157円台に約10円円安が進み、日経平均株価は4万6000円程度から5万2000円程度へと約6,000円(10%以上)上昇しました。
現時点で1割高という水準は、小泉・安倍政権の「半年で2割高」と比較すると、まだ上値余地があるとの見方につながっています。
市場の過熱感と注意点
テクニカル指標の警戒シグナル
一方で、短期的な過熱感を示す指標も出ています。日経平均は前日までの2営業日で2,400円ほど上昇していました。
日経平均の25日移動平均からの上方乖離率は7%近くに達しており、「買われすぎ」の水準として意識される5%を大きく上回っています。節目の5万4000円を上回ったこともあり、短期的な過熱感を警戒した売りが出やすい状況です。
割高感の指摘
小泉政権や安倍政権時代と比較すると、現在の株価には割高感があるとの指摘もあります。企業業績との対比でみた投資指標では、過去の解散相場時より高い水準にあります。
株価が先行して上昇している分、今後の業績改善を織り込んでいる側面があり、期待が裏切られた場合の反動リスクには注意が必要です。
海外勢の逃げ足の速さ
今回の株高は海外勢の期待が先行している相場です。海外投資家の特徴として、チャンスと見れば積極的に買いを入れる一方、期待が裏切られた時の逃げ足も速いことが挙げられます。
選挙結果や政策の実行力次第では、急速な巻き戻しが起こる可能性も考慮しておく必要があります。
高市政権の経済政策と市場の期待
「責任ある積極財政」
高市首相が掲げる「責任ある積極財政」は、市場から「アベノミクスの正統後継」と評価されています。財政出動と金融緩和を組み合わせた政策スタンスは、株高・円安をもたらしやすいと期待されています。
積極財政観測を受けた円安は、輸出企業の業績改善期待につながり、株高を支える要因となっています。
安全保障関連株への注目
高市政権は安全保障関連3文書の見直しを進めており、防衛関連株への期待も高まっています。また、AI・半導体など成長分野への投資も重視しており、これらのセクターへの資金流入が続いています。
リスク要因
一方で、積極財政による円安は経済の安定を損ねる恐れもあります。円安がさらに進めば物価上昇率の高止まりは解消されず、個人消費の逆風になるとの懸念も示されています。
長期金利の上昇も進んでおり、10年国債利回りは1.6%台から2.1%程度へと上昇しています。金利上昇が株価の重しとなる局面も想定されます。
今後の見通し
強気派の予想
大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは、高市政権が解散・総選挙で勝てば経済政策への期待から半年の株価上昇が見込めると指摘しています。1月解散なら日経平均株価は7〜9月に約3割高い6万8000円に到達すると予想しています。
超長期的には、第2次安倍政権以降の上昇トレンドが続くと仮定すれば、2031年から2033年には日経平均10万円到達も視野に入るという見方もあります。
注目すべきイベント
今後の注目点は、まず1月23日の通常国会召集と衆院解散の有無です。2月上中旬に予定される衆院選の結果次第で、株価の方向性が決まる可能性があります。
また、日銀の金融政策も注視が必要です。追加利上げの動向によっては、円高・株安に転じるリスクもあります。
まとめ
日経平均株価が初めて5万4000円台に到達し、衆院解散観測を背景とした「解散株高」が進行しています。小泉・安倍政権時代は解散後約半年で2割高を記録しており、現在の1割高という水準からはさらなる上値余地があるとの見方もあります。
一方で、25日移動平均からの乖離率が7%近くに達するなど、短期的な過熱感も出ています。投資指標でみた割高感も、過去の解散相場時より高い水準にあります。
「選挙は買い」という経験則は健在ですが、期待先行の海外勢主導の相場だけに、選挙結果や政策の実行力次第では急速な調整もありえます。解散株高の持続には、高市政権が掲げる政策の着実な実行が不可欠となります。
参考資料:
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