日経平均が初の5万3000円台、高市相場で株高・円安・金利上昇

by nicoxz

はじめに

高市早苗首相による衆院の早期解散構想が浮上したことを受け、1月13日の株式・金融市場では株高と円安・債券安が同時に進みました。日経平均株価は初めて5万3,000円台に乗せ、史上最高値を更新しました。一方、対ドルの円相場は約1年半ぶりの安値水準に下落し、長期金利は約27年ぶりの高水準に上昇しています。

「高市相場」の再来と呼ばれるこの動きは、総選挙で与党が勝利し、積極財政路線を一段と推進しやすくなるとの見方が背景にあります。しかし、円安と金利上昇は財政への懸念を反映しており、市場の評価は分かれています。

本記事では、日経平均の最高値更新の背景と、積極財政政策をめぐる市場の反応について解説します。

日経平均、史上最高値を更新

5万3,000円台に突入

1月13日の東京株式市場で、日経平均株価は前週末比1,609円27銭高の5万3,549円16銭で取引を終えました。史上最高値を更新し、取引時間中には一時1,874円90銭高の5万3,814円79銭まで上値を伸ばしました。

上昇幅は約1,600円と大幅で、3連休明けの市場が解散報道に大きく反応した形です。「年内の解散はある程度想定されていたが、国会冒頭での解散は予想されておらず、サプライズになった」との市場関係者のコメントが聞かれました。

AI・半導体関連が牽引

株価上昇を牽引したのは、高市政権が戦略分野に掲げるAI・半導体関連銘柄です。アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループの3銘柄だけで日経平均を約870円押し上げました。

防衛関連では三菱重工業などが物色され、高市政権の安全保障政策への期待も株価に反映されています。

「高市相場」再来の背景

積極財政への期待

株高の背景には、衆院選で与党が勝利すれば、高市首相の掲げる「責任ある積極財政」路線が一段と推進しやすくなるとの期待があります。2025年度補正予算17.7兆円、経済対策総額21.3兆円規模の財政出動に続き、さらなる景気刺激策が実施されるとの見方が広がっています。

2025年10月の政権発足時にも、高市氏の積極財政路線への期待から「高市相場」と呼ばれる株高が起きました。今回はその再来とも言える状況です。

政策継続への安心感

内閣支持率76%という高い数字を背景に、衆院選で与党が勝利すれば、高市政権の長期安定化が見込まれます。政策の継続性に対する安心感も、株式市場にとってはプラス材料となっています。

円安と長期金利上昇

1ドル159円台に下落

株高の一方で、円相場は大きく下落しました。対ドルで約1年半ぶりの安値水準となる159円台まで円安が進行しています。

円安の背景には、積極財政政策による財政悪化懸念と、日米金利差の拡大があります。米国の高金利が続く中、日本で財政拡張が進めば、インフレ圧力が高まり、日銀の利上げペースが速まるとの見方も出ています。

長期金利は27年ぶり高水準

長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時2.125%に上昇しました。これは指標銘柄が長期金利とされていた1999年2月以来、約27年ぶりの高水準です。

債券市場では、積極財政路線による国債発行増加への警戒感が強まっています。高市政権は26年度予算案で2年連続で国債発行額を30兆円以下に抑えましたが、今後の経済対策をめぐり財政出動に対する懸念は消えていません。

積極財政への市場の評価

株式市場は好意的

株式市場は積極財政路線を好意的に受け止めています。財政出動により景気が刺激され、企業業績の改善につながるとの期待があるためです。特にインフラ投資やAI・半導体への政府支援は、関連企業の株価を押し上げる要因となっています。

また、高市政権は企業の賃上げを後押しする政策も進めており、消費拡大による内需主導の経済成長への期待もあります。

債券市場は慎重

一方、債券市場は慎重な見方を示しています。国債発行の増加は需給を悪化させ、金利上昇(債券価格下落)につながるためです。

大和総研のレポートによると、日本経済が供給制約に直面する中、政府が積極財政の姿勢を示したことで、国債需給の緩和や物価の大幅な上昇等への懸念が強まり、長期金利が上昇したとしています。

為替市場は警戒

為替市場でも、円安という形で懸念が表れています。財政拡張がインフレ圧力を高め、実質的な円の価値が低下するとの見方があります。また、財政持続可能性への疑問が、円という通貨への信認を揺るがす可能性も指摘されています。

個人への影響

住宅ローンと預金金利

長期金利の上昇は、住宅ローン金利にも影響を与えます。固定金利型の住宅ローンは上昇傾向にあり、今後のマイホーム購入を検討している人にとっては負担増となる可能性があります。

一方、預金金利も上昇傾向にあります。2026年1月募集の個人向け国債は、変動金利型10年が1.39%、固定金利型5年が1.59%と、じわじわと金利が上昇しています。預金者にとってはプラスの側面もあります。

物価と生活への影響

円安の進行は、輸入品の価格上昇を通じて物価を押し上げる要因となります。食料品やエネルギーの多くを輸入に頼る日本にとって、円安は家計への負担増につながります。

高市政権は「物価高・低所得世帯支援」を最優先課題に掲げていますが、積極財政が円安を招くという矛盾した状況も生じています。

今後の展望

選挙結果が市場を左右

今後の市場動向は、衆院選の結果に大きく左右されることになります。与党が大勝すれば積極財政路線が強化され、株高・円安・金利上昇の傾向が続く可能性があります。逆に与党が議席を減らせば、政策修正の観測から市場は調整局面に入るかもしれません。

日銀の金融政策も焦点

日銀の金融政策も注目されます。円安とインフレが進む中、日銀が利上げペースを速める可能性があります。利上げは円高・株安要因となりうるため、政府の財政政策と日銀の金融政策のバランスが重要になります。

トリプル高の持続性

現在は「株高・金利高・円安」というトリプルの動きが同時に起きています。これがどこまで持続するかは不透明です。金利上昇が進めば企業の資金調達コストが上がり、株価にも悪影響を及ぼす可能性があります。

まとめ

高市首相の衆院解散構想を受けて、日経平均株価は初の5万3,000円台を記録しました。積極財政路線への期待から「高市相場」が再燃した形ですが、円安と長期金利上昇という形で市場の懸念も表れています。

株式市場と債券・為替市場の評価が割れる中、衆院選の結果と日銀の金融政策が今後の市場動向を大きく左右することになりそうです。積極財政が日本経済にプラスとなるのか、財政悪化という代償を伴うのか、市場の審判が注目されます。

参考資料:

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