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by nicoxz

スバルが業績下方修正、米関税の打撃はどれほど深刻か

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はじめに

SUBARU(スバル)は2026年2月6日、2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の通期業績予想を下方修正しました。連結純利益は前期比63%減の1250億円となる見通しで、従来予想の1600億円(53%減)から350億円引き下げられています。市場予想の平均(QUICKコンセンサス)1799億円も大きく下回りました。

最大の要因は、米国の追加関税による影響額が当初の想定を大幅に超えたことです。スバルは世界販売の約7割を米国市場に依存しており、他の日本車メーカーと比較しても関税の影響を特に強く受ける構造にあります。本記事では、下方修正の詳細と関税影響の実態、そしてスバルの対応策について解説します。

下方修正の全容と業績への影響

通期業績予想の変遷

スバルの2026年3月期の業績見通しは、段階的に悪化してきました。2025年5月の時点では、トランプ政権の関税政策の不透明さから通期見通しを「未定」としていました。同社は関税が継続した場合、営業利益への影響が最大3600億円に達する可能性があると試算し、市場に警戒感が広がりました。

2025年8月には、純利益予想を前期比53%減の1600億円と発表。米国追加関税の影響額は営業利益ベースで2100億円と見込んでいました。しかし今回の修正で、関税の実影響額は2290億円に拡大。前回見通しから440億円上振れしたことになります。

通期の想定為替レートを1ドル=150円と従来から5円円安方向に見直しましたが、為替メリットでは関税コストの拡大を吸収しきれませんでした。

第3四半期で最終赤字に転落

特に深刻なのが直近の四半期実績です。2025年10〜12月期の連結最終損益は73.3億円の赤字に転落しました。スバルが四半期ベースで最終赤字を計上するのは約5年半ぶりのことです。

2025年4〜12月期の累計では、売上収益は3兆5190億円とほぼ前年並みを維持したものの、営業利益は663億円と前年同期比82.0%の大幅減益となりました。売上営業利益率は前年同期の11.6%から急低下しており、関税コストがいかに収益を圧迫しているかが鮮明です。

米国関税がスバルを直撃する構造的理由

米国依存度の高さ

スバルが関税の影響を特に大きく受ける背景には、同社のビジネス構造があります。スバルの世界販売台数に占める米国の比率は約70%と、日本の主要自動車メーカーの中でも突出して高い水準です。

2024年のスバルの米国年間販売台数は66万7725台を記録し、前年比5.6%増と好調でした。主力モデルの「クロストレック」は年間18万1811台を販売し、前年比14%増となっています。販売自体は堅調でしたが、米国市場への高い依存度が関税リスクをそのまま業績悪化につなげる結果となっています。

輸入比率の問題

さらに、スバルは米国で販売する車両の約45%を日本からの輸入に頼っています。米国のインディアナ州ラファイエットに生産拠点を持つものの、全量を現地で賄える体制にはなっていません。トランプ政権が自動車にかかる関税を従来の2.5%から大幅に引き上げたことで、輸入車1台あたりのコストが大幅に上昇しました。

国内生産の「アウトバック」や「アセント」などは関税の直接的な影響を受けにくいものの、日本から輸出する「フォレスター」や一部モデルは関税コストを直接的に負担する構造です。

スバルの対応策と他社比較

価格転嫁と生産体制の見直し

スバルはすでにいくつかの対応策を講じています。2025年6月には米国で1台あたり750〜2055ドル(約11万〜30万円)の値上げを実施しました。関税による「増加したコストを相殺するため」と説明しています。

また、大崎篤社長は米国工場について「現在は定時操業が基本だが、米国生産を拡大する余地がある」と述べ、現地生産の増強を検討していることを明らかにしています。ただし、生産体制の抜本的な見直しには時間がかかるため、短期的には値上げとコスト削減で対応せざるを得ない状況です。

他の日本車メーカーとの比較

米国追加関税は日本の自動車メーカー全体に影響を及ぼしています。トヨタ自動車は2025年度の関税コストを約1800億円と試算し、通期純利益は約35%減の3兆1000億円との見通しを発表しました。ホンダは関税コストを4500億円と見込み、営業利益が前年度から7134億円減少して5000億円になると予測しています。

ただし、トヨタやホンダは米国内に複数の生産拠点を持ち、販売台数も大きいため、関税コストを吸収する体力があります。スバルのように米国依存度が高く、生産拠点が限られるメーカーほど、関税の影響は深刻になる傾向があります。

注意点・今後の展望

関税政策の不確実性

今後の見通しで最も注意すべきは、米国の関税政策がさらに変動するリスクです。トランプ政権は自動車関税を当初の27.5%から15%に引き下げた経緯がありますが、今後の交渉次第では再引き上げの可能性も否定できません。スバルの業績は関税率のわずかな変動にも大きく左右される構造にあり、政策リスクへの注視が欠かせません。

中長期的な課題

スバルにとっての中長期的な課題は、米国一極集中のビジネスモデルからの転換です。現地生産比率の引き上げ、サプライチェーンの再構築、そして電動化戦略の推進が求められます。同社は2030年にBEV(バッテリー電気自動車)の販売台数60万台(比率50%)を目指す計画を掲げていますが、関税コストの負担が研究開発投資を圧迫するリスクもあります。

また、値上げによる販売台数への影響も懸念材料です。これまでスバルは米国で29カ月連続の販売増を達成してきましたが、価格引き上げが続けば需要に水を差す可能性があります。

まとめ

スバルの2026年3月期業績下方修正は、米国追加関税の影響が当初想定を440億円上回る2290億円に膨らんだことが主因です。10〜12月期には約5年半ぶりの四半期赤字に転落し、通期純利益は63%減の1250億円にとどまる見通しです。

米国市場への高い依存度と輸入比率が、関税の影響をダイレクトに受ける構造を生んでいます。値上げや現地生産拡大などの対応策を進めていますが、短期的な効果には限界があります。投資家や関係者にとっては、関税政策の動向に加え、スバルの中長期的な事業構造の変革がどこまで進むかが注目ポイントです。

参考資料:

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