高市首相が与党幹部に解散伝達、2月8日投開票へ
はじめに
高市早苗首相は2026年1月14日、自民党と日本維新の会の幹部に対し、23日召集の通常国会の冒頭で衆議院を解散する意向を伝達しました。
衆院選の日程は「1月27日公示、2月8日投開票」となる方向で調整が進んでいます。実現すれば、解散から16日後の投開票という戦後最短の選挙戦となります。
70%を超える高い内閣支持率を背景に、首相は自民党単独過半数の回復を目指しています。しかし、事前の根回しなく解散を決定したことに対し、党内からは反発の声も上がっています。
本記事では、解散伝達の詳細と今後の政局について解説します。
解散伝達の経緯
与党幹部との会談
高市首相は1月14日、首相官邸で自民党の鈴木俊一幹事長と日本維新の会の吉村洋文代表に面会しました。会談には藤田文武共同代表と木原稔官房長官も同席しています。
首相は面会後、官邸で記者団に対し「(通常国会の)早い時期ということでお話したと思う」と述べ、解散の意向を正式に伝えたことを明らかにしました。
鈴木幹事長は首相との面会後、党本部で記者団に、首相が19日に記者会見を開いて衆院解散を巡る自身の考えを説明すると明かしました。これにより、解散の正式表明は19日となる見通しです。
解散の理由
首相は解散の理由について「自民と維新の政策合意の内容などをしっかり進めるにあたり国民の審判を得る必要がある」と説明したとされています。
現在、自民党と維新両党の衆院会派の議席はぎりぎり過半数の233です。参院では少数与党の「ねじれ国会」が続いており、政権運営は不安定な状況にあります。首相としては、衆院選での勝利によって政策の推進力を高めたい考えです。
選挙日程と戦後最短の選挙戦
有力な日程
衆院選の日程については「1月27日公示、2月8日投開票」と「2月3日公示、2月15日投開票」の2つの案が浮上していますが、前者が有力とされています。
自民党幹部は「2026年度予算案の審議も控える。早い方がいい」と指摘しており、短期決戦を望む声が多いようです。
戦後最短の解散から投開票
1月23日解散、2月8日投開票となれば、解散から16日後の投開票となり、戦後最短記録を更新することになります。
「真冬の総選挙」という異例の展開に、投票率への影響を懸念する声もあります。雪や寒さの影響で有権者の足が遠のく可能性があるためです。
根回しなしの決定に党内混乱
最側近のみに相談
高市首相が衆院解散の意向を固めた際、事前に内心を伝えたのは最側近の木原稔官房長官だけでした。慎重論を封じるべく、極秘裏に2人で解散戦略を練り上げたとされています。
この「根回しなし」の決定に、自民党内からは反発の声が上がっています。麻生太郎副総裁や鈴木俊一幹事長も「事前の相談がまったくなかった」と不満を隠していないと報じられています。
「トランプ大統領みたい」との声も
東京新聞は、自民党ベテラン議員から「トランプ大統領みたいになってきた」という声が出ていると報じています。首相の独断専行ぶりに対し、党内では不安の声が広がっています。
ある自民党関係者は「官邸の独断専行による冒頭解散には、与党内にも反発が残っている。選挙結果次第では高市首相の求心力が低下する事態も想定される」と指摘しています。
勝利への自信
一方、高市首相は「勝てばよい」と自信をのぞかせているとも報じられています。
自民党が年明け4日に実施した情勢調査では、「自民党が260議席超を獲得」という結果が出たとされています。この調査結果が高市首相に報告された後、「冒頭解散も選択肢」と判断したとみられています。
野党と公明党の反応
野党の準備不足を突く狙い
早期解散の背景には、野党の選挙準備が整わないうちに勝負をかける狙いもあるとされています。
野党各党は選挙区での候補者調整がまだ進んでいない地域も多く、真冬の短期決戦は野党にとって不利に働く可能性があります。ただし、短期決戦に持ち込まれて十分に候補者擁立ができない場合、結果論として野党候補の一本化が進むという見方もあります。
公明党の批判
連立を離脱した公明党の斉藤鉄夫代表は、2月の衆院選について「物価高対策を盛り込んだ2026年度予算の成立が4月以降にずれこむのは確実」と指摘し、「経済と国民生活をないがしろにする」と批判しています。
通常国会冒頭での解散には、予算審議への影響を懸念する声が与野党から出ており、「大義なき解散」との批判は避けられない状況です。
注意点・展望
高い支持率の持続が鍵
高市首相が早期解散に踏み切る最大の理由は、内閣支持率の高さにあります。日本経済新聞社の世論調査によると、高市内閣の支持率は2025年12月時点で75%でした。
しかし、選挙戦が始まれば状況は流動的です。予算審議の遅れや「大義なき解散」への批判が高まれば、支持率が低下する可能性もあります。
選挙後の政権運営
選挙結果によっては、党内の反発がさらに強まる可能性があります。「官邸と党本部の軋轢が選挙後の政権運営の不安要因になる」との指摘もあり、仮に勝利しても、首相の独断専行に対する不満がくすぶり続ける可能性があります。
2027年の自民党総裁選への影響
高市首相にとって、今回の衆院選は2027年秋の自民党総裁選に向けた布石でもあります。大勝すれば再選・続投の道が開けますが、期待を下回る結果となれば、党内での求心力低下は避けられません。
まとめ
高市早苗首相は1月14日、自民党と維新の幹部に対し、通常国会冒頭での衆院解散を伝達しました。19日に記者会見で正式表明し、23日に解散、2月8日に投開票という日程が有力となっています。
70%を超える高い内閣支持率を武器に、首相は自民党単独過半数の回復を目指しています。しかし、根回しなしで決定したことに対し、党内からは反発の声も出ています。
「真冬の決戦」となる今回の衆院選は、高市政権の命運を左右する重要な選挙となります。選挙結果は今後の政権運営はもちろん、2027年の参院選や自民党総裁選にも大きな影響を与えることになるでしょう。
参考資料:
- 高市首相が衆議院解散を与党幹部に伝達 - 時事ドットコム
- 高市総理大臣 通常国会の早期に衆議院解散の意向 - NHKニュース
- 首相の孤独な解散判断 幹事長「聞いていない」 - 東洋経済オンライン
- 高市首相の「抜き打ち解散」検討に自民ベテランもため息 - 東京新聞
- 解散”根回し”がなかった自民内に混乱 - 西日本新聞
- 高市首相、通常国会冒頭での解散を検討 - Yahoo!ニュース
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