高市首相が衆院解散へ、60年ぶりの丙午に波乱の政局
はじめに
2026年の日本政治は、年明け早々から大きな波乱に見舞われています。高市早苗首相が1月23日召集の通常国会冒頭で衆院を解散する意向を固め、2月上中旬の投開票に向けた「真冬の決戦」が現実味を帯びてきました。
今年は60年ぶりに巡ってくる「丙午(ひのえうま)」の年です。干支の解釈では「物事が一気に動きやすい年」「変化を起こす推進力がある年」とされており、まさにその通りの政局展開となっています。
本記事では、高市首相が早期解散に踏み切る背景、自民党の議席予測、そして与野党の動向について詳しく解説します。
高市首相が解散を決断した背景
70%超の内閣支持率が最大の武器
高市首相が通常国会冒頭での解散に踏み切る最大の理由は、内閣支持率の高さにあります。
読売新聞の世論調査によると、2025年10月の政権発足時に71%を記録し、12月時点でも73%と7割台を維持しています。さらに、ジャッグジャパン株式会社の日次世論調査「世論レーダー」では、1月第1週時点で高市内閣支持率は77.7%に達しています。
自民党の政党支持率も30.1%まで回復しており、首相としては「勝てるうちに勝つ」という判断に傾いたものとみられます。
伊勢神宮参拝に込めた決意
高市首相は2026年1月5日、就任後初めて伊勢神宮を参拝しました。この際、安倍晋三元首相の遺影を携えたことが話題となりました。首相は記者会見で「もう一度、伊勢神宮に連れてきてあげたかった」と語り、保守派の旗頭だった安倍氏の後継として、政権基盤の強化に強い意欲を示しました。
参拝後の年頭会見では「困難な改革にも果敢に挑戦したい」と決意を表明しており、この発言は衆院解散への布石だったとの見方もあります。
政権発足から77日での勝負
高市首相は年頭会見で「総理就任以来77日がたちました。目の前の課題に対し懸命に駆け抜けた77日間でございました」と振り返りました。就任直後の実績として、ガソリン暫定税率の廃止を実現したことなどを挙げています。
しかし、野党からは「高市内閣への期待感は大きいが、実績はまだ何もない」「追及逃れ解散」との批判も出ており、解散の大義を問う声は根強くあります。
衆院選の日程と議席予測
「真冬の総選挙」2つのシナリオ
衆院選の日程は、2つの案が浮上しています。
1つ目は「1月27日公示、2月8日投開票」という案です。この場合、通常国会召集後わずか4日で解散となり、国会での議論はほとんど行われません。
2つ目は「2月3日公示、2月15日投開票」という案です。若干の猶予はありますが、いずれにしても「真冬の総選挙」という異例の展開となります。雪や寒さの影響で投票率が下がる可能性もあり、選挙戦の行方は読みにくい状況です。
自民党は単独過半数回復を狙う
週刊文春と政治広報システム研究所が実施した選挙予測によると、自民党は前回の191議席から40議席以上増加し、単独過半数(233議席)を上回るとの結果が出ています。
現在、与党は昨年の臨時国会で無所属議員の自民会派入りにより、定数465の衆院でぎりぎり過半数の233議席を確保している状態です。高市首相としては、より安定した政権運営のために議席の上積みを狙いたい考えです。
参院との「ねじれ」解消も視野に
衆院で議席を増やしても、参院では依然として少数にとどまる「ねじれ国会」の状態が続いています。2027年夏には参院選が控えており、首相としては衆院選での勝利を足がかりに、参院選でも与党勢力の拡大を図りたい意向とみられます。
自民・維新連立政権の行方
26年続いた自公連立の終焉
2025年10月、1999年から続いた自民党と公明党の連立政権が解消されました。公明党の斉藤鉄夫代表は「自公連立政権についてはいったん白紙とし、これまでの関係に区切りをつけたい」と表明しました。
背景には、自民党の「政治とカネ」問題に対する国民の政治不信があり、高市総裁との政策協議で懸念の解消が図られなかったことが決定的となりました。
維新との新たな連立
自民党は公明党に代わり、日本維新の会と連立政権を樹立しました。2025年10月20日に交わされた「連立政権合意書」では、「国家観を共有し、安定した政権を作り上げ、国難を突破する」との方針が示されています。
ただし、維新は閣外協力にとどまっており、「半身の構え」という見方もあります。衆院選の結果次第では、連立の枠組みが再び変わる可能性も否定できません。
公明党との今後の関係
高市首相は、公明党との関係について「少数与党である状況は変わらない。公明党ともコミュニケーションを取らなければならない」との認識を示しています。
一方、公明党側は立憲民主党との連携を強化する動きを見せており、「高いレベルで連携」するとして党首会談も行われています。野党再編の動きも含め、政界の流動化が進んでいます。
注意点・展望
予算審議への影響
通常国会冒頭での解散には、与野党から異論が出ています。最大の懸念は、2026年度予算案の成立が4月以降に遅れることです。
物価高対策を最優先課題と掲げながら、所信表明演説も行われないまま選挙に突入することになれば、「大義なき解散」との批判は避けられません。
野党の準備不足を突く狙いか
一部の分析では、高市首相が早期解散を選んだのは、野党の選挙準備が整わないうちに勝負をかける狙いがあるとも指摘されています。
立憲民主党や国民民主党など野党各党は、選挙区での候補者調整がまだ進んでいない地域も多く、真冬の短期決戦は野党にとって不利に働く可能性があります。
2027年の自民党総裁選を見据えて
高市首相にとって、今回の衆院選は2027年秋の自民党総裁選に向けた布石でもあります。
仮に自民党単独で過半数の233議席に届かなくても、前回の191議席を大きく上回れば、政権基盤は安定し、再選・続投の可能性が高まるとの見方があります。逆に思惑通りの結果が得られなければ、政局の混迷は避けられません。
まとめ
2026年は60年ぶりの丙午の年です。干支の解釈通り、日本政治は年明けから「物事が一気に動く」展開となっています。
高市首相は70%を超える高い内閣支持率を武器に、通常国会冒頭での衆院解散という賭けに出ました。自民党単独過半数の回復を目指していますが、予算審議の遅れや「大義なき解散」への批判など、リスク要因も少なくありません。
2月上中旬に予定される「真冬の決戦」の結果は、今後の政権運営はもちろん、2027年の参院選や自民党総裁選にも大きな影響を与えることになります。日本政治の行方から目が離せない1年が始まりました。
参考資料:
- 高市首相、通常国会冒頭での解散を検討 - Yahoo!ニュース
- 2026年の日本政治:高市首相の解散判断が最大の焦点 - nippon.com
- 高市早苗首相「1月解散検討」報道…衆院選289選挙区完全予測 - 文春オンライン
- 日次世論調査「世論レーダー」週次集計 - PR TIMES
- 自公連立が解消、26年の協力関係に終止符 - Bloomberg
- 自民党と日本維新の会、連立政権合意書の全文 - 時事ドットコム
- 2026年は60年ぶりの「ひのえうま」 - ダイヤモンド・オンライン
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