衆院選で問われる「高市カラー」、夫婦別姓と皇室典範
はじめに
2026年2月8日投開票の衆議院選挙において、高市早苗首相の政策姿勢が争点の一つとなっています。特に注目されているのが、選択的夫婦別姓に対する消極姿勢と、旧姓の通称使用法制化への取り組みです。
自民党は公約で旧姓使用の拡大を掲げる一方、野党の中道改革連合は選択的夫婦別姓の導入を明記しました。「高市カラー」への向き合い方が、各党の立ち位置を示す試金石となっています。本記事では、この問題の背景と各党の政策の違いを解説します。
高市首相の「旧姓使用法制化」方針
旧姓の通称使用拡大を指示
高市早苗首相は、旧姓の通称使用拡大の法制化を平口洋法相に指示しました。「旧姓の通称使用における課題の整理と必要な検討を行い、さらなる拡大に取り組むこと」を求めています。
自民党と日本維新の会が結んだ連立合意書では、夫婦同姓の原則を維持しつつ旧姓の通称使用の法制化を目指す方針が明記されました。2026年の通常国会に法案を提出する方針です。
高市氏自身の経験
高市首相自身も旧姓使用の経験者です。2004年に結婚した際、戸籍上の姓を夫の「山本」へ変更しましたが、通称は旧姓の「高市」を使用し続けました。衆議院議員総選挙にも「高市早苗」の通称で立候補し、閣僚名簿でも「高市」を用いてきました。
2021年に山本拓氏と復縁・再婚した際には、山本氏が高市姓に改姓しています。こうした経験から、高市氏は戸籍上の夫婦同姓を維持しつつ旧姓使用を拡大する方向性を支持しています。
選択的夫婦別姓への反対
高市首相は選択的夫婦別姓に一貫して反対の立場をとっています。「夫婦親子同姓という戸籍上のファミリーネーム(家族の名称)は明治時代以来、公序良俗として確立し、社会に定着している。これからもしっかり守るべきだ」と2021年に述べています。
現行の夫婦同姓制度を維持しながら、旧姓使用の不便さを法制化によって解消するというのが、高市氏の基本方針です。
旧姓使用法制化への批判と限界
「二重の名前」がもたらす問題
旧姓使用の法制化については、複数の問題点が指摘されています。一般社団法人「あすには」の井田奈穂代表理事は、「2つ以上の名前に法的効力を与えることになり、脱税やマネーロンダリングの問題が発生する可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
また、「企業や行政が、2つ以上の名前を法的に間違いなく使いわけるためのシステム改修をやらなければならない。莫大な社会的なコストがかかる」との懸念も示されています。
国際社会での通用性
旧姓の通称使用は国際社会ではほとんど通用しないという問題もあります。パスポートには戸籍名が記載されるため、海外での契約や資格証明において、通称と戸籍名の不一致が障害となるケースが報告されています。
選択的夫婦別姓訴訟の弁護団長は、旧姓使用の法制化について、行政や企業に求めるのは努力義務にとどまり、旧姓使用を求める権利が国民に付与されるわけではないと指摘しています。「氏名権や人格的利益の侵害」や「女性に偏る改姓慣行」といった制度の根本問題は解消されないとしています。
皇室典範改正への姿勢
女系天皇には反対、女性天皇には反対せず
高市首相は皇位継承問題について、「私は女性天皇に反対しているわけではありません。女系天皇に反対しています」と述べています。
「2600年以上の長きにわたり、1度の例外もなく男系でした。男性の天皇であっても女性の天皇であっても、父親をたどれば必ず歴代の天皇に連なるという継承を維持してきた。今の時代に変えてしまったら、やり直しはききません」という立場です。
「皇室の危機」と世論
現行の皇室典範第1条は、天皇の血筋を父方から受け継いだ「男系」の男子のみが天皇になることを定めています。しかし、次世代の皇位継承資格者が悠仁親王のみという「皇室の危機」が指摘されています。
世論調査では7〜9割の国民が女性天皇に賛成しているとされ、高市首相の男系維持姿勢と国民意識との間にギャップがあります。フランスメディアは、高市氏の保守的な信念が皇室典範改正の障害となる可能性があると報じています。
衆院選における各党の公約比較
自民党の公約
自民党は2026年1月21日、衆院総選挙に向けた政権公約を決定しました。旧姓の通称使用ができずに不便を感じる人に寄り添うとうたい、旧姓使用拡大の法制化を目指す方針を盛り込んでいます。
選択的夫婦別姓については導入に消極的な姿勢を維持しています。
日本維新の会の立場
連立パートナーの日本維新の会は、戸籍制度などを維持したうえで「結婚後も旧姓を用いて社会経済活動が行える仕組みの構築を目指す」としています。自民党と足並みを揃え、旧姓使用の法制化を推進する立場です。
中道改革連合の公約
立憲民主党と公明党が合流した新党「中道改革連合」は、選択的夫婦別姓制度の「導入」を明記しています。公明党は従来から人権を守る観点で選択的夫婦別姓の法制化を主張しており、2001年には独自の民法改正案を国会に提出していました。
中道改革連合は2026年1月22日に結党大会を開き、165人の野党第1党として始動しました。野田佳彦、斉藤鉄夫両氏が共同代表に就任し、高市政権との対決姿勢を鮮明にしています。
今後の展望
通常国会での審議
自民党と日本維新の会は、2026年の通常国会に旧姓使用法制化の法案を提出する方針です。しかし、中道改革連合は選択的夫婦別姓の導入を求めており、国会での議論は平行線となる可能性があります。
衆院選の結果次第では、政策の方向性が大きく変わる可能性もあります。
有権者の選択
「高市カラー」への賛否は、保守とリベラルの価値観の違いを象徴しています。旧姓使用の拡大で十分とする立場と、戸籍上の夫婦別姓を認めるべきとする立場の対立は、今回の衆院選で有権者に問われることになります。
皇室典範改正についても、高市政権が男系維持を堅持する中、野党がどのような対案を示すかが注目されます。
まとめ
2026年衆院選では、高市早苗首相が掲げる「旧姓使用法制化」と選択的夫婦別姓への姿勢が争点となっています。自民党・維新は夫婦同姓を維持しつつ旧姓使用を拡大する方針を示し、中道改革連合は選択的夫婦別姓の導入を明記しました。
皇室典範改正についても、高市首相は男系維持を主張し、女系天皇には反対の立場です。国民の多数が女性天皇に賛成している中、この問題への対応も問われています。
「高市カラー」と呼ばれる保守的な政策姿勢への評価が、2月8日の投票結果に反映されることになります。
参考資料:
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