高市人気で自民議席回復狙う、通常国会冒頭解散の狙いとリスク
はじめに
高市早苗首相が1月23日召集の通常国会の冒頭で衆院を解散する案が浮上しています。内閣支持率が70%を超える高水準を維持する中、「高市人気」を追い風に自民党の議席回復を狙う戦略です。
2024年10月の衆院選で自公両党は過半数を割り込み、少数与党での政権運営を強いられています。早期に衆院選を実施して政権基盤を強化したいというのが、解散を検討する最大の理由です。
一方で、通常国会冒頭で解散すれば2026年度予算案の成立が4月以降にずれ込むことは避けられず、国民生活への影響を懸念する声もあります。本記事では、解散検討の背景と狙い、そしてそのリスクについて詳しく解説します。
高市内閣の高支持率
77%超の異例の高水準
最新の世論調査によると、高市内閣の支持率は77.7%と極めて高い水準を維持しています。政権発足からの「ハネムーン期間」とはいえ、これほどの支持率は近年の内閣では異例です。
自民党の政党支持率も30%台に回復しており、2024年衆院選での大敗から立ち直りつつあることがうかがえます。高市首相の個人的な人気が自民党全体の支持率を押し上げている構図です。
支持率上昇の背景
高市首相は「責任ある積極財政」と「危機管理投資」を看板政策に掲げています。財政出動による景気刺激への期待や、安全保障政策への明確な姿勢が、保守層を中心に支持を集めています。
また、自民党総裁選での勝利から首相就任に至る過程で、既存の派閥政治とは一線を画すイメージを打ち出したことも、有権者からの評価につながっています。
2024年衆院選での自公敗北
過半数割れの衝撃
2024年10月の第50回衆院選で、自民党は191議席、公明党は24議席と、合計215議席にとどまりました。定数465の過半数(233議席)を大きく下回り、自公の過半数割れは2009年の政権交代以来、15年ぶりのことでした。
自民党派閥の政治資金問題が逆風となり、有権者の厳しい審判を受けた形です。立憲民主党は148議席、国民民主党は公示前の4倍となる28議席を獲得するなど、野党が躍進しました。
少数与党での苦しい政権運営
選挙後、自民党は日本維新の会との連立に移行しました。衆院では「改革の会」3議員の自民会派入りと維新との連携により、かろうじて過半数(233)を回復しています。
しかし参院では過半数に6議席届かず、「ねじれ国会」が続いています。予算案や法律案の可決には野党の協力が必要であり、政権運営は不安定な状態にあります。
通常国会冒頭解散の狙い
高支持率を活かした議席回復
高市首相が通常国会冒頭での解散を検討している最大の理由は、高い支持率を活かして自民党の議席を回復させることです。
首相は自民党幹部に対し、冒頭解散を「選択肢のひとつ」と伝えています。支持率が高いうちに選挙を行い、政権基盤を強化したいという考えです。
自身の政策への信任を問う
解散総選挙には、首相自身の看板政策である「責任ある積極財政」と「危機管理投資」への国民的信任を問うという側面もあります。
選挙に勝利すれば、これらの政策を本格的に推進するための政治的正統性を得ることができます。財政拡張路線への批判をかわし、政策実現への道を開くことが期待されています。
想定される選挙日程
1月23日に通常国会冒頭で解散した場合、衆院選の日程は「2月3日公示―15日投開票」または「1月27日公示―2月8日投開票」が候補となります。
真冬の選挙となりますが、投票率の低下が懸念される一方、組織票を持つ自民党には有利に働く可能性もあります。
解散に伴うリスク
2026年度予算成立の遅延
通常国会冒頭で解散に踏み切った場合、最大のリスクは2026年度予算案の成立遅延です。例年3月末までに成立する当初予算が、4月以降にずれ込むことは避けられません。
予算審議より衆院選を優先した場合、国民生活に直結する物価高対策が遅れることになります。高市政権が優先課題に掲げる対策が、皮肉にも選挙によって後回しになる恐れがあります。
暫定予算の編成
予算が年度内に成立しなければ、暫定予算の編成が必要になります。暫定予算とは、本予算が成立するまでの一時的な期間、必要最小限の経費を賄うための予算です。
1953年の「バカヤロー解散」では、暫定予算が繰り返し編成され、本予算の成立は7月31日までずれ込みました。2013年度と2015年度にも前年末の衆院選の影響で暫定予算が組まれた例があります。
自治体への影響
選挙事務を担う自治体では、新年度の予算編成作業と重なる繁忙期でもあります。首長や担当者からは負担の重さに困惑の声が上がっています。
国の予算成立が遅れれば、国の補助金を当てにしている自治体の事業にも影響が出る可能性があります。
野党の反応と政治情勢
野党からの批判
野党は冒頭解散について「なぜ今か」と反発を強めています。予算審議を後回しにする姿勢は、国民生活より政権維持を優先しているとの批判につながりかねません。
特に2024年衆院選で躍進した立憲民主党や国民民主党は、与党の姿勢を厳しく追及する構えです。
連立パートナー・維新の立場
自民党と連立を組む日本維新の会の対応も焦点です。維新としては、自民党の議席が増えすぎると連立内での発言力が低下するため、微妙な立場に置かれます。
一方で、解散総選挙となれば維新自身も議席拡大を目指すことになり、与野党入り乱れた選挙戦となる可能性があります。
参院「ねじれ」の継続
仮に衆院選で自民党が議席を大きく伸ばしたとしても、参院での「ねじれ」は継続します。2025年夏の参院選までは、予算案以外の法案可決には引き続き野党の協力が必要です。
つまり、衆院選での勝利だけでは政権運営の安定化には限界があります。
今後の展望
慎重論も存在
高市首相自身は、今年1月5日の年頭記者会見で早期解散に慎重な姿勢を示唆していました。「国民に物価高対策、経済対策の効果を実感いただくことが大切」と述べ、目の前の課題に取り組む姿勢を強調しています。
党内からも、予算成立を優先すべきとの声があります。解散のタイミングは、党内調整の結果次第で変わる可能性があります。
複数のシナリオ
日本経済新聞は、高市首相の解散判断について「春・夏・秋・見送り」の4つの選択肢を挙げています。通常国会冒頭解散は最も早いタイミングですが、予算成立後の春解散、参院選との同日選となる夏解散なども検討対象となりえます。
政権発足から時間が経てば支持率は下降する傾向があり、解散のタイミングは首相にとって最も重要な政治判断となります。
まとめ
高市早苗首相が通常国会冒頭での衆院解散を検討している背景には、77%超という高い内閣支持率があります。2024年衆院選で過半数を割り込んだ自民党の議席回復を図り、政権基盤を強化する狙いです。
一方で、解散すれば2026年度予算案の成立が4月以降にずれ込み、物価高対策をはじめとする国民生活に直結する施策が遅れるリスクがあります。暫定予算の編成や自治体への負担増も懸念材料です。
支持率の高いうちに選挙で勝利するか、国民生活を優先して予算を成立させるか。高市首相の判断が2026年の政治情勢を大きく左右することになります。
参考資料:
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