高市首相の冒頭解散検討、自民税調会長が懸念を表明
はじめに
2026年1月14日、自民党の小野寺五典税制調査会長が、高市早苗首相による通常国会冒頭での衆議院解散検討について「少し戸惑っている」と発言し、注目を集めています。
高市首相は1月23日に召集される通常国会の冒頭で衆院解散を行う可能性を周辺に伝えており、最短で2月8日の投開票も想定されています。しかし、2026年度予算案の年度内成立が見通せていた状況での解散には、与党内からも懸念の声が上がっています。
本記事では、冒頭解散の検討に至った背景、予算審議への影響、そして過去の冒頭解散の事例を踏まえて、今後の政局の行方を解説します。
小野寺税調会長の発言の真意
「予算の年度内成立が見えていた」
小野寺五典税調会長は1月14日、高市首相が通常国会冒頭での衆院解散を検討していることへの見解を問われ、「解散は首相の専権事項」と前置きしたうえで、率直な懸念を表明しました。
「このまま国会を普通にやっていけば、ある面で予算も年度内成立が見えておりました。そういう中でのこの解散ですので、多少は私自身は戸惑っております」
政府が閣議決定した2026年度予算案は過去最高の約122兆円規模です。通常であれば、1月23日の国会召集から審議を進め、3月末までの年度内成立を目指すスケジュールでした。
税調会長としての立場
小野寺氏は2025年10月に自民党税制調査会長に就任したばかりです。防衛大臣経験者として知られる同氏ですが、税制改正という重要な役割を担う中での突然の解散検討は、予算・税制審議の日程を大きく狂わせる可能性があります。
同氏は「ここ1日、2日の動きを見ると、かなりその可能性は高いなと思っています。私どもは常在戦場ですから、しっかりと準備をしていく必要があると思います」とも述べ、選挙への備えを示しつつも、内心の複雑さをにじませました。
高市首相が冒頭解散を検討する背景
高い内閣支持率の維持
高市内閣の支持率は、2025年10月の発足以来、70%台という歴史的な高水準を維持しています。各社の世論調査では、読売新聞73%、日経新聞75%、産経新聞75.9%など軒並み高い数字が並びます。
特に若年層からの支持が顕著で、FNNの調査では10〜20代男性で89.4%、10〜20代女性で95.5%という驚異的な支持率を記録しています。
この「高市人気」を追い風に選挙に臨むことで、自民党の議席回復と政権基盤の強化を図る狙いがあるとされています。
参院の与党過半数割れと政策推進力
現在、参議院では与党が過半数を割り込んでいます。この状況では重要法案の可決に野党の協力が不可欠となり、政策の推進力が低下します。
衆院選で勝利し、衆議院での議席を上積みすることができれば、いわゆる「衆議院の優越」を活用して、政策実現の推進力を高めることができます。高市首相としては、支持率の高いうちに「勝負」に出る判断をしたものとみられます。
野党の準備不足を突く戦略
2月の投開票となれば、野党にとっては選挙準備の時間が十分に確保できません。立憲民主党の安住淳幹事長は「1年2カ月前に選挙やったばかりで”またかよ”って感じ」と批判しています。
2024年10月の衆院選から約1年という短期間での再選挙となれば、候補者調整や選挙資金の確保など、野党側の態勢は万全とは言えない状況です。
冒頭解散の歴史と課題
現行憲法下で4例の冒頭解散
国会召集日に論戦を経ないまま衆院を解散する「冒頭解散」は、現行憲法下でこれまで4例あります。1966年の「黒い霧解散」や1986年の「寝たふり解散」などが知られており、いずれの選挙でも自民党は善戦または勝利しています。
冒頭解散には「野党に準備の時間を与えない」効果がある一方で、「大義なき解散」という批判を受けやすいリスクもあります。
予算成立と暫定予算の問題
冒頭解散が実施された場合、2026年度予算案の審議は大幅に遅れます。最悪の場合、年度内(3月末まで)の成立ができず、4月以降に「暫定予算」の編成が必要となる可能性があります。
暫定予算とは、本予算が成立しない場合に、行政機能を維持するための必要最小限の経費を計上した予算です。過去には1972年から1992年まで21年連続で年度内成立ができず、そのうち13年で暫定予算が編成された時期もありました。
政府関係者によると、すでに暫定予算の編成検討が始まっているとの報道もあり、解散に向けた準備は着々と進んでいるようです。
注意点・展望
解散の「大義」をどう説明するか
冒頭解散の最大の課題は、「なぜ今、解散するのか」という説明です。野党からは「自民党に都合のいい結果を出そうとする邪な解散」との批判が上がっています。
高市首相がどのような「大義」を掲げて解散に踏み切るのか、あるいは最終的に解散を見送るのか、今後の動向が注目されます。
首相の外交日程と最終判断
高市首相は1月13日から約1週間の外交日程を控えています。報道によれば、この外交日程を終えた後に、与野党の反応や世論の動向を見極めて最終判断するとみられています。
想定される選挙日程は「1月27日公示、2月8日投開票」または「2月3日公示、2月15日投開票」が軸とされています。いずれにしても、「真冬の決戦」となることは避けられません。
自民党内の温度差
小野寺税調会長の発言に象徴されるように、自民党内でも冒頭解散への評価は分かれています。予算審議を重視する議員からは慎重論も聞かれ、高市首相の求心力が問われる局面ともいえます。
まとめ
高市早苗首相による通常国会冒頭での衆院解散検討は、高い内閣支持率を背景とした政権基盤強化の戦略とみられます。一方で、自民党税調会長の小野寺五典氏が「戸惑っている」と発言したように、予算審議への影響を懸念する声も党内に存在します。
冒頭解散が実施されれば、2026年度予算案の年度内成立は困難となり、暫定予算の編成が必要となる可能性があります。「大義なき解散」との批判をどう乗り越えるのか、高市首相の政治判断に注目が集まっています。
最終判断は外交日程後とみられていますが、すでに各都道府県選管への事務連絡が発出されるなど、選挙への準備は進んでいます。今後1週間の政治の動きから目が離せません。
参考資料:
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