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by nicoxz

高市首相が衆院解散表明、食料品消費税2年間ゼロの行方

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はじめに

高市早苗首相は2026年1月19日、首相官邸での記者会見で、23日召集の通常国会冒頭で衆院を解散する意向を正式に表明しました。衆院選の日程は1月27日公示、2月8日投開票となります。

注目を集めているのは、食料品を2年間消費税の対象としないという政策です。高市首相は「私自身の悲願」と語り、実現に向けた検討を加速すると強調しました。本記事では、異例の冬の解散総選挙の背景と、食料品消費税ゼロ政策の実現可能性について解説します。

異例の2月投開票、36年ぶりの冬の選挙

国会冒頭解散の決断

高市首相は就任からわずか3カ月で衆院解散に踏み切ります。1月の衆院解散は1990年以来36年ぶり、解散から投開票までの期間は16日と戦後最短の短期決戦となります。

首相が早期解散に踏み切る理由として挙げたのは「政治の安定」です。自民党と日本維新の会の連立政権の枠組みや、連立政権合意の内容について国民の審判を得る必要があるとしています。また、積極財政や安全保障関連3文書の見直しといった新たな政策についても信を問うとしています。

高い内閣支持率を追い風に

高市内閣の支持率は報道各社の世論調査で60〜70%台の高水準を維持しています。自民党の独自調査では現有議席の196を大きく上回る260議席程度を見込めるとの結果も出たとされ、首相は高い支持率を追い風に政治基盤の強化を図っています。

日本初の女性首相として注目を集める高市氏ですが、参院では少数与党の「ねじれ国会」状態にあり、政権運営は不安定です。衆院選で大勝すれば、政策遂行の基盤が強化されます。

自民・維新連立という新たな枠組み

1999年から26年続いた自民・公明両党の連携は、高市総裁の誕生とともに終止符を打ちました。公明党が企業・団体献金の規制強化で折り合えなかったとして連立を離脱し、代わりに日本維新の会との連立政権が発足しました。

ただし、維新は閣外協力にとどまっており、衆院での両党の議席はぎりぎり過半数の233。政権運営は綱渡りの状態が続いています。衆院選で与党が議席を伸ばせば、より安定した政権運営が可能になります。

食料品消費税2年間ゼロの衝撃

首相の「悲願」

高市首相は記者会見で、飲食料品の消費税率を2年間ゼロとすることについて「自民党と日本維新の会の連立政権合意書に書いた政策でもあり、私自身の悲願でもあった」と述べました。

衆院選後に社会保障と税の一体改革を議論する超党派の「国民会議」を早期に立ち上げ、「財源やスケジュールの在り方など、実現に向けた検討を加速する」と強調しています。

連立合意に明記された政策

自民党と日本維新の会が2025年10月に交わした連立政権樹立の合意書には、「飲食料品については2年間に限り消費税の対象としないことも視野に法制化の検討を行う」と明記されています。

自民党の鈴木俊一幹事長も「連立合意に書かれたことを誠実に実現するのが基本的な立場だ」と述べており、党として前向きに取り組む姿勢を示しています。

年間5兆円の税収減という課題

食料品の消費税率をゼロにした場合、年間約5兆円の税収減が見込まれます。これは国の一般会計歳入の約5%に相当する巨額です。

財源について高市首相は「特例公債に頼ることなく、補助金や租税特別措置、税外収入などの歳出・歳入全般の見直しが考えられる」と述べるにとどめました。具体的な財源の詳細は示されておらず、実現可能性に疑問の声も上がっています。

積極財政と市場への影響

「責任ある積極財政」の旗印

高市政権は「責任ある積極財政」を掲げています。デフレ脱却と経済成長を優先し、財政規律よりも成長投資を重視する姿勢です。消費税減税もこの文脈に位置づけられています。

ただし、政権発足後は円安と国債の長期金利上昇が続いており、首相が消費減税を掲げた場合の為替・債券市場への影響を懸念する声も政府内にはあります。財政規律の緩みを市場が嫌気すれば、さらなる円安や金利上昇を招く可能性があります。

物価高対策としての位置づけ

食料品の消費税ゼロは、物価高対策としての側面も持っています。2022年以降続く物価上昇で、家計の食費負担は増大しています。食料品の税負担をなくすことで、特に低所得層の生活を支援する効果が期待されています。

野党も物価高対策を重視しており、消費税減税は与野党共通の争点になりつつあります。立憲民主党と公明党が距離を縮め、新党「中道改革連合」の結成も取り沙汰されるなど、政界は流動化しています。

維新との連携と衆院定数削減

「改革のセンターピン」の行方

日本維新の会にとって、衆院の定数1割削減は「改革のセンターピン」と位置づけられてきました。自民・維新両党で定数削減の法案を提出したものの、野党の反対で審議入りさえできていません。

維新の吉村洋文代表は定数削減を重視する姿勢を示しており、通常国会での法案成立が難しくなれば、閣外協力の見直しに発展しかねない状況です。衆院選の結果次第では、連立の枠組みにも影響が出る可能性があります。

立憲・公明の接近

野党側では、立憲民主党と公明党が接近しています。両党の党首は「より高いレベルで連携」することで一致し、異なる政党の候補者を同じ比例名簿に登載する「統一名簿」方式も検討されています。

自公連立の解消で政界の構図は大きく変わりました。今回の衆院選は、新たな政治の枠組みを問う選挙でもあります。

注意点・今後の展望

財源問題の詰めが不可欠

食料品消費税2年間ゼロの実現には、年間約5兆円の財源確保が不可欠です。高市首相は「特例公債に頼らない」としていますが、具体的な財源は示されていません。

補助金や租税特別措置の見直しで5兆円を捻出するのは容易ではありません。選挙公約として掲げるだけでなく、実現可能な財源計画を示せるかが問われます。

市場の反応に注意

積極財政路線と消費税減税の組み合わせは、市場から財政規律の緩みと受け止められるリスクがあります。円安や金利上昇が加速すれば、物価高対策としての効果が減殺される可能性もあります。

「2年間」の後をどうするか

仮に食料品消費税ゼロが実現したとしても、「2年間」という時限措置の後をどうするかという問題があります。2年後に元に戻せば事実上の増税となり、政治的なハードルは高いでしょう。

まとめ

高市早苗首相は23日の衆院解散を正式に表明し、1月27日公示、2月8日投開票という異例の冬の選挙戦が始まります。食料品消費税2年間ゼロという大胆な政策を掲げ、高い支持率を追い風に政権基盤の強化を図る構えです。

ただし、年間5兆円の財源問題や市場への影響など、実現に向けた課題は山積しています。有権者は各党の公約を吟味し、実現可能性も含めて判断することが求められます。

参考資料:

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