高市首相がスターマー英首相に猫グッズ贈呈の背景
はじめに
2026年1月31日、高市早苗首相は来日した英国のキア・スターマー首相と首相官邸で会談を行いました。安全保障や経済連携など重要議題が話し合われた一方で、会談後にSNSで大きな注目を集めたのは、高市首相がスターマー首相に日本製の猫グッズを贈呈したというエピソードです。
高市首相はX(旧ツイッター)に投稿し、「日本を身近に感じていただけることを願って」と猫グッズの詰め合わせを贈ったことを明かしました。この「猫外交」は、堅い外交ニュースの中でほほえましい話題として広く拡散されました。
スターマー首相と猫の深い関係
英国首相官邸の「ネズミ捕獲長」ラリー
英国首相官邸であるダウニング街10番地には、2011年から「首席ネズミ捕獲長(Chief Mouser to the Cabinet Office)」の称号を持つ猫のラリーが常駐しています。ラリーは約19歳の高齢猫ながら、英国史上最も長く在任した「首席ネズミ捕獲長」であり、キャメロン首相からスターマー首相まで6人の首相を見届けてきました。
スターマー首相自身も愛猫家として知られており、官邸のラリーに加えて個人的にも2匹の猫を飼っています。高市首相はこうした情報を踏まえた上で、猫グッズという親しみやすい贈り物を選んだとみられます。
贈呈された猫グッズの中身
報道によると、贈呈された猫グッズの詰め合わせには、日本製の猫の碗、猫の置物、金魚型のおもちゃなどが含まれていました。スターマー首相は笑顔でそれらを手に取る様子が報じられ、首脳間の和やかな雰囲気が伝わるシーンとなりました。
日英首脳会談の本題と成果
安全保障分野の連携強化
猫グッズの話題が注目される一方で、日英首脳会談の本題は安全保障と経済の分野における連携強化でした。両首脳は年内に外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)を開催することで合意しました。
高市首相は会談冒頭で「欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分だ。日英の協力は不可分性を象徴している」と強調しています。中国の軍事的台頭や北朝鮮の核・ミサイル問題を背景に、日英両国はインド太平洋と欧州の安全保障を結びつける戦略的パートナーシップを深めています。
重要鉱物のサプライチェーン強化
首脳会談では、重要鉱物のサプライチェーン強化が「急務」であるとの認識で一致しました。中国によるレアアース(希土類)の対日輸出規制強化が背景にあり、日英両国が代替供給源の確保に向けて協力する方針が確認されています。
サイバーセキュリティや宇宙分野での連携強化でも合意し、日英関係は軍事・経済の両面で一段と深化する方向性が示されました。
「猫外交」の外交的意味
個人的な贈り物がもたらす効果
首脳外交において、相手国のリーダーの趣味や関心に配慮した贈り物は、信頼関係の構築に有効な手段です。公式な外交議題の合間に見せる人間的な一面が、メディアやSNSを通じて両国の国民に親しみを与えます。
高市首相がスターマー首相の猫好きを事前にリサーチし、日本の文化を反映した猫グッズを選んだことは、外交上の細やかな配慮として評価できます。堅い安全保障の議論だけでなく、こうしたソフトなコミュニケーションも現代外交の重要な要素です。
SNS時代の外交発信
高市首相がXに投稿したことで、この贈り物のエピソードは瞬く間に拡散されました。従来の首脳外交は公式声明や共同記者会見が中心でしたが、SNSを活用した発信により、一般市民にも外交の様子が身近に伝わるようになっています。
「猫外交」というキャッチーな切り口は、日英関係の強化という本質的なメッセージを多くの人に届ける効果を持ちました。
注意点・展望
首脳間の和やかなエピソードは外交関係の良好さを示す一面ですが、日英関係の実質は安全保障協力や経済連携の具体的な進展で測られます。2プラス2の開催や重要鉱物の供給網構築など、合意事項の着実な実行が今後の焦点です。
英国はEU離脱後、インド太平洋地域への関与を強めており、日英関係の重要性は今後も増していくと考えられます。高市首相とスターマー首相の良好な個人関係が、実質的な協力の進展にどうつながるかが注目されます。
まとめ
高市首相によるスターマー首相への猫グッズ贈呈は、日英首脳会談の中で生まれた微笑ましいエピソードです。安全保障の連携強化や重要鉱物のサプライチェーン確保という本題に加え、こうした人間的な交流が両国関係の深化を支えています。
SNS時代にふさわしい外交発信の好例として、「猫外交」は日英関係への関心を広く喚起する効果を果たしました。今後の日英協力の具体的な進展に注目していく必要があります。
参考資料:
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