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by nicoxz

東京転入超過が4年ぶり減少、マンション高騰が人口動態を変える

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はじめに

2026年2月3日、総務省が発表した2025年の住民基本台帳に基づく人口移動報告で、東京都への転入超過数が4年ぶりに縮小したことが明らかになりました。転入超過数は6万5,219人で、前年から約1万4,000人減少しています。

この背景には、東京23区を中心としたマンション価格の高騰があります。新築マンションの平均価格は1億円を超え、中古マンションも19カ月連続で上昇を続けています。「住みたくても住めない」という状況が、東京一極集中のスピードを鈍化させているのです。

本記事では、東京のマンション価格高騰が人口動態に与える影響と、近隣県が受け皿となっている現状について解説します。

東京のマンション価格はどこまで上がったのか

新築マンションは平均1億円超え

2025年の東京23区における新築マンション平均価格は、ついに1億円の大台を突破しました。上半期の平均価格は1億3,064万円で、前年同期比20.4%増という大幅な上昇です。

特に2025年5月には、平均価格が1億4,049万円、㎡単価が211.2万円という過去最高を記録しました。70㎡のマンションであれば約1億5,000万円という計算になります。

この価格水準は、一般的な会社員の年収では到底手が届かない領域です。住宅ローンを組んで購入する場合、年収の7〜8倍が目安とされますが、1億円のマンションを購入するには年収1,250万円以上が必要になります。

中古マンションも高騰が続く

新築が手が届かないなら中古を、と考える方も多いでしょう。しかし、中古マンション市場も同様に高騰しています。

2025年11月時点の東京23区における中古マンションの平均希望売り出し価格は、70㎡換算で1億1,485万円と最高値を更新しました。上昇は19カ月連続で、勢いが止まる気配はありません。

9年前(2016年)と比較すると、平均売買平米単価は約66万円から約114万円へと48万円も上昇しています。率にして約73%の上昇です。

価格上昇の構造的要因

マンション価格がここまで上昇した背景には、複合的な要因があります。

まず、建築コストの上昇です。建設資材の高騰と人手不足により、建築費は年々増加しています。また、都心部では用地取得が困難になっており、デベロッパーが新規プロジェクトを抑制する動きもあります。

さらに、海外投資マネーの流入も価格を押し上げています。円安の進行により、外国人投資家にとって東京の不動産は割安に映り、投資対象として人気を集めています。

人口移動報告が示す変化

東京への転入超過が4年ぶりに縮小

総務省が発表した2025年の人口移動報告によると、東京都への転入超過数は6万5,219人でした。前年の7万9,285人から約1万4,000人の減少です。

転入超過が減少するのは、新型コロナウイルス禍の2021年以来、4年ぶりのことです。コロナ禍では行動制限により人の移動そのものが減少しましたが、今回は異なる理由による減少と見られています。

内訳を見ると、転入者が9,611人減少し、転出者が4,455人増加しています。転入者の減少が主因であることから、「東京に来る人が減った」という構造が読み取れます。

東京圏全体でも縮小傾向

東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)全体でも、転入超過は12万3,534人で、前年から約1万2,000人縮小しました。

ただし、縮小は主に東京都で発生しており、近隣3県は引き続き人口を吸収しています。東京都から見た場合、埼玉県への転出超過が続いているほか、千葉県と神奈川県も2024年から転入超過に転じています。

これは、東京都心の住宅価格が高騰する中、相対的に価格が抑えられた近隣県に人口が流れていることを示唆しています。

近隣県が受け皿に

埼玉・千葉・神奈川の受け皿機能

東京23区で住宅を購入できない層にとって、通勤圏内にある埼玉県、千葉県、神奈川県は現実的な選択肢となっています。

特に鉄道沿線の利便性が高いエリアでは、マンション開発が活発に行われています。東京23区と比較すると、価格は3〜5割程度安い水準で購入できるケースも多くあります。

テレワークの普及も、この動きを後押ししています。毎日オフィスに出社する必要がなくなれば、通勤時間の長さは以前ほど大きなデメリットにはなりません。

都心回帰と郊外分散の二極化

一方で、すべての人が郊外に流れているわけではありません。高所得層や外国人投資家は引き続き都心の物件を購入しており、価格の二極化が進んでいます。

超高層マンション(タワーマンション)は、2025年以降も大量供給が予定されています。2026年には2万5,000戸規模の供給が見込まれており、富裕層向けの市場は依然として活況です。

つまり、「買える人」と「買えない人」の格差が、住む場所の格差にも直結する構造が鮮明になっています。

今後の見通しと注意点

金利上昇の影響

2025年12月、日銀は政策金利を0.25%引き上げ、0.75%に設定しました。これに伴い、長期金利の指標となる10年国債利回りは2%を超える水準まで上昇しています。

金利の上昇は住宅ローンの負担増に直結します。今後、金利上昇が本格化すれば、購入を見送る層が増え、価格上昇に歯止めがかかる可能性もあります。

2025年問題と中古市場

「2025年問題」と呼ばれる団塊世代の高齢化も、不動産市場に影響を与える可能性があります。団塊世代は1970年代から1990年代にかけて都心の良質なマンションを多数購入しており、これらの物件が相続や売却によって中古市場に出回ると、需給バランスが変化する可能性があります。

ただし、人気エリアの物件は海外マネーの受け皿となり、価格が下落しにくいという見方もあります。エリアや物件の特性によって、今後の価格動向は大きく異なるでしょう。

税制改正の動向

2026年度の税制改正大綱では、住宅ローン減税の対象となる住戸面積の40㎡緩和が恒久措置となる可能性が高まっています。これが実現すれば、コンパクトマンションや郊外の物件への需要が増加することが予想されます。

まとめ

東京都への転入超過が4年ぶりに縮小した背景には、マンション価格の高騰という構造的な問題があります。新築・中古ともに平均価格が1億円を超える水準では、一般的な所得層にとって東京23区での住宅購入は困難です。

この結果、人口は東京都から近隣3県へと流れ、「東京一極集中」のかたちが変化しつつあります。ただし、富裕層や海外投資家による都心への投資は続いており、住む場所の格差は今後も拡大する可能性があります。

住宅購入を検討している方は、金利動向や税制改正の行方を注視しながら、自身のライフスタイルに合った選択を検討することが重要です。

参考資料:

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