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by nicoxz

東京都の転入超過4年ぶり縮小、外国人は転出超過に転じる

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はじめに

総務省が2026年2月3日に発表した2025年の住民基本台帳人口移動報告によると、東京都の転入超過数は6万5219人となり、4年ぶりに縮小しました。さらに注目すべきは、外国人の転出者数が転入者数を上回り、転出超過に転じたことです。

この変化の背景には、都心部の家賃高騰や円安による外国人の日本離れなど、複合的な要因が存在します。本記事では、最新の人口移動データを読み解き、東京一極集中の現状と今後の見通しについて詳しく解説します。

2025年人口移動報告の主要ポイント

東京都の転入超過が4年ぶりに減少

2025年の東京都への転入超過数は6万5219人で、前年の7万9285人から約1万4000人減少しました。新型コロナウイルス禍だった2021年以来、4年ぶりの縮小となります。

この減少の内訳を見ると、転入者が約9600人減少し、転出者が約4500人増加しています。つまり、東京に来る人が減り、東京を離れる人が増えたという二重の効果が働いています。

年齢別にみる人口移動の特徴

東京都への転入超過を年齢別に分析すると、明確な傾向が浮かび上がります。

転入超過が多い世代

  • 20〜24歳:5万7263人の転入超過(就職・進学世代)

転出超過が多い世代

  • 0〜9歳:子育て世帯の郊外移住
  • 35歳以上:ファミリー層の転出
  • 60〜64歳:4222人の転出超過(リタイア世代の地方回帰)

このデータは、東京が若者を引き付け続ける一方で、子育て世代やシニア層が東京を離れる傾向を示しています。

東京圏全体の動向

東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の4都県)全体では12万3534人の転入超過でした。2014年の集計開始以来12年連続の転入超過となりましたが、超過幅は前年比で約1万2300人縮小しています。

転入超過となったのは東京圏の4都県に加え、滋賀県、大阪府、福岡県の計7都府県のみ。残る40道府県は転出超過となり、最も転出超過が多かったのは広島県の9921人でした。

外国人が転出超過に転じた背景

転入から転出超過へ

2025年の報告で特筆すべきは、外国人の動向です。転出者数5万4236人が転入者数5万3858人を上回り、転出超過に転じました。これは近年の外国人増加傾向からの転換点を示す可能性があります。

円安が外国人労働者に与える影響

外国人の転出超過には、円安の影響が大きく関係しています。日本で受け取る賃金は変わらなくても、母国への送金額が自国通貨換算で目減りするためです。

マイナビグローバルの調査によると、2024年の外国人労働者の日本での就労意欲は91.0%でしたが、2022年と比較すると5.8%減少しています。日本で働きたくない理由の最多は「円安」でした。

他国との競争激化

採用支援会社「ASIA to JAPAN」の三瓶雅人社長は「最近の円安の影響で中国沿岸部、台湾、韓国の優秀な学生が日本を選ばなくなっている」と指摘しています。

アジア諸国の経済発展により、日本以外の選択肢が増えていることも、外国人の日本離れを加速させている要因です。

家賃高騰が転入超過縮小に影響

東京23区の家賃上昇

東京都への転入超過縮小の一因として、都心部を中心とした家賃の高騰が挙げられます。

2025年の東京23区では、ワンルームマンションの平均家賃が10万3938円(前年比+29%)と異例の高騰を記録。カップル向き物件は28カ月連続で上昇し、3月の平均家賃は16万3554円に達しました。

ファミリー向け物件も前年同月比+9.7%上昇し、平均家賃は24万8032円。70平方メートルを超える大型ファミリー向けは平均39万2976円となっています。

新築マンション価格は過去最高

不動産経済研究所によると、2024年度の首都圏新築マンション1戸あたりの平均発売価格は前年度比7.5%上昇の8135万円で過去最高を更新。東京23区は11.2%上昇の1億1632万円で、2年連続で1億円を超えています。

このような住宅価格・家賃の高騰が、若年層の東京への移住意欲を削いでいる可能性があります。

東京一極集中は続くのか

若者の就職時に東京に集まる傾向

住民基本台帳人口移動報告によると、2023年の東京都への若者流入のうち、15〜19歳が占める割合は14.5%にすぎず、20〜24歳が63.6%を占めています。これは、地方の若者が東京に流入する主な段階が大学進学時点ではなく、就職時点であることを示しています。

大手企業の本社機能が東京に集中している現状では、就職を機とした上京の流れは今後も続く見込みです。2024年3月の20〜24歳の転入超過数は3万2639人で、年々増加傾向にあります。

将来予測

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、全国に占める東京圏の人口割合は2020年の29.3%から2050年には33.7%へ上昇すると予測されています。東京一極集中は今後も続くものの、そのペースは鈍化する可能性があります。

東京都でも2040〜2045年には人口減少社会に突入する見通しで、日本全体の人口減少の影響は避けられません。

今後の注目点

政策面での対応

政府は東京一極集中の是正を政策課題として掲げていますが、効果的な対策は見いだせていません。地方創生や関係人口の増加、デジタル田園都市国家構想など、様々な施策が進められていますが、抜本的な解決には至っていないのが現状です。

企業の動向

リモートワークの普及により、一時期は郊外や地方への分散が進みましたが、最近は「都心回帰」の動きが強まっています。企業のオフィス戦略や働き方の変化が、今後の人口移動に大きな影響を与える可能性があります。

外国人労働者の確保

日本は人口減少への対応として外国人労働者の受け入れを拡大してきましたが、円安や他国との競争により、日本を選ぶ外国人が減少する懸念があります。賃金水準の引き上げや労働環境の改善など、外国人に選ばれる国づくりが求められています。

まとめ

2025年の人口移動報告は、東京一極集中の転換点を示唆する内容となりました。東京都への転入超過が4年ぶりに縮小し、外国人は転出超過に転じたことは、これまでの人口動態に変化の兆しが見えることを意味します。

家賃高騰や円安といった経済的要因が、人々の居住地選択に影響を与えています。今後は、住宅政策、地方創生、外国人労働者の受け入れ環境整備など、多角的な視点からの対応が求められるでしょう。

参考資料:

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