トヨタ6年連続世界首位確定、VW中国苦戦が明暗分ける

by nicoxz

はじめに

2026年1月12日、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループが2025年の世界販売台数を発表し、トヨタ自動車が6年連続で世界首位となることが確定しました。VWの年間販売台数は前年比0.5%減の898万3,900台にとどまり、トヨタグループ(ダイハツ・日野含む)の2025年1〜11月実績1,032万台を下回りました。

この結果は、中国市場での競争激化や電気自動車(EV)シフトへの対応の違いが明暗を分けた形です。本記事では、両社の2025年販売実績を詳しく分析し、自動車業界の今後の展望について解説します。

VWが直面した二つの逆風

中国市場での苦戦

VWにとって最大の課題となったのが中国市場です。2025年の中国での販売台数は約269万台で、前年比8.0%減という厳しい結果となりました。

中国市場では、BYDやGeely(吉利汽車)といった地場メーカーがEV・プラグインハイブリッド車で急成長を遂げています。かつて中国市場で首位を誇ったVWは、2024年にBYDに首位の座を明け渡し、2025年にはGeelyにも抜かれて3位に後退しました。

この背景には、中国メーカーが展開する価格競争力の高いEVや、スマートフォン連携などの先進的なインフォテインメント機能があります。VWのIDシリーズは一定の評価を得ているものの、中国国産EVとの価格差が販売の足かせとなっています。

北米市場でもトランプ関税の影響

北米市場でもVWは苦戦を強いられました。2025年の北米販売は前年比10.4%減となり、トランプ政権による高関税政策が逆風となりました。

ただし、北米でのEV販売は前年比45.7%増の7万2,000台と好調で、電動化の流れ自体は着実に進んでいます。

VWのEV販売は32%増と好調

世界全体でのEV躍進

一方で明るい材料もあります。VWグループの2025年世界EV販売台数は前年比32%増の98万3,100台に達し、総販売に占めるEV比率は約11%まで上昇しました。

特に欧州市場では、VWグループのEV販売が好調で、全EV販売の75%を欧州が占めています。欧州ではEV補助金政策や排出規制の強化を追い風に、ID.3やID.4といったモデルが堅調な販売を記録しました。

中国でのEV販売は44%減

しかし、中国でのEV販売は前年比44%減と大幅に落ち込みました。中国では価格10万元(約200万円)前後の低価格EVが主流となっており、VWのID シリーズは価格帯で競争力を発揮しきれていません。

VWはXPeng(小鵬汽車)との提携や、FAWグループとの協業を通じて中国市場向け車両の開発を加速していますが、地場メーカーとの差を埋めるには時間がかかる見込みです。

トヨタが首位を維持できた理由

中国市場で4年ぶりの増加

トヨタは2025年、中国市場で前年比0.2%増の178万400台を販売し、4年ぶりにプラス成長を達成しました。これは日系メーカーの中でも「例外的」な成果として注目されています。

この成功の鍵となったのが、2025年3月に発売した新型EV「bZ3X(鉑智3X)」です。コンパクトSUVセグメントで競争力のある価格設定を実現し、9月には外資合弁EVとして初めて月間販売首位を獲得。10月には月間1万台を突破しました。

マルチパスウェイ戦略の強み

トヨタの強みは「マルチパスウェイ戦略」にあります。EV一辺倒ではなく、ハイブリッド車(HV)を軸に、プラグインハイブリッド(PHEV)、EV、燃料電池車(FCV)を市場ニーズに応じて展開する戦略です。

2025年、トヨタは世界で約414万台のハイブリッド車を販売しました。充電インフラが整備途上の地域や、航続距離への不安を持つ消費者にとって、ハイブリッド車は現実的な選択肢として支持を集めています。

日本国内市場の回復

日本国内でも、トヨタは2025年1〜11月に192万台以上を販売し、前年比12%増を記録しました。2024年に認証不正問題で生産停止を余儀なくされたダイハツ工業の生産回復も、グループ全体の販売増に貢献しています。

自動車業界の構造変化と今後の展望

EVシフトの「踊り場」

2025年の世界自動車市場は、EV化の「踊り場」とも言える状況にありました。欧州ではEV販売が堅調に推移する一方、米国ではEV補助金の先行き不透明感から購入を見送る消費者も増加。中国では低価格化競争が激化し、メーカーの収益性が課題となっています。

VWの今後の戦略

VWは2027年に発売予定の「ID.1」で、リヴィアン(Rivian)と共同開発した新しい電子アーキテクチャを採用する計画です。VWは2024年末にリヴィアンに58億ドル(約8,700億円)を出資し、次世代EVプラットフォームの共同開発を進めています。

また、中国市場ではファーウェイ(Huawei)のHarmonyOSを搭載した「bZ7」を2026年第1四半期に発売予定で、中国消費者が求めるスマート機能の強化を図ります。

トヨタの次世代技術

トヨタは2026年から全固体電池の量産を開始する予定です。従来のリチウムイオン電池に比べて高いエネルギー密度と急速充電性能を持ち、航続距離1,000km以上の実現を目指しています。

また、2026年には次世代EVプラットフォームを採用した新型EVを投入予定で、EV市場での存在感を高める方針です。

注意点・展望

市場シェアだけでは測れない収益性

販売台数で首位を維持したトヨタですが、今後はEV事業での収益性確保が課題となります。現在、多くのメーカーがEV事業で赤字を抱えており、販売台数の拡大と利益の両立が求められています。

地政学リスクへの対応

米中対立の深刻化や、各国の産業政策の変化は、自動車メーカーのサプライチェーン戦略に大きな影響を与えます。トヨタ・VWともに、生産拠点の分散化やサプライヤーの多様化を進めていく必要があります。

2026年の見通し

2026年は、欧州のCO2排出規制強化やEV補助金政策の動向、中国市場での価格競争の行方が注目されます。トヨタとVWの首位争いは、単なる販売台数競争ではなく、電動化時代における戦略の妥当性を問う試金石となるでしょう。

まとめ

トヨタ自動車は2025年、6年連続で世界新車販売首位を達成しました。VWが中国市場での苦戦(8%減)や北米での関税影響を受けて898万台にとどまる一方、トヨタはハイブリッド戦略の強みと中国での新型EV投入が功を奏し、1,032万台以上を販売しました。

今後の自動車業界は、EV化の進展スピードや地政学リスクによって大きく変動する可能性があります。両社がそれぞれの強みを活かしながら、電動化時代をどう乗り越えていくのか、引き続き注目が集まります。

参考資料:

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