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by nicoxz

トランプ氏は台湾で譲歩しない、専門家が指摘する理由

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はじめに

2026年、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の会談機会が複数予定されている中、一部で懸念が浮上しています。11月の中間選挙を控えるトランプ氏が貿易合意で成果を上げる見返りに、習氏に台湾問題で妥協するのではないかという見方です。

しかし、ハドソン研究所のケネス・ワインスタイン氏をはじめとする専門家は、この見方は誤りであり、トランプ大統領はいかなる大きな譲歩もしないだろうと分析しています。

この記事では、トランプ政権の台湾政策、過去最大規模の武器売却の意味、そして米中台関係の今後について解説します。

トランプ大統領の台湾政策スタンス

「現状維持」の堅持

トランプ大統領は2026年1月のニューヨーク・タイムズのインタビューで、台湾について「習近平主席が何をするかは彼次第だ」としつつも、「現状の変更には非常に不満を感じるだろう」と述べました。

さらにトランプ氏は、習近平が自身の大統領任期中(2029年まで)に台湾に対して行動を起こすことはないと確信していると語っています。「違う大統領になった後にやるかもしれないが、私が大統領の間はやらないと思う」との見解を示しました。

歴代政権での台湾支援実績

第1次トランプ政権(2017-2021年)では、台湾への武器売却を11回、総額約180億ドル実施しました。これはオバマ政権の8年間で4回、総額約140億ドルだったことと比較すると、大幅な増加です。

また、トランプ氏は米台交流を強化する「台湾旅行法」や「台北法」に署名し、米台関係の法的基盤を強化しました。

過去最大の武器売却とその意義

111億ドル規模の売却承認

2025年12月、トランプ政権は台湾に対する過去最大規模となる総額約111億ドル(約1兆7,000億円)の武器売却を承認しました。この決定は、トランプ政権の台湾防衛への強いコミットメントを示すものとして注目されています。

売却が承認された主な装備は以下の通りです。

  • HIMARS(高機動ロケット砲システム): 40億ドル以上
  • M109自走榴弾砲: 40億ドル以上
  • ハープーン対艦ミサイル
  • ジャベリン対戦車ミサイル: 7億ドル以上
  • TOW対戦車ミサイル

これらの兵器は「非対称戦」の能力強化を目的としています。中国の軍事力に対して正面から対抗するのではなく、侵攻のコストを高めて抑止力を強化する戦略です。

台湾の対応

この武器売却に呼応して、台湾の頼清徳総統は小型兵器に重点を置いた400億ドルの追加国防予算案を発表しました。「国家安全保障で妥協の余地はない」と述べ、防衛強化への決意を示しています。

台湾外交部は、米国が「台湾関係法」および「6つの保証」に基づき、台湾の安全保障へのコミットメントを履行し、武器売却の「常態化」を目指す政策が継続されていると評価しました。

米台貿易協定の締結

5,000億ドル規模の投資合意

2026年1月、米国と台湾は画期的な貿易協定を締結しました。台湾企業は米国で2,500億ドルの直接投資を行い、チップやAI関連の技術拠点を建設・拡大します。さらに台湾政府は、半導体・テクノロジー企業の米国での生産能力拡大のため、2,500億ドルの信用保証を提供します。

見返りとして、米国は台湾からの輸出品に対する関税を20%から15%に引き下げ、ジェネリック医薬品や航空機部品、国内で入手できない天然資源については関税を免除します。

ハワード・ラトニック商務長官はCNBCに対し、「目標は台湾の半導体サプライチェーンの40%を米国に移転させることだ」と語りました。

中国の反発

中国外務省はこの協定について、「米国が台湾を利用して中国を封じ込めている」と非難しました。また、この協定が「台湾経済を搾取して米国に利益をもたらす」ものだと批判しています。

中国は台湾を自国の領土と見なしており、習近平国家主席は「統一は歴史的必然」との立場を示しています。台湾はこうした主張を拒否しています。

専門家の見解

ケネス・ワインスタイン氏の分析

ハドソン研究所日本チェアのケネス・ワインスタイン氏は、トランプ大統領が台湾問題で譲歩する可能性は低いと分析しています。その理由として以下の点を挙げています。

まず、トランプ氏は台湾の現状維持を望んでおり、これは一貫した立場です。次に、中国が台湾に侵攻すれば「米国から非常に強固な反応が返ってくることを予期すべきだ」と指摘しています。

また、習近平国家主席は中国経済がコロナ禍から完全に回復していない中で、トランプ大統領の怒りを買うリスクを冒したくないだろうとワインスタイン氏は述べています。

日本の役割

ワインスタイン氏は、台湾有事の際には日本が日米防衛協力の下で重要な役割を果たすと指摘しています。「台湾有事や日本有事において、日本自身の利害は米国以上に大きい」との見解を示しました。

高市早苗首相の台湾有事に関する発言が日中関係の緊張を高めた際も、ワインスタイン氏は「後退する意味はない」と述べ、日本の安全保障戦略における台湾問題の重要性を強調しました。

今後の展望と注意点

4月の訪中計画

トランプ大統領は2026年4月に中国を訪問する予定です。過去最大規模の台湾への武器売却は、この訪中を前に米中関係に影を落としています。

2025年10月の米中首脳会談(韓国・釜山)では、トランプ氏の関税引き上げ凍結と引き換えに、習近平氏がレアアースの輸出規制凍結や大豆の輸入拡大、フェンタニル原料の輸出規制強化に合意しました。しかし、この「一時休戦」は根本的な米中対立を解決するものではないとの分析が多くあります。

米中関係のバランス

トランプ政権は中国との貿易・経済関係を強化する一方で、台湾との防衛関係も維持するという二重の路線を追求しています。2025年の米中貿易では、トランプ関税の影響で中国から米国への輸出額が20%減少(4,387億ドルから2,663億ドル)しました。

一方で、東南アジアや台湾との貿易は急増しており、サプライチェーンの再編が進んでいることがわかります。

リスク要因

台湾問題は「中国の核心的利益の中の核心」であり、「米中関係における越えてはならないレッドライン」と中国は主張しています。武器売却や貿易協定のたびに中国は「対抗措置」を示唆しており、緊張が高まるリスクは常に存在します。

まとめ

トランプ大統領が習近平国家主席との取引で台湾問題を譲歩の材料にするとの懸念に対し、専門家は「その可能性は低い」と分析しています。過去最大規模の武器売却、米台貿易協定の締結、そして「現状維持」への言及は、トランプ政権の台湾支援への継続的なコミットメントを示しています。

台湾海峡は米中対立の最前線であり、日本を含むインド太平洋地域全体の安全保障に直結しています。トランプ氏の即興的な外交スタイルが予測困難であることは確かですが、台湾の戦略的重要性を考えれば、大幅な方針転換は考えにくいというのが多くの専門家の見方です。

今後の米中首脳会談や中間選挙に向けた動向を注視する必要があります。

参考資料:

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