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by nicoxz

習近平氏が軍最高幹部を一掃、台湾侵攻への影響と権力集中の実態

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はじめに

中国で前例のない規模の軍部粛清が進行しています。習近平国家主席は2026年1月24日、人民解放軍の制服組トップである張又俠・中央軍事委員会副主席と、劉振立・統合参謀部参謀長を「重大な規律・法律違反」の疑いで調査対象としました。

この決定により、2022年に発足した現体制の中央軍事委員会メンバーは、習近平本人を除いてほぼ一掃される見込みとなりました。専門家は「中華人民共和国史上最大級の軍部粛清」と評しています。

習近平氏の権力集中は何を意味するのか。台湾への武力侵攻の可能性にどう影響するのか。中国軍の現状と今後の展望を詳しく解説します。

粛清の全容

張又俠副主席の失脚

中国国防省が1月24日に発表した声明は、中国政治に激震をもたらしました。張又俠は習近平に次ぐ軍のナンバー2であり、長年の盟友と見なされてきた人物です。

張又俠は軍歴50年以上を持つベテラン軍人で、習近平と同じく革命時の党幹部を親に持つ「太子党」出身です。習が江沢民派や胡錦濤派を粛清する際には協力関係にあったとされ、軍内で最も影響力のある人物の一人でした。

しかし、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、張又俠は中国の核兵器に関する機密情報を米国に漏洩した疑い、および前国防部長の昇進を支援する見返りに巨額の賄賂を受け取った疑いで告発されています。

中央軍事委員会の「解体」

今回の粛清で、2022年に習近平が任命した中央軍事委員会の6人の将軍のうち、残っているのは1人だけとなりました。もう一人の副主席であった何衛東は、2025年10月にすでに党から除名されています。

時事通信は、これを「中央軍事委の解体」とも言える強引な措置と評し、「共産党の軍隊」である中国軍が事実上の「個人の軍隊」に大転換したと指摘しています。

習近平との対立

独立系評論家によると、張又俠の失脚の約1カ月前、習近平との間で激しい衝突があったとされています。張又俠は習近平に対し「軍隊の士気が大きく損なわれ、軍心が散漫になっている」と批判したと伝えられています。

中国軍の機関紙は、張・劉両名が「軍事委員会主席責任制を著しく踏みにじり、破壊した」と激しく批判。時事評論家は、この表現が両者がクーデターを企てた可能性を示唆していると分析しています。

台湾への影響

短期的には侵攻リスク低下か

台湾の国立政治大学の陳世民准教授は、人民解放軍の指揮系統が現在「真空状態」にあると指摘しています。習近平が軍に対して深い不信感を抱いていることは明らかであり、戦争時の離反を恐れて、短期的には台湾に対する大規模な軍事行動は取らない可能性が高いとの見方を示しました。

中国問題専門家のゴードン・チャン氏も、現在の混乱状況と、水陸両用作戦の複雑さを考えると、意図的な侵攻は依然として可能性が低いと分析しています。

長期的なリスクは増大

一方で、長期的には別の懸念が浮上しています。ロンドン大学SOAS中国研究所のスティーブ・ツァン所長は、「張のような将軍を排除することで、習近平に軍事的冒険を思いとどまらせる将軍がいなくなる。これは誤算のリスクを高める」と警告しています。

米国のシンクタンク、民主主義防衛財団のクレイグ・シングルトン上席研究員も同様の見解を示しています。「粛清は短期的には即応態勢を低下させるが、長期的には軍に対する政治的統制を強化し、反対意見を減少させることで、より危険な決定への道を開く」と指摘しました。

台湾の警戒姿勢

台湾の顧立雄国防部長はNBCニュースに対し、「これは習近平主席から直接送られたメッセージだ。政治的忠誠は戦闘準備能力よりも優先される。政治的不忠誠は党内で最大の罪である」と述べました。

その上で、「中国の党・政府・軍の最高レベルにおける異常な変化を引き続き注視する。一人の人物の失脚によって、我々が警戒を緩めたり、維持すべき戦争準備態勢を弛緩させたりすることはない」と強調しました。

権力集中の意味

「個人の軍隊」への変貌

習近平は2012年の就任以来、反腐敗運動を通じて20万人以上の幹部を処分してきました。軍部も例外ではなく、今回の粛清はその集大成とも言えます。

アジア・ソサエティ政策研究所のニール・トーマス研究員は「習近平は中華人民共和国史上最大級の軍部粛清を完遂した」と評しています。

これにより、軍の重要事項に関する決定権は、これまで以上に習近平個人に集中することになります。反対意見を述べる将軍がいなくなれば、習近平の判断に歯止めをかける者はいなくなります。

偶発的衝突のリスク

チャン氏は興味深い指摘をしています。「中国が意図的に敵対行為を開始する可能性は低いが、中国が戦争に巻き込まれる可能性は高い。中国が意図的に戦争を始めるのではなく、偶発的に戦争に突入する形だ」

指揮系統の混乱と、習近平への過度な権力集中は、軍の現場レベルでの誤判断や、エスカレーションを招くリスクを高める可能性があります。

注意点・展望

今後の軍人事に注目

今回の粛清を受け、習近平は信頼できる人物で軍の空席を埋める必要があります。誰が新たな軍事委員会のメンバーに任命されるかは、今後の中国軍の方向性を占う上で重要な指標となります。

特に、2027年の党大会に向けた人事の布石として、今回の粛清が位置付けられている可能性もあります。

中国経済との関連

軍部の大規模粛清は、中国国内の政治的安定に対する習近平の懸念を反映している可能性もあります。経済成長の減速や不動産危機、若者の高失業率など、国内問題が山積する中、軍の忠誠を確保することは政権維持にとって不可欠です。

日本への示唆

日本を含む周辺国にとって、中国軍の動向は安全保障上の重大関心事です。短期的には軍の混乱が侵攻リスクを低下させる可能性がある一方、長期的には一人の指導者に権力が集中することで、予測不可能性が高まるリスクもあります。

まとめ

習近平国家主席による軍最高幹部の一掃は、中国の軍事・政治体制における歴史的な転換点となりました。2022年発足の中央軍事委員会メンバーがほぼ全員失脚するという事態は、習近平が軍に対していかに深い不信感を抱いているかを示しています。

台湾への影響については、短期的には軍の混乱により侵攻リスクが低下するとの見方がある一方、長期的には習近平への権力集中が誤算や偶発的衝突のリスクを高めるとの懸念も出ています。

「共産党の軍隊」から「個人の軍隊」への変貌は、中国の将来と東アジアの安全保障に重大な影響を及ぼす可能性があります。今後の動向を注視する必要があります。

参考資料:

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