アシックス株が反発、オニツカタイガー好調で最高益更新へ
はじめに
2026年1月22日の東京株式市場で、アシックス株が反発しました。アナリストによる目標株価の引き上げが買い材料となり、投資家の関心が高まっています。
アシックスは高級ブランド「オニツカタイガー」の急成長を背景に、2025年12月期は純利益41%増という最高益更新を見込んでいます。インバウンド(訪日外国人)需要の取り込みに成功し、売上高1兆円も目前に迫っています。
本記事では、アシックスの株価動向、オニツカタイガーの成長戦略、そして今後の展望について解説します。
1月22日の株式市場動向
日経平均は6営業日ぶりに反発
1月22日の東京株式市場で日経平均株価は6営業日ぶりに反発し、終値は前日比914円25銭(1.73%)高の5万3,688円89銭となりました。米欧の対立懸念が後退したことで、前日の米株式市場で主要3指数が上昇し、その流れを引き継いだ形です。
国内金利の上昇一服も相場の支えとなりました。値がさの半導体関連銘柄の上昇が目立ち、午後には中小型株を含め幅広い銘柄に買いが波及しました。日経平均の上げ幅は一時1,100円を超える場面もありました。
アシックス株の反発
こうした市場環境の中、アシックス株も反発しました。複数のアナリストが目標株価を引き上げたことが買い材料となっています。
アナリストのコンセンサス評価は「買い」で、内訳は強気買い7人、買い4人、中立2人となっています。平均目標株価は4,732円で、株価にはさらに約15%の上昇余地があるとの見方が示されています。
アシックスの業績動向
最高益予想をさらに上方修正
アシックスは2025年12月期の連結純利益が前期比41%増の900億円になる見通しと発表しています。最高益を見込んでいた従来予想から30億円の上方修正です。
売上高は18%増の8,000億円、営業利益は40%増の1,400億円を見込んでいます。それぞれ従来予想を200億円、160億円上方修正しました。この業績見通しに基づき、最大300億円の自社株買いも発表しています。
V字回復から成長軌道へ
アシックスはコロナ禍の2020年に業績が低迷しましたが、わずか3年でEPS(1株当たり利益)を約8倍に引き上げる急回復を遂げました。株価収益率(PER)36倍という高い評価を受けており、市場からの期待の大きさがうかがえます。
2025年8月には、決算発表を受けて株価が大幅続伸し、上場来高値を更新しました。終値ベースの時価総額は3兆円を超え、日本を代表するスポーツ用品メーカーとしての地位を確立しています。
オニツカタイガーの急成長
売上高12倍の驚異的成長
アシックスの最高益更新を牽引しているのが、高級ブランド「オニツカタイガー」です。2011年3月期には約100億円だった売上高は、2025年12月期には約12倍の1,280億円に達する見込みです。
2025年1月から9月期の業績を見ると、売上高は前年同期比46%増の998億円、カテゴリー利益は同51%増の393億円でした。売上高利益率は39%に達し、7月から9月期には40%を記録しています。これは高級ブランドとしても非常に高い水準です。
インバウンド需要の取り込み
オニツカタイガーの成長を支えているのが、インバウンド(訪日外国人)需要です。アシックスCFOの林晃司氏によると、オニツカタイガーの1月から9月期のインバウンド売り上げは287億円と、前年同期比で倍増しました。
特筆すべきは、アジア人だけでなく米国人にも人気が高まっている点です。米国には現在店舗がないにもかかわらず、訪日時に購入する米国人が増えています。
ファッションブランドとしての確立
オニツカタイガーは、アシックスの中で唯一、独立採算の社内カンパニーとして運営されています。スポーツ用品ではなくファッションブランドとしてのポジショニングを明確にし、高級路線を追求しています。
アシックス全体ではホールセール(卸売)の割合が60%程度ありますが、オニツカタイガーではDTC(Direct to Consumer、直販)の割合が85%に達しています。自社でブランドをコントロールすることで、ブランド価値の維持と高い利益率を実現しています。
成長戦略の詳細
直販へのこだわり
オニツカタイガーが高い利益率を実現している要因の一つが、直販へのこだわりです。直営店やオンラインでの販売を中心とすることで、中間マージンを削減し、顧客との直接的な関係を構築しています。
この戦略により、売上高利益率40%という驚異的な数字を達成しています。一般的なスポーツ用品メーカーの利益率と比較しても、突出した水準です。
世界での高級路線展開
オニツカタイガーは世界各地のプレミアム立地に直営店を出店しています。ラグジュアリーブランドとしてのイメージを確立するため、出店場所にもこだわりを持っています。
アジアや欧州での収益拡大を踏まえ、2027年には米国市場への再進出も予定しています。2023年に一度米国の直営店を閉鎖しましたが、ブランド価値の向上を受けて再挑戦することになりました。
専用生産拠点の設立
アシックスは国内シューズ生産子会社の山陰アシックス工業(鳥取県境港市)を、オニツカタイガー専用の生産拠点にすると発表しました。2026年1月1日付で社名を「オニツカイノベーティブファクトリー」に変更し、従来の生産機能に加えて開発機能を持った工場に転換します。
日本国内での生産体制を強化することで、品質管理の徹底と「Made in Japan」のブランド価値を高める狙いがあります。
アシックス全体の戦略
中期経営計画の進捗
アシックスは2026年12月期を最終年度とする中期経営計画で、連結営業利益1,300億円以上、売上高営業利益率17%以上という目標を掲げていました。
2025年12月期の業績見通しでは、営業利益1,400億円、営業利益率17.5%を見込んでおり、目標を1年前倒しで達成する見通しです。
売上高1兆円への道筋
アシックスの売上高は8,000億円に達し、売上高1兆円という節目も目前に迫っています。富永満之社長は、この目標達成に向けた「勝ち筋」として、グローバル展開の加速とオニツカタイガーの成長を挙げています。
特に、ランニングシューズ分野での競争力強化と、オニツカタイガーのラグジュアリーブランドとしての地位確立が、両輪として機能しています。
注意点と今後の展望
為替変動リスク
アシックスは海外売上高比率が高いため、為替変動の影響を受けやすい構造です。円安は業績にプラスに働きますが、円高に転じた場合は業績の下振れ要因となります。現在の円安トレンドがいつまで続くかは不透明です。
インバウンド需要の持続性
オニツカタイガーの成長を支えているインバウンド需要ですが、この勢いがいつまで続くかは注視が必要です。中国経済の減速や地政学リスクの高まりは、訪日外国人数に影響を与える可能性があります。
競合との競争
高級スニーカー市場では、ナイキやアディダスなど大手グローバルブランドとの競争が激しくなっています。また、ニューバランスなど他の日本発ブランドも高級路線を強化しています。差別化を維持し続けることが課題となります。
2026年以降の成長見通し
アシックスは2026年以降もオニツカタイガーの成長が続くと見込んでいます。米国市場への再進出が成功すれば、さらなる収益拡大が期待できます。一方で、高級ブランドとしてのポジショニングを維持しながら規模を拡大する難しさもあります。
まとめ
アシックス株の反発は、同社の堅調な業績と成長期待を反映したものです。オニツカタイガーの急成長により、2025年12月期は純利益41%増の最高益更新が見込まれています。
インバウンド需要の取り込み、直販へのこだわり、高級路線の徹底という戦略が功を奏し、売上高利益率40%という驚異的な数字を実現しています。売上高1兆円も目前に迫り、日本を代表するスポーツ用品メーカーとしての地位を固めつつあります。
今後は米国市場への再進出や、さらなるグローバル展開が注目されます。為替リスクやインバウンド需要の持続性には注意が必要ですが、中長期的な成長ストーリーには引き続き期待が持てる状況です。
参考資料:
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