JTAが那覇-台北定期便を就航、離島誘客に期待
はじめに
2026年2月3日、日本航空(JAL)グループの日本トランスオーシャン航空(JTA)が、那覇空港と台湾・桃園国際空港を結ぶ初の国際線定期便を就航しました。創立59年目にして実現したこの「悲願」は、沖縄の航空業界にとって大きな転換点となります。
JTAは「うちなーの翼」として沖縄県内の離島路線を数多く運航してきました。この強みを活かし、台湾からの訪日観光客を沖縄本島だけでなく離島へも呼び込む狙いがあります。本記事では、JTA初の国際定期便就航の背景、台湾市場の重要性、そして今後の沖縄観光への影響について詳しく解説します。
JTA初の国際定期便、10年越しの実現
創立59年目の歴史的就航
日本トランスオーシャン航空は1967年、JALと沖縄地元企業の合弁により「南西航空」として誕生しました。以来、沖縄県内の離島を結ぶ航空会社として、地域の交通インフラを担ってきました。
2026年2月3日午前8時半、那覇発の第1便が満席となる165人の乗客を乗せて台湾桃園国際空港へ向けて飛び立ちました。使用機材は「結ジンベエ」(JA07RK)と名付けられたボーイング737-800で、普段は国内線で使用している機体です。
JTAの野口望社長は「ついにこの日がやってきました。国際線就航は10年以上の検討を要し、本日をやっと迎えることができました」と感慨深げに語っています。
毎日1往復の運航体制
那覇-台北線は毎日1往復で運航されます。那覇発は午前8時台、台北発は午前10時台というダイヤ設定となっており、両国の旅行者が早い時間に目的地に到着できるよう配慮されています。
これまでJTAは那覇-台北間や石垣-台北間で国際チャーター便を運航してきた実績があります。これらの運航で培ったノウハウと、根強い需要を確認したことが、定期便就航の決断につながりました。
台湾市場の重要性と沖縄観光
訪日台湾人観光客の特徴
台湾からの訪日観光客は、日本のインバウンド市場において非常に重要な存在です。2024年1月から10月の訪日台湾人数は508万人に達し、コロナ禍前の2019年同時期と比較しても22%増となっています。
訪日台湾人観光客の特徴として、リピーター率が84%と極めて高いことが挙げられます。旅行形態は個人旅行が全体の62%を占め、滞在日数は平均4.6泊です。2023年の年間旅行消費額は7835億円に達し、訪日旅行客全体で最も多い14.8%を占めています。
沖縄への高い関心
沖縄は台湾からの訪日観光客にとって特に人気の高いエリアです。地理的な近さに加え、沖縄の認知率、訪問意向率、訪問経験率はいずれもアジア地域で高い傾向にあり、特に台湾からの関心が顕著です。
2025年の沖縄観光客数は過去最高を記録する見込みで、秋の連休では台湾・韓国からの来訪者数が好調でした。那覇空港を経由して離島へ向かう観光客の増加も期待されています。
離島ネットワークを活かした差別化戦略
JTAの離島路線網
JTAは現在14機のボーイング737を保有し、那覇空港を拠点に沖縄県内の離島路線3路線と県外13路線の計16路線を運航しています。他の航空会社には、離島を含む沖縄県内のネットワークをこれほど広く展開している例はありません。
この離島路線網こそがJTAの最大の強みです。台湾からの観光客を那覇で受け入れ、そこから石垣島や宮古島などの離島へスムーズに接続できる点で、他社にはない価値を提供できます。
台湾観光客の新たなトレンド
台湾人観光客の旅行スタイルは変化しています。「定番観光地で久々の日本を楽しむ」層がひと段落し、豊富な日台航空路線を活用して地方への旅を積極的に楽しむ層が増加しています。
「コト消費」に対するニーズが高まり、体験メニューやテーマツアーなど、その土地の特色を深く楽しむ「深度旅遊」を楽しむ傾向が強まっています。沖縄の離島は、まさにこうしたニーズに応えられる観光資源を持っています。
短距離路線でリスクを抑制
那覇-台北線の戦略的意義
JTAにとって初の国際定期便として那覇-台北線を選んだ理由には、リスク管理の観点があります。飛行時間が短い近距離路線であるため、運航コストを抑えつつ国際線運航のノウハウを蓄積できます。
また、台湾からの観光客は沖縄への関心が高く、需要が安定している点も重要です。2025年1月の春節休暇には、台北-札幌便の往復航空券が5万台湾ドル(約23万円)を超えるなど、訪日旅行に対するニーズは非常に旺盛です。
機内サービスの沖縄らしさ
定期国際線の那覇-台北線では、飛行時間が短いことから軽食を提供する形式となっています。機内食には沖縄のグルメが取り入れられており、搭乗時から沖縄の魅力を体験できる工夫がされています。
JTAは機内サービスやさまざまな提供サービスに沖縄らしさを取り入れ、沖縄の魅力を世界に発信していく方針を掲げています。
注意点・今後の展望
競争環境の変化
那覇-台北線には既に複数の航空会社が就航しており、JTAは後発参入となります。価格競争だけでなく、離島接続という独自の価値提案でいかに差別化できるかが成功の鍵となります。
また、国際線運航には国内線とは異なる規制や手続きが必要となります。JTAとしては初めての経験となるため、運航体制の構築と人材育成が継続的な課題となるでしょう。
路線拡大の可能性
今回の那覇-台北線の成功次第では、JTAがさらなる国際路線を検討する可能性があります。石垣-台北線の定期便化や、他のアジア近距離路線への展開も視野に入ってくるかもしれません。
沖縄県も離島観光の振興を重要政策として位置づけており、JTAの国際線就航は県の観光戦略とも合致しています。
まとめ
JTAの那覇-台北国際定期便就航は、創立59年目にして実現した歴史的な一歩です。「うちなーの翼」として培ってきた離島路線網という強みを活かし、台湾からの観光客を沖縄本島だけでなく離島へも誘導する戦略は、他社にはない独自の価値を提供します。
台湾人観光客の「深度旅遊」志向の高まりと、沖縄離島の豊富な観光資源は好相性です。今後の運航状況と観光客の動向に注目が集まります。
参考資料:
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