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by nicoxz

バンカメCEOだけ招かれず トランプ氏との確執の真相

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はじめに

2026年1月、スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会で、異例の出来事が起きました。トランプ大統領が主催したビジネスリーダー向けレセプションに、米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハンCEOだけが招待されなかったのです。

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO、シティグループのジェーン・フレイザーCEO、ウェルズ・ファーゴのチャーリー・シャーフCEOは全員招待されていました。モイニハン氏だけが除外された背景には、トランプ氏との個人的な確執と、米国で政治問題化している「デバンキング」問題があります。

この記事では、両者の対立の経緯と、米金融業界に与える影響について解説します。

トランプ氏とモイニハン氏の確執の始まり

2021年の口座拒否疑惑

両者の対立は、トランプ氏が2021年にホワイトハウスを去った後に始まったとされています。トランプ氏は、退任後にバンク・オブ・アメリカが自身の銀行口座開設を拒否したと主張しています。

これが事実であるかどうかは確認されていませんが、トランプ氏は複数の場面でこの件に言及しており、モイニハン氏に対する不満を公然と示してきました。

2回連続の招待除外

今回のダボス会議でのレセプション除外は、モイニハン氏がトランプ政権関連の会合から外されたのは2回目です。2024年11月にホワイトハウスで開催された金融リーダーとのプライベート夕食会にも招待されていませんでした。

他の大手銀行CEOが招待される中で、モイニハン氏だけが繰り返し除外されていることは、両者の関係が修復困難な状態にあることを示唆しています。

「デバンキング」問題とは何か

保守派への銀行サービス拒否疑惑

「デバンキング」とは、銀行が特定の顧客に対してサービス提供を拒否したり、口座を閉鎖したりすることを指します。トランプ氏は大統領選挙期間中から、大手銀行が保守派や宗教団体に対して政治的な理由でサービスを拒否していると主張してきました。

2025年1月のダボス会議では、トランプ氏はオンラインで参加した際にモイニハン氏に向かって直接批判を行いました。「バンク・オブ・アメリカを含む銀行が保守派の顧客を受け入れていない」「あなたとジェイミー(ダイモン氏)がやっていることは間違っている」と発言しています。

15州の共和党司法長官からの告発

バンク・オブ・アメリカは2025年、15州の共和党司法長官から公式の告発を受けています。告発内容は、銀行が「顧客が銀行の好む宗教的・政治的見解を持っているかどうかでサービスへのアクセスを条件付けているように見える」というものでした。

具体的には、保守系団体や宗教団体の口座が突然閉鎖されたケースが複数報告されています。

バンク・オブ・アメリカの反論

バンク・オブ・アメリカはこれらの疑惑を一貫して否定しています。広報担当のビル・ハルディン氏は「7000万人の顧客基盤を持ち、昨年だけで1200万の新規口座を開設した事実が、政治的見解に関係なくすべての人にサービスを提供していることを示している」と述べています。

モイニハンCEO自身も、2025年2月のワシントン経済クラブでのイベントで、デバンキング問題の根本原因は過度な規制にあると主張しました。マネーロンダリング対策(AML)や顧客確認(KYC)に関する規制の解釈が厳格化されすぎており、銀行側に過度な負担がかかっていると説明しています。

米金融業界への影響

政治的圧力の増大

トランプ政権が銀行業界に対してデバンキング問題を追及していることは、業界全体に影響を与えています。JPモルガンのダイモンCEOも同様の批判を受けており、両CEOは2025年2月に上院銀行委員会の共和党議員と面会し、この問題について協議しました。

規制緩和への期待と不安

一方で、トランプ政権は金融規制の緩和も進めています。バンク・オブ・アメリカを含む大手銀行は、デバンキング問題への対応と引き換えに、規制緩和の恩恵を受ける可能性があります。

ただし、モイニハン氏個人とトランプ氏の関係が悪化している現状では、バンク・オブ・アメリカが他行と同等の待遇を受けられるかどうかは不透明です。

他の銀行CEOの対応

JPモルガンのダイモンCEOは、2026年のダボス会議で自らを「グローバリスト」と称し、トランプ氏の保護主義的な姿勢とは一定の距離を置く発言をしています。しかし同時に、トランプ政権との関係維持にも努めており、政治的なバランスを取ろうとしている姿勢が見られます。

今後の展望と注意点

関係修復の可能性

現時点では、トランプ氏とモイニハン氏の関係が改善する兆しは見られません。2回連続でホワイトハウス関連の会合から除外されていることは、両者の溝が深いことを示しています。

モイニハン氏は66歳で、バンク・オブ・アメリカのCEOを2010年から務めています。政権との関係悪化が長期化すれば、経営陣の交代を求める声が株主から上がる可能性も否定できません。

投資家への影響

バンク・オブ・アメリカの株価や業績への直接的な影響は現時点では限定的です。しかし、政権との関係が悪化することで、規制面での優遇措置を受けられなかったり、政府関連ビジネスで不利な立場に置かれたりするリスクがあります。

投資家は、デバンキング問題の進展と、トランプ政権の金融規制政策の両方を注視する必要があります。

まとめ

バンク・オブ・アメリカのモイニハンCEOがトランプ大統領主催のダボス会議レセプションから除外された問題は、単なる個人的な確執にとどまりません。背景には、米国で政治問題化している「デバンキング」問題があり、金融業界全体に影響を与える可能性があります。

トランプ政権は保守派へのサービス拒否疑惑を厳しく追及する姿勢を示しており、銀行各社は政治的な対応を迫られています。バンク・オブ・アメリカにとっては、CEOと大統領の個人的な関係悪化が経営リスクとなる異例の状況が続いています。

今後の展開として、デバンキング問題に関する規制の明確化や、両者の関係変化が注目されます。

参考資料:

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