消費者物価3.1%上昇、コメ急騰と円安で再過熱の懸念も
はじめに
総務省が2026年1月23日に発表した2025年の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合で前年比3.1%の上昇となりました。2024年の2.5%から加速し、インフレ圧力が高まっています。
上昇の主役はコメを中心とする食料品です。コメ類は前年比67.5%と異例の急騰を記録し、消費者物価全体を大きく押し上げました。日本の食料インフレは欧米の1〜2%に対し、8%超と突出して高い水準にあります。
円安が続けば輸入品の価格上昇でインフレ圧力がさらに高まり、家計の重荷が増す可能性があります。本記事では、物価上昇の構造と今後の見通しを解説します。
2025年の消費者物価上昇の実態
物価上昇率の推移
2025年の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は、前年比3.1%の上昇となりました。2024年の2.5%から0.6ポイント加速しており、3年連続で2%を超える物価上昇が続いています。
月次で見ると、2025年6月には前年比3.3%まで上昇し、その後はやや鈍化傾向にありましたが、11月時点でも3.0%と高止まりしています。電気・ガス代補助の一時終了や、食料品価格の高止まりが影響しています。
G7で最高の物価上昇率
注目すべきは、日本の物価上昇率が先進国で突出して高い点です。2025年4月時点で、日本のCPI総合は前年比3.6%に達し、G7諸国(米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ)の中で最も高い水準となりました。
この「日本が一番」という順位は、2024年11月から半年以上継続しています。かつてデフレに苦しんだ日本が、今や先進国で最もインフレが進行している国となっているのは皮肉な状況です。
品目別の上昇率
2025年の物価上昇を品目別に見ると、以下のような特徴があります。
- 食料(生鮮除く):前年比7.0%
- コメ類:前年比67.5%
- おにぎり(調理食品):前年比15.8%
- エネルギー:政府補助の影響で変動
食料品の上昇率が全体の2倍以上であり、物価上昇を主導しています。コメ関連の上昇が特に顕著で、主食であるコメの高騰が家計を直撃しています。
「令和のコメ騒動」の背景
異例のコメ価格高騰
2024年秋から始まったコメ価格の高騰は、「令和のコメ騒動」とも呼ばれる事態となりました。農林水産省の発表によると、2025年8月下旬時点で全国のスーパーにおける米5キロあたり平均価格は3,804円と、前年同時期比45%高の水準を記録しました。
コシヒカリなど主要銘柄では、5キロあたり価格が2024年6月の約2,561円から2025年6月には約5,072円へと、ほぼ2倍の水準まで上昇しました。
高騰の要因
コメ価格高騰の背景には、複合的な要因があります。
需給バランスの崩れ 2024年産の収穫量が天候不順などで減少し、需給が逼迫しました。店頭では一時的に品薄状態となり、購入制限をかけるスーパーも出現しました。
生産コストの上昇 肥料・農薬・燃料・人件費・包装資材など、コメ生産に関わるあらゆるコストが同時に上昇しました。世界的なインフレと円安の影響を受けた「コストプッシュ」型の値上げです。
在庫の払底 政府の備蓄米を含めても在庫が少なく、新米が出回るまで価格を下げる余地がありませんでした。
新米でも下がらない価格
農林水産省は2025年10月、2025年産の全国コメ生産量を前年比69万トン増の748万トンと発表しました。供給増により価格下落が期待されましたが、新米供給開始から1カ月以上経過しても、小売店頭価格は下落の気配を見せていません。
生産者側のコスト上昇が解消されていないため、以前の価格水準に戻ることは難しいとの見方が広がっています。
円安による輸入インフレの懸念
輸入品価格への影響
2024年後半から2025年にかけて、円は対ドルで急速に下落しました。円安は輸入品の価格を押し上げ、食品や日用品、エネルギー価格にも波及する「輸入インフレ」として物価全体を引き上げています。
興味深いのは、価格が上昇しても輸入数量が減らない構造です。円安下で輸入品価格が約1.42倍に高騰しても、企業は輸入を減らさず価格転嫁を進めているとの分析があります。
食料自給率の低さが弱点に
日本の食料自給率はカロリーベースで約38%と低く、多くの食料品を輸入に依存しています。円安が進行すると、コメ以外の食料品も輸入コスト上昇の影響を受けます。
小麦、大豆、食用油、飼料(畜産物の価格に影響)など、輸入比率の高い品目は、為替レートの動向に敏感に反応します。2026年以降も円安が続けば、食料品全般の価格上昇が続く可能性があります。
今後の物価見通し
2026年の物価予測
日本銀行の展望レポート(2025年1月)によると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は2025年度に2%台半ば、2026年度は概ね2%程度になると予想されています。
民間エコノミストの分析では、2026年2〜3月にはCPIコア(生鮮除く総合)が前年比2%を下回る可能性が高いとされています。電気・ガス代補助の効果や、コメ価格の一巡が見込まれるためです。
上振れリスクに要警戒
ただし、懸念されるのが円安による物価上振れリスクです。足元で再び円安が進んでおり、為替レートの動向次第では、企業が価格転嫁を積極化させ、値上げが再び加速する可能性があります。
特にコメ以外の食料品については不透明感が強く、輸入物価の上振れが続けば、2026年後半にかけて再びインフレ圧力が高まるシナリオも否定できません。
家計への影響
物価上昇が続く一方で、賃金の伸びは追いついていません。実質賃金は長らくマイナス圏での推移が続いており、家計の購買力は低下しています。
2025年の春闘では大幅な賃上げが実現しましたが、物価上昇を完全にカバーするには至っていません。今後も物価高が続けば、消費マインドの冷え込みや、景気への悪影響が懸念されます。
家計の対策
食費の見直し
食料品価格の上昇が続く中、家計防衛のためには支出の見直しが必要です。
- まとめ買いと計画的な消費:特売日を活用し、必要な量だけを購入
- 代替品の活用:コメの代わりにパスタやうどんなど、価格が相対的に安定している主食へのシフト
- ふるさと納税の活用:返礼品でコメを受け取ることで実質的な節約に
固定費の削減
電気・ガス代などの固定費は、省エネ努力で削減できます。また、政府の補助金制度が継続される場合は、適切に活用しましょう。
収入増への取り組み
副業や資格取得によるキャリアアップなど、収入増を目指す取り組みも有効です。インフレ環境では、収入を増やすことが最大の防衛策となります。
まとめ
2025年の消費者物価上昇率は3.1%に加速し、日本はG7で最も高いインフレ率を記録しました。コメ価格の67.5%上昇を筆頭に、食料品が物価全体を押し上げています。
円安が続けば輸入品価格の上昇でインフレ圧力がさらに高まり、家計の重荷が増す可能性があります。2026年前半は物価上昇率の鈍化が見込まれますが、為替動向次第では再過熱のリスクも残ります。
物価高が長期化する中、家計では支出の見直しと収入増の両面から対策を講じることが重要です。
参考資料:
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