日経平均5万4000円突破、衆院解散観測で高市トレード加速

by nicoxz

はじめに

2026年1月14日、東京株式市場で日経平均株価が初めて5万4000円の大台に乗せました。終値は前日比792円高の5万4341円となり、前日の1609円高に続いて連日で最高値を更新しています。この急騰の背景には、高市早苗首相が通常国会の冒頭で衆議院を解散するとの観測があります。

株式市場では「選挙は買い」というアノマリー(経験則)が知られており、今回もその法則に従った動きが顕著です。さらに「高市トレード」と呼ばれる、高市政権の政策を織り込んだ投資行動が活発化しています。本記事では、衆院解散観測が株価に与える影響と、日経平均6万円到達の可能性について解説します。

衆院解散観測と株価急騰の背景

通常国会冒頭解散の可能性

政府は1月23日に通常国会を召集することを閣議決定しました。高市首相は14日にも与党幹部と会談し、通常国会の冒頭で衆議院を解散する意向を伝える方向で調整を進めています。

衆院選の日程としては「1月27日公示―2月8日投開票」と「2月3日公示―15日投開票」の2つの案が浮上しています。真冬の選挙となれば、野党の準備不足を突く狙いがあるとみられています。

高い内閣支持率が早期解散を後押し

高市首相が早期解散を検討する最大の理由は、内閣支持率の高さです。読売新聞の世論調査によると、2025年10月の政権発足時に71%を記録し、12月時点でも73%と7割台を維持しています。この高支持率を背景に、衆院選で自民党の議席増が期待できるという判断があります。

現在、衆議院では自民党会派が199議席を持ち、連立を組む日本維新の会と合わせて計233議席で過半数ラインぴったりです。選挙で議席を上積みできれば、政権基盤がより安定することになります。

円安進行も株高を後押し

外国為替市場では円相場が1年半ぶりの円安・ドル高水準に振れています。これが主力の輸出関連株を支えており、株高・円安・金利上昇(債券価格は下落)という「高市トレード」の典型的なパターンが鮮明になっています。

「選挙は買い」アノマリーの検証

過去の実績

「選挙は買い」とは、衆議院解散から投票日までの期間は株価が上昇しやすいという経験則です。日経平均株価のデータがさかのぼれる1952年以降、衆議院解散に関連した選挙は22回行われました。解散日から投開票日前までのパフォーマンスは17勝5敗という好成績を残しています。

特に1969年以降に行われた解散・総選挙17回では、日経平均はすべて上昇していました。2000年以降の8回に限っても7勝1敗で、平均騰落率は+3.9%と堅調です。

2024年10月に崩れたアノマリー

ただし、このアノマリーは2024年10月の衆院選で約60年ぶりに崩れました。2024年10月25日の日経平均株価は衆議院解散前日よりも3%安い水準で終え、1960年以来64年ぶりに選挙期間中の株価下落を記録しました。

しかし、2026年1月の現状は2024年とは異なります。内閣支持率が高く、政権への期待が強いことが、今回の「選挙は買い」を後押ししています。

選挙後の株価動向は不透明

一方で、投票日以降の株価動向はまちまちです。2000年以降の8回の衆院選を調べると、投票から12週後まで株価が投票直前より高い状態を維持し続けたケースは3回のみでした。与党が大きく勝利して安定政権となった場合でも、選挙後に日経平均が下落したケースが散見されます。

「高市トレード」で注目される銘柄

AI・半導体関連

高市政権は積極財政と先端技術投資を重視しており、AI・半導体関連銘柄への期待が高まっています。NTT、富士通、日立製作所などの国内IT企業が注目を集めています。

防衛・重工業

高市首相の安全保障重視の姿勢から、防衛関連銘柄も物色されています。2025年10月の自民党総裁選後には、助川電気の株価が2.6倍になるなど、関連銘柄が大きく上昇した実績があります。

エネルギー関連

原発関連やエネルギー関連も注目セクターです。2026年1月からの南鳥島沖のレアアース採掘開始の発表を受けて、三井海洋開発や東洋エンジニアリングにも買いが入っています。

建設・インフラ

積極財政政策への期待から、建設・インフラ関連も「高市銘柄」として位置づけられています。公共投資の拡大が見込まれることが背景にあります。

日経平均6万円到達の可能性

アナリストの予測

専門家106人に対するアンケートでは、2026年の日経平均高値予測の平均値は5万6721円でした。6万円超えを予測するプロは106人中17人にのぼります。一方、安値予測の平均は4万5291円と、上下の振れ幅が大きい見通しとなっています。

金融機関11社の2026年末予想は5万3000円から6万1000円の範囲です。野村證券のメインシナリオでは55,000円、上振れシナリオでは59,000円を想定しています。

6万円到達の根拠

日経平均6万円を支持する根拠として、企業業績の好調が挙げられます。2026年3月期の日経平均1株あたり利益は2690円前後と見込まれ、来期12%増益で3012円強となります。PER20倍で評価すれば、計算上は6万円に到達する水準です。

また、企業サイドでは資本効率化の動きが継続しており、2025年11月時点で自社株買いは10兆円を超えました。ROEについても、2027年3月期末には10%に乗せる可能性が指摘されています。

リスク要因

一方で、過熱感を警戒する声もあります。急ピッチな上昇の反動を懸念する専門家は、年間の予測値の幅を「安値3万3000円~高値6万6000円」と極めて広く設定しています。

リスク要因としては、米国経済のインフレ加速や景気失速、トランプ関税の影響が挙げられます。国内では、高市内閣の支持率低下や、日銀の早期追加利上げによる長期金利上昇ピッチの速さが懸念材料です。

注意点・今後の展望

投資判断のポイント

「選挙は買い」のアノマリーは傾向であって確実ではありません。過去のデータから「選挙期間中の日経平均は買いだが、選挙後はまちまち」という結論が導き出されます。短期的な売買を狙う場合は、投票日前後での利益確定を検討すべきでしょう。

政策動向に注目

今後の焦点は、高市首相が実際に冒頭解散に踏み切るかどうかです。国民生活に直結する2026年度予算案の成立が遅れることへの慎重論も自民党内にあり、「まず政策成果を出すべき」という意見も出ています。解散の有無や時期によって、株価の方向性は大きく変わる可能性があります。

国民民主党との連携

高市首相は2025年12月に国民民主党の玉木雄一郎代表と会談し、「年収の壁」の引き上げで一致しました。国民民主党の「閣外協力」的な姿勢は、政治の安定につながるとして株式市場では好材料と捉えられています。

まとめ

日経平均株価は衆院解散観測を背景に5万4000円台に到達し、「高市トレード」が本格化しています。「選挙は買い」のアノマリーは過去のデータでは有効に機能してきましたが、2024年には約60年ぶりに崩れた実績もあります。

日経平均6万円到達を予測するアナリストも増えていますが、過熱感への警戒も必要です。投資判断においては、政策動向や選挙結果、そして日銀の金融政策の行方を注視することが重要です。短期的な投機ではなく、企業のファンダメンタルズを見極めた投資姿勢が求められます。

参考資料:

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