Research

Research

by nicoxz

配当利回りの基礎から学ぶ高配当株投資の始め方

by nicoxz
URLをコピーしました

はじめに

配当株投資と優待株投資は、個人投資家に屈指の人気を誇る二大手法です。特に高配当株投資は、定期的に配当金を受け取れることから「不労所得」の入門として注目されています。

しかし、配当利回りの計算方法やメリット・デメリット、銘柄の選び方について、正しく理解できているでしょうか。「配当利回りが高ければ良い」という単純な考えでは、思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。

本記事では、配当利回りの基礎知識から高配当株投資の始め方、NISAを活用した非課税運用のポイントまで、ゼロから詳しく解説します。これから高配当株投資を始めたい方は、ぜひ参考にしてください。

配当利回りとは何か

配当と利回りを分けて理解する

配当利回りとは「株式を買う金額(株価)に対して、1年間に何%のリターンが配当金として得られるか」を示す指標です。この用語を「配当」と「利回り」に分けて理解すると分かりやすくなります。

株式投資における「配当」とは、企業が株主に利益を分配することです。株式会社は、株主から投資してもらった資金を元手に事業を行い、利益が出たらその一部を株主に還元します。日本企業の場合、配当は年に1〜2回(本決算期と中間決算期)現金で支払われるのが一般的です。

「利回り」は、投資金額に対するリターンの割合です。銀行預金の金利や債券の利回りと同様に、投資効率を測る指標として使われます。

配当利回りの計算方法

配当利回りの計算式は以下の通りです。

配当利回り(%)= 1株あたりの年間配当金 ÷ 株価 × 100

例えば、1株あたりの配当金が20円で株価が1,000円の場合、配当利回りは「20円÷1,000円×100=2%」となります。

配当利回りには「予想配当利回り」と「実績配当利回り」の2種類があります。予想配当利回りは企業が公表する配当予想に基づいて算出され、実績配当利回りは実際に支払われた配当金を用いて計算されます。

配当利回りの目安

一般的には、配当利回り1%以下は低い、5%を超えれば高いと判断されます。全業種の中央値は約2.4%です。

国債利回りや預貯金金利と比較すると、株式の配当利回りは相対的に高い水準にあります。ただし、株式には価格変動リスクがあるため、単純な利回り比較だけでは投資判断できません。

高配当株投資のメリット

定期的な現金収入

高配当株投資の最大のメリットは、保有しているだけで定期的に配当金という現金収入を得られることです。株価の値上がり益(キャピタルゲイン)は売却しなければ実現しませんが、配当金(インカムゲイン)は保有を続ける限り受け取れます。

年間30万円の配当金を得たい場合、配当利回り4%の銘柄に750万円投資すれば達成できます。このように、目標金額から逆算して投資計画を立てやすいのも特徴です。

NISAで非課税運用

新NISAの成長投資枠を活用すれば、配当金にかかる税金20.315%がゼロになります。通常の課税口座では配当金10万円を受け取っても約2万円が税金で引かれますが、NISA口座なら10万円をそのまま受け取れます。

非課税保有限度額は全体で1,800万円、うち成長投資枠は1,200万円までです。つみたて投資枠と併用すれば、年間360万円まで投資が可能です。

ただし、配当金を非課税で受け取るには、受取方法を「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。銀行振込や郵便為替での受取を選ぶと非課税の対象外になるため注意してください。

心理的な安定感

株価が下落しても、配当金が維持されていれば心理的な支えになります。「株価は下がっているけど、配当は入ってくる」という状況は、長期投資を続けるモチベーションになります。

また、高配当株は一般的にバリュー株(割安株)に分類され、グロース株(成長株)に比べて株価の変動が小さい傾向があります。

高配当株投資のデメリット・リスク

配当利回りが高すぎる銘柄の罠

配当利回りは「配当金÷株価」で計算されるため、株価が大きく下落すると配当利回りは高くなります。一見魅力的に見えても、実際には業績悪化の兆候かもしれません。

専門家によると、配当利回りが6%を超えるような「配当利回りが高すぎる」高配当株への投資は避けたほうが良いとされています。高すぎる配当利回りは、企業の信頼性に対する市場参加者の懐疑を反映していることが多いためです。

特に海運、自動車、資源関連といった世界景気に敏感な業種は、業績変動が大きく、配当利回りも不安定になりやすい傾向があります。

減配・無配リスク

企業の業績が悪化すると、配当金が減額(減配)されたり、配当金がゼロ(無配)になったりするリスクがあります。配当金を当てにした生活設計をしていると、減配は大きなダメージになります。

減配が発表されると、株価も下落することが多いため、配当金と株価の両方で損失を被る「ダブルパンチ」状態になる可能性があります。

成長機会の制約

企業が利益を配当に回すということは、その分を事業投資に使えないことを意味します。成長期の企業は配当を出さずに利益を再投資することで、株価の値上がりを狙うケースが多いです。

高配当株は成熟企業が多く、大きな株価上昇は期待しにくい面があります。資産を大きく増やしたい場合は、高配当株だけに偏らないポートフォリオが望ましいでしょう。

銘柄選びのポイント

選定基準の目安

高配当株を選ぶ際の一般的な基準として、以下の数値が参考になります。

  • 配当利回り:3.5%以上
  • 配当性向:60%以下
  • ROE(自己資本利益率):8%以上
  • 自己資本比率:40%以上
  • 営業利益率:10%以上
  • EPS成長率:3年平均5%以上

これらの基準を満たす銘柄は、配当の持続性と企業の財務健全性を兼ね備えている可能性が高いと言えます。

増配株・累進配当銘柄を狙う

高配当株の中でも特におすすめなのが、「増配」を繰り返している銘柄です。継続的に業績が良い企業は増配を何度も繰り返します。株価が安いうちに購入して長期保有すれば、購入時の株価に対する配当利回りが10%以上になる「お宝銘柄」になることも夢ではありません。

「累進配当」とは、減配せずに増配または配当維持を続ける方針のことです。累進配当を公約している企業は、株主還元に対する姿勢が明確であり、長期保有に適しています。

例えば、花王は35期連続増配、三菱HCキャピタルは26期連続増配を達成しています。

業種分散の重要性

特定の業種に偏らず、複数の業種に分散投資することが重要です。景気敏感株(海運、自動車など)と景気安定株(食品、インフラなど)を組み合わせることで、業績変動リスクを軽減できます。

金融セクターでは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(配当利回り約3.8%)、三井住友フィナンシャルグループ(同約3.6%)などが注目されています。

NISAを活用した高配当株投資の始め方

成長投資枠の活用

新NISAの成長投資枠を使って高配当株を購入します。証券会社でNISA口座を開設し、成長投資枠で個別株やETFを購入する流れです。

配当金の受取方法は必ず「株式数比例配分方式」を選択してください。これ以外の方法を選ぶと、配当金が非課税になりません。

ETFという選択肢

個別銘柄の選定が難しい場合は、高配当株ETF(上場投資信託)という選択肢があります。ETFは対象指数のルールに合わせて定期的に銘柄入れ替えが行われるため、投資家自身が個別銘柄を調査・分析する必要がありません。

業績悪化で配当金が減額となった企業は自動的に除外されるため、手軽に高配当株投資を続けることができます。

長期投資の心構え

資産形成の基本は「長期・積立・分散」です。短期の値動きに一喜一憂せず、長期間配当金を受け取る気持ちで保有することが大切です。

保有銘柄が下落している局面では「30%くらい下がったから買い増すか」という姿勢でいると、精神的に楽になります。高配当株投資は、日々の株価変動より配当金の安定性を重視する投資スタイルなのです。

注意点・今後の展望

2026年の市場環境

2026年は、AI・半導体関連株を中心に上昇してきた相場に一服感が出る可能性があります。そのような局面では、グロース株と対極をなす高配当バリュー株に注目が集まりやすくなります。

NISAは「つみたて投資枠」の18歳未満解禁など拡充傾向にあり、高配当株への関心は今後も高まると予想されます。

税制変更リスク

現在のNISA制度は非課税期間が無期限化されましたが、将来の税制改正によって条件が変わる可能性はあります。制度の動向には注意を払っておきましょう。

まとめ

配当利回りとは、投資金額に対して1年間に何%のリターンが配当金として得られるかを示す指標です。計算式は「1株あたりの年間配当金÷株価×100」で、全業種の中央値は約2.4%です。

高配当株投資のメリットは、定期的な現金収入、NISAでの非課税運用、心理的な安定感などがあります。一方で、配当利回りが高すぎる銘柄の罠、減配・無配リスク、成長機会の制約といったデメリットも理解しておく必要があります。

銘柄選びでは、配当利回りだけでなく、配当性向、ROE、自己資本比率などを総合的に判断することが重要です。増配を繰り返している銘柄や累進配当銘柄は、長期保有に適しています。NISAの成長投資枠を活用すれば、配当金を非課税で受け取ることができます。「長期・積立・分散」を基本に、自分の投資目標に合った高配当株投資を始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料:

関連記事

最新ニュース