オルカンが7年連続1位、個人投資家が選ぶ投信大賞の全貌
はじめに
個人投資家が年に一度、優れた投資信託を選ぶ「個人投資家が選ぶ!Fund of the Year 2025」の結果が2026年1月に発表されました。インデックス部門の首位は三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称オルカンでした。アクティブ部門を含む総合順位でも7年連続の1位を獲得しています。
2025年にはオルカンに過去最大の2兆4,541億円が流入するなど、個人投資家の支持は圧倒的です。本記事では、FOY 2025の結果を詳しく紹介するとともに、オルカンがなぜここまで選ばれ続けるのか、その背景を解説します。
Fund of the Year 2025の結果
インデックス部門ランキング
インデックス部門の上位は以下の通りです。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) — 三菱UFJアセットマネジメント
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) — 三菱UFJアセットマネジメント
- ニッセイ外国株式インデックスファンド<購入・換金手数料なし> — ニッセイアセットマネジメント
- eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) — 三菱UFJアセットマネジメント
- たわらノーロード 先進国株式 — アセットマネジメントOne
eMAXIS Slimシリーズが上位5本中3本を占め、三菱UFJアセットマネジメントの低コストインデックスファンドに対する個人投資家の信頼が改めて示されました。
アクティブ部門ランキング
アクティブ部門では、セゾン投信の「セゾン・グローバルバランスファンド」が首位に立ちました。
- セゾン・グローバルバランスファンド — セゾン投信
- 結い 2101 — 鎌倉投信
- ROBOPROファンド — SBI岡三アセットマネジメント
- ひふみ投信 — レオス・キャピタルワークス
- コモンズ30ファンド — コモンズ投信
長期投資を重視する独立系運用会社のファンドが上位を占めており、個人投資家のアクティブファンドに対する選択眼の高さがうかがえます。
イベント形式の変更
このイベントは2007年に「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」として始まりました。2024年から投票資格を投信ブロガー以外の個人投資家にも拡大し、名称も「個人投資家が選ぶ!Fund of the Year」に変更されています。2025年からは事前に結果を公表し、会場では運用会社と個人投資家の交流をメインとする形式になりました。
オルカンが圧倒的に支持される理由
低コストと分散投資の理想形
オルカンの信託報酬は年率0.05775%(税込)で、全世界の株式市場に1本で投資できるファンドとしては最低水準です。先進国から新興国まで、約50カ国・地域の約2,800銘柄に分散投資でき、「これ1本で世界中の株式に投資できる」というシンプルさが最大の魅力です。
新NISAで加速する資金流入
2024年に始まった新NISAは、オルカン人気をさらに押し上げました。三菱UFJアセットマネジメントの調査では、オルカン保有者の9割以上がNISA口座を利用しており、84%がつみたて投資枠を活用しています。
2025年の年間資金流入額は2兆4,541億円に達し、前年の2兆3,548億円を上回って歴代最大を更新しました。2年連続で個別ファンドの資金流入額首位を維持しています。
純資産総額は約6兆円規模に
2025年5月時点でオルカンの純資産総額は約5兆9,000億円に達しており、国内の投資信託としてはトップクラスの規模です。純資産総額の大きさは、運用の安定性やコスト低減にもつながるため、規模が拡大するほどさらに投資家を引きつける好循環が生まれています。
2025年の投信市場を振り返る
14兆円超の資金が流入
2025年の国内公募の追加型株式投資信託(ETF除く)には、推計で14兆2,443億円の資金が流入しました。過去最大だった2024年の15兆3,383億円、2007年の14兆3,201億円に次ぐ過去3番目の高水準です。
新NISAの2年目効果に加え、円安や世界的な株高が追い風となりました。オルカンとeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の2本だけで、市場全体の資金流入の相当部分を占めています。
オルカン vs S&P500の議論
「オルカンかS&P500か」は個人投資家の間で繰り返し議論されるテーマです。2025年のオルカンのリターンは年率約20.5%と好調でしたが、S&P500に特化した投資信託と比較すると、米国株の比率が約60%にとどまるため、米国株が強い局面ではリターンで劣ることがあります。
一方、全世界に分散することで特定の国や地域のリスクを軽減できるのがオルカンの利点です。長期的な資産形成においては、どの国が将来のリターンを牽引するか予測できないため、分散投資を重視する投資家にはオルカンが合理的な選択肢となります。
注意点・展望
インデックス投資への過度な集中リスク
オルカンへの資金集中は、市場全体にとってリスク要因にもなり得ます。パッシブ運用の比率が高まりすぎると、個別企業の価格発見機能が低下するという指摘があります。また、市場全体が下落する局面では、インデックスファンドも同様に値下がりするため、「オルカンなら安心」という過信は禁物です。
2026年の投信市場の展望
新NISAの非課税投資枠は生涯で1,800万円まで利用可能であり、制度の定着に伴いさらなる資金流入が見込まれます。一方、米国の金融政策や地政学リスクなど、市場環境の不透明要因も多く、分散投資の重要性は一段と高まるでしょう。
まとめ
「個人投資家が選ぶ!Fund of the Year 2025」でオルカンが7年連続首位を獲得したことは、低コスト・分散・シンプルという投資信託選びの原則が個人投資家に広く浸透していることを示しています。2025年には歴代最大の2兆4,541億円が流入し、その人気はさらに加速しました。
投資信託を選ぶ際は、FOYのランキングを参考にしつつ、自身のリスク許容度や投資目的に合ったファンドを選択することが大切です。長期・分散・低コストという基本を押さえた投資行動が、資産形成の着実な一歩につながります。
参考資料:
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