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by nicoxz

金価格5000ドル突破で投資家殺到、銀への代替需要も

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はじめに

2026年1月26日、金(ゴールド)の国際価格が史上初めて1トロイオンス(約31.1グラム)5000ドルの大台を突破しました。これは金市場において歴史的な節目となる出来事です。

地政学リスクの高まりや米金融政策の不透明感から、安全資産としての金への需要が急増しています。一方で、価格高騰により「高すぎて買えない」という声も上がり、代替資産として銀(シルバー)への投資が注目を集めています。

本記事では、金価格5000ドル突破の背景、投資家の動向、そして銀投資という選択肢について詳しく解説します。

金価格5000ドル突破の背景

歴史的な価格上昇の軌跡

金価格は2025年を通じて60%以上の上昇を記録し、2026年に入ってからも上昇基調を維持しています。1月26日には一時5110ドルまで上昇し、過去最高値を更新しました。

日本国内でも、店頭小売価格(税込)は1グラムあたり2万7929円に達しており、前日比で1000円以上の大幅上昇となる場面もありました。これは一般消費者にとっても身近に感じられる歴史的な高値水準です。

ゴールドマン・サックスは2026年末の金価格予想を従来の4900ドルから5400ドルに引き上げ、バンク・オブ・アメリカは2026年春までに6000ドルに達する可能性を示唆しています。

地政学リスクが価格を押し上げ

金価格高騰の最大の要因は、地政学リスクの急激な高まりです。2026年1月中旬以降、複数の国際的な緊張が市場を揺るがしています。

まず、米国とNATO加盟国の間でグリーンランドを巡る対立が表面化しました。トランプ大統領がグリーンランド取得への意向を示し、反対する欧州8カ国に対して関税を課すことを示唆したことで、国際関係の不確実性が高まりました。

また、FRB(米連邦準備制度理事会)の独立性に対する懸念も市場心理に影響を与えています。パウエル議長に対する刑事捜査の動きが報じられ、米国の金融政策の予見可能性に疑問符がついています。

中央銀行の金購入が加速

新興国を中心とした中央銀行による金の購入も、価格を支える大きな要因となっています。2025年1月から11月までの期間で、世界の中央銀行による純購入量は約300トンに達しました。

これは、ドルへの過度な依存を避け、外貨準備を多様化する動きの表れです。地政学リスクへのヘッジとして、各国中央銀行が金を「究極の安全資産」として再評価しています。

個人投資家とプロの投資行動

機関投資家のETF投資が急増

2025年、世界の金ETF(上場投資信託)には過去最高となる890億ドルの資金が流入しました。特に北米の投資ファンドが牽引役となり、機関投資家も個人投資家も金をポートフォリオの中核資産として位置づけるようになっています。

金ETFへの投資は、現物の金を保有するよりも手軽で流動性が高いという利点があります。ただし、ETF投資の急増には「危うさ」を指摘する声もあり、投機的な資金の流入が価格変動を大きくする可能性があります。

「高すぎて買えない」という悩み

一方で、金価格の急騰は一般の個人投資家にとって新たな課題を生んでいます。1グラムあたり2万円を超える価格水準では、まとまった量の金を購入することが難しくなっています。

米国では、投資家の約4割が金や銀の購入を検討または実行しているとの調査結果もありますが、価格の高騰により「以前のように気軽に買えなくなった」という声が上がっています。この状況が、代替資産としての銀への関心を高める一因となっています。

銀投資という選択肢

銀価格も史上最高値を更新

金の高騰と歩調を合わせるように、銀価格も急騰しています。2026年1月には銀も1トロイオンス100ドルを突破し、日本国内の店頭小売価格(税込)は1グラムあたり551円を超えて史上最高値を更新しました。

2025年を通じて最もパフォーマンスが良かった貴金属は銀であり、円ベースでは約2.5倍近い上昇を記録しています。これは米国株や日本株を大きく上回る数字です。

なぜ銀が金の代替として注目されるのか

銀が金の代替投資先として注目される理由はいくつかあります。

第一に、投資単価の低さです。金が1グラム2万円を超えるのに対し、銀は500円台で購入できます。少額から投資を始めたい個人投資家にとって、銀はより手が届きやすい選択肢です。

第二に、金銀比価(GSR:Gold Silver Ratio)の分析です。GSRは金価格を銀価格で割った数値で、一般的にこの比率が高いほど銀が割安とされます。2026年1月時点のGSRは約50で、歴史的な推移(30〜110)から見ると中程度の水準にあり、銀の上昇余地があると考える投資家もいます。

銀の独自の投資価値

銀には金とは異なる独自の投資価値があります。銀の需要の半分以上は工業用途であり、スマートフォンや太陽光パネルなどのハイテク製品に不可欠な素材として使われています。

電気を最もよく通す金属である銀は、再生可能エネルギーや電気自動車の普及に伴い、工業需要が今後も拡大すると予想されています。また、銀市場は2019年以降、需要が供給を上回る状態が続いており、この需給ギャップも価格を支える要因となっています。

投資における注意点と今後の展望

価格変動リスクへの注意

金や銀への投資には、価格変動リスクが伴います。特に銀は金よりもボラティリティ(価格変動の激しさ)が高い傾向があり、短期間で大きく値下がりする可能性もあります。

また、ETFへの投機的な資金流入が加速している現状では、何らかのきっかけで資金が流出に転じた場合、価格が急落するリスクも考慮する必要があります。長期的な資産運用を考えるなら、金投資がより安定的とされ、短期的なリターンを狙うなら銀投資が向いているという見方もあります。

今後の価格見通し

アナリストの多くは、2026年中に金価格がさらに上昇する可能性を予想しています。ゴールドマン・サックスの5400ドル予想に加え、一部のアナリストは6000ドル到達の可能性も指摘しています。

ただし、地政学リスクの緩和や米金融政策の安定化が進めば、安全資産への逃避需要が減退し、価格調整が起きる可能性もあります。投資判断においては、国際情勢の動向を継続的に注視することが重要です。

まとめ

金価格の5000ドル突破は、地政学リスクの高まりと安全資産需要の急増を象徴する歴史的な出来事です。中央銀行の金購入やETFへの資金流入が価格を押し上げ、今後もさらなる上昇が予想されています。

一方で、価格高騰により「高すぎて買えない」という課題も生まれ、銀が代替投資先として注目を集めています。銀は投資単価が低く、工業需要に支えられた独自の価値を持っています。

貴金属投資を検討する際は、金と銀それぞれの特性を理解し、自身のリスク許容度や投資目的に合った選択をすることが大切です。価格変動リスクを念頭に置きながら、分散投資の一環として検討することをお勧めします。

参考資料:

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