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by nicoxz

金先物が1980年以来の急落、銀は史上最大の下落率を記録

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はじめに

2026年1月30日、貴金属市場で歴史的な暴落が発生しました。ニューヨーク金先物は一時12%安の1トロイオンス4,700ドル付近まで下落し、1日の下げ率としては1980年以来最大を記録しました。銀先物はさらに深刻で、一時36%安の74.28ドルまで急落し、史上最大の下げ幅となりました。

この急落の直接的な引き金は、トランプ大統領によるFRB次期議長へのケビン・ウォーシュ元理事の指名と、それに伴うドル高の進行です。しかし、その背景には2025年から続いた貴金属の記録的な上昇相場があり、調整局面に入る条件が揃っていました。

本記事では、今回の暴落の原因、市場への影響、そして今後の見通しについて詳しく解説します。

暴落の規模と経緯

金:1980年以来最大の日中下落率

金先物は1月30日、前日終値から最大12%安となる4,700ドル付近まで下落しました。最終的に11.4%安の4,745.10ドルで取引を終えています。スポット金も約9%下落し、4,895.22ドルとなりました。

注目すべきは、前日の29日にはイランに対する米国の軍事介入への警戒感から金価格が一時5,602ドルまで上昇していた点です。わずか1日で約900ドルもの下落が起きたことになります。ペルシャ湾に空母エイブラハム・リンカーンを中心とした大規模な艦隊が展開されたことで地政学リスクが高まり、金は一時5,500ドルを突破していました。

銀:史上最大の下落率を記録

銀先物の下落はさらに激しいものでした。日中最大で36%安の74.28ドルまで急落し、最終的に26.42%安の85.259ドルで引けました。一部の報道では31.4%安の78.53ドルで取引を終了したとも伝えられています。いずれにしても、1980年3月以来最悪の1日の下げ幅です。

金と銀を合わせた時価総額の減少額は、過去48時間で約6.52兆ドルに達しました。鉱山株も大きな打撃を受け、ニューモント(-11.52%)、バリックゴールド(-12.09%)、アングロゴールド(-13.28%)と軒並み2桁の下落を記録しています。

急落の背景

ウォーシュFRB議長指名とドル高

今回の暴落の最大の引き金は、トランプ大統領がFRB次期議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事を指名したことです。ウォーシュ氏は量的緩和に懐疑的な「タカ派」として知られ、インフレ抑制を優先する姿勢を明確にしています。

この指名により、市場はFRBの独立性に対する懸念が後退し、「高金利の長期化」を織り込む動きが加速しました。高金利環境は金利のつかない金にとって不利であり、ドル高はドル建ての金価格を押し下げる要因となります。ウォーシュ氏の指名を受けてドルが急伸し、貴金属の売り圧力が一気に強まりました。

行き過ぎた上昇相場の反動

暴落の下地は、それ以前の記録的な上昇にありました。2025年を通じて金は66%、銀は135%上昇するという異例の相場が続いていました。2026年に入ってからも上昇は止まらず、金は年初来約30%上昇してピーク時に5,595ドルを記録。銀は70%上昇して121ドルに達していました。

テクニカル指標は明確に過熱を示していました。金のRSI(相対力指数)は90に到達し、銀のRSIは93.86と1980年以来の水準まで上昇していました。これは極端な買われ過ぎのシグナルであり、調整局面がいつ来てもおかしくない状態だったのです。

ガンマスクイーズと証拠金引き上げ

下落の加速には技術的な要因も絡んでいます。いわゆる「ガンマスクイーズ」が発生し、オプションを売り建てていたディーラーが価格下落に伴って先物を追加で売却せざるを得なくなり、下落が下落を呼ぶ展開となりました。

さらに、CMEグループが2026年1月に証拠金制度をパーセンテージベースに変更し、維持証拠金を標準ポジションの15%に引き上げたことも大きな影響を与えました。少ない担保で大量のポジションを保有していたレバレッジ投機家が強制的に決済を迫られ、売りが売りを呼ぶ連鎖が発生したのです。

鉱山株・関連市場への波及

鉱山大手が軒並み急落

貴金属の暴落は鉱山株にも直撃しました。世界最大の金鉱山会社ニューモントは11.52%下落し、バリックゴールドは12.09%、アングロゴールドは13.28%と、金本体以上の下落率を記録した銘柄もあります。

鉱山株は金価格の変動に対してレバレッジがかかりやすい特性があり、金価格の急落局面では本体以上に大きく下落する傾向があります。今回もその典型的なパターンが確認されました。

仮想通貨市場への影響

貴金属の暴落は仮想通貨市場にも波及しました。ビットコインは82,000ドル付近まで下落したとの報道もあり、リスク資産全般に売り圧力がかかる展開となりました。

注意点・今後の展望

月間ベースではなお大幅上昇

歴史的な暴落にもかかわらず、月間ベースで見れば金は1月に13%上昇、銀は約19%上昇しています。銀にとっては9カ月連続の上昇です。つまり、今回の暴落は長期上昇トレンドの中での調整という位置づけが可能です。

アナリストは強気見通しを維持

UBSは2026年の金価格目標を大幅に引き上げ、3月・6月・9月の目標をいずれも6,200ドルに設定しました。従来の目標5,000ドルから24%の上方修正です。地政学リスクの継続、中央銀行の金購入需要、インフレヘッジとしての需要が引き続き金価格を支えるという見方が主流です。

投資家が注意すべきポイント

今回の暴落は、過熱相場における急激な調整がいかに激しいものになるかを改めて示しました。レバレッジの効いたポジションは下落局面で破壊的な損失をもたらす可能性があります。証拠金制度の変更やオプション市場の動向にも注意が必要です。

まとめ

2026年1月30日の貴金属暴落は、金が1980年以来、銀が史上最大という歴史的な規模のものでした。ウォーシュFRB議長指名によるドル高、過熱相場の反動、証拠金引き上げによるレバレッジ投機家の強制決済が重なり、連鎖的な売りが発生しました。

ただし、月間ベースではなお大幅な上昇を維持しており、主要アナリストは強気見通しを崩していません。地政学リスクや中央銀行の金購入需要を考えると、長期的な上昇トレンドが終わったとは断定しにくい状況です。今後のFRB政策の方向性とドルの動向が、貴金属市場の行方を左右する鍵となりそうです。

参考資料:

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