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by nicoxz

日本維新の会、食料品消費税ゼロを2026年衆院選公約に

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はじめに

日本維新の会の藤田文武共同代表は2026年1月17日、次期衆院選の公約に食料品の消費税率を2年間ゼロにする政策を盛り込む考えを示しました。「物価高で家計が非常にいたんでいる」として、国民生活の負担軽減を強く訴える方針です。

この政策は維新がこれまで一貫して主張してきたものですが、実現には年間約5兆円の税収減をどう補うかという大きな課題があります。自民党に同調を求める維新の戦略と、実現可能性について詳しく見ていきます。

日本維新の会の食料品消費税ゼロ政策

政策の概要

藤田文武共同代表は17日、都内で記者団に対し「2年間に期間を限定したゼロは我が党がずっと言ってきた。強く訴えていきたい」と述べました。理由として「物価高で家計が非常にいたんでいる」と説明しており、国民の生活支援を最優先課題に位置づけています。

この政策は期間を「2年間」に限定している点が特徴です。無期限の税率引き下げではなく、時限的な措置として提案することで、財源問題への批判を和らげ、実現可能性を高める狙いがあると見られます。

維新の一貫した主張

実は、食料品の消費税ゼロは維新が長年にわたり訴えてきた政策です。2025年の参院選公約でも食料品の消費税率を2年間ゼロにするとうたっていました。藤田氏が「我が党がずっと言ってきた」と強調するのは、この政策が場当たり的なものではなく、党の一貫した理念に基づくものであることを示すためです。

また、藤田氏は17日、X(旧ツイッター)でもこの方針を発信しており、SNSを活用した世論喚起にも力を入れています。若年層の支持獲得を重視する維新らしい戦略と言えるでしょう。

現行の消費税制度と食料品への影響

軽減税率8%の仕組み

現在、日本の消費税は標準税率10%と軽減税率8%の2段階になっています。2019年10月に消費税が10%に引き上げられた際、国民生活への影響を和らげるため、生活に不可欠な飲食料品と定期購読の新聞については8%に据え置かれました。

軽減税率8%の対象となる「飲食料品」は、食品表示法に規定する食品を指しますが、酒類や外食、ケータリングは除外されます。スーパーで購入する食材やテイクアウトの弁当は8%ですが、レストランでの店内飲食は10%という複雑な仕組みです。

軽減税率の限界

軽減税率により消費者は標準税率より2%低い負担で済んでいますが、物価高が続く中では「焼け石に水」との声も少なくありません。特に食料品価格の上昇が続く現状では、8%の税率でも家計には重い負担となっています。

維新が主張する「消費税ゼロ」は、この8%をさらにゼロにすることで、より直接的な家計支援を実現しようという提案です。例えば、年間100万円の食料品を購入する家庭では、8%の消費税で年間8万円、ゼロになればこの8万円がそのまま可処分所得の増加につながります。

財源問題という最大の課題

5兆円の税収減

食料品の消費税をゼロにした場合、年間約5兆円の税収減が見込まれます。これは国の一般会計税収(約70兆円)の約7%に相当する巨額です。2年間限定であっても、計10兆円の財源をどう確保するかは避けて通れない問題です。

消費税は2024年度当初予算で約23.8兆円(税収全体の21.2%)を占めており、所得税(約17.9兆円)や法人税(約17.0兆円)を上回る最大の税収源です。その一部を失うことは、社会保障制度の持続可能性にも影響を及ぼしかねません。

代替財源の検討

立憲民主党は消費税減税の財源として、①政府の積立金の取り崩し、②外国為替資金特別会計の剰余金、③租税特別措置の見直し、④税収の上振れ分を提案しています。維新も同様の財源を検討している可能性がありますが、具体的な説明はまだ十分ではありません。

また、「2年間限定」という設定自体、財源問題への対応策とも言えます。恒久的な減税ではなく時限措置とすることで、景気回復後には税率を元に戻す前提を示し、長期的な財政への影響を抑える意図があると考えられます。

自民党への同調要求と連立政権の行方

連立合意書での位置づけ

日本維新の会は2024年10月の衆院選後、自民党と連立政権を組む合意を結びました。その連立合意書には「飲食料品を2年間に限って消費税の対象としないことも視野に、法制化について検討を行う」との文言が明記されています。

つまり、食料品消費税ゼロは既に連立政権の検討課題として位置づけられているのです。ただし、「検討」という表現にとどまっており、実現が約束されているわけではありません。

「事実上の先送り」との認識

実際、藤田氏自身が「検討項目に盛り込まれた2年間の食料品消費税ゼロについて『事実上先送りになった』」との認識を示したと報じられています。連立合意書に盛り込まれたものの、具体的な法制化の動きは見られず、自民党側の消極的な姿勢が明らかです。

自民党としては、財源問題や既存の税制体系への影響を懸念し、慎重な姿勢を崩していません。また、消費税は社会保障の主要財源として位置づけられており、たとえ一時的であっても大幅な減税には抵抗があると見られます。

衆院選での争点化

こうした状況を踏まえ、維新は次期衆院選でこの政策を前面に押し出し、自民党に圧力をかける戦略と考えられます。選挙公約として明確に掲げることで、有権者の支持を得て自民党に譲歩を迫る狙いです。

藤田氏が「強く訴えていきたい」と述べたのは、党独自の政策として差別化を図るとともに、連立パートナーである自民党に対しても実現を強く求めるというメッセージでしょう。

他党の反応と政策比較

立憲民主党の消費税減税案

立憲民主党も消費税減税を主張しており、国民一人当たり年4万円の負担軽減を打ち出しています。財源については政府の積立金や外為特会の剰余金などを活用するとしており、維新とは手法が異なります。

立憲の提案は全体的な税率引き下げであるのに対し、維新は食料品に限定したゼロ税率という点で差別化を図っています。いずれも物価高対策という目的は同じですが、アプローチが異なる点は注目に値します。

自民党の慎重姿勢

自民党内では消費税減税に対する慎重論が根強くあります。2025年10月には政府・自民党が消費税減税を見送る方針を固めたとの報道もあり、財政規律を重視する立場から、安易な減税には否定的です。

ただし、物価高対策として現金給付などの措置は検討されており、減税以外の方法での家計支援には一定の理解を示しています。維新の提案を受け入れるかどうかは、2026年の衆院選の結果次第という側面もあるでしょう。

注意点・展望

実現可能性の見極め

食料品消費税ゼロは魅力的な政策ですが、実現には大きなハードルがあります。5兆円という巨額の財源をどう確保するのか、具体的な説明がなければ「絵に描いた餅」に終わる可能性もあります。

有権者としては、政策の魅力だけでなく、実現可能性や財源の裏付けをしっかり吟味することが重要です。「2年間限定」という期限設定が、どれだけ現実的な制度設計に基づいているかも注目すべき点です。

税制の複雑化リスク

現在でも8%と10%の二段階税率により、事業者は複雑な会計処理を強いられています。ここにさらに「食料品ゼロ%」が加われば、税制はいっそう複雑になります。

特に、何が「食料品」に該当するのか、外食との線引きはどうするのかなど、細かい定義が問題になります。軽減税率導入時にも混乱がありましたが、ゼロ税率になればさらに細かい議論が必要でしょう。

2年後の税率復帰への懸念

2年間の期限付き措置とした場合、2年後に税率が戻る際の反動も考慮する必要があります。一度ゼロになった税率が8%に戻れば、消費者には実質的な「増税」と感じられるでしょう。

この反動を和らげるための経済対策が別途必要になる可能性もあり、短期的な負担軽減が中長期的にはむしろ混乱を招くリスクも否定できません。

まとめ

日本維新の会が次期衆院選の公約に掲げる「2年間限定の食料品消費税ゼロ」は、物価高に苦しむ国民にとって魅力的な提案です。年間8万円前後の負担軽減は、多くの家計にとって大きな助けとなるでしょう。

一方で、年間5兆円という巨額の税収減をどう補うのか、財源の裏付けが不可欠です。また、自民党が連立合意書で「検討」としながら実質的に先送りしている現状を考えると、実現には高いハードルがあります。

2026年2月上旬に予定される衆院選では、この政策が主要な争点の一つとなる可能性があります。有権者は、政策の魅力と実現可能性の両面から、各党の提案を冷静に見極める必要があるでしょう。維新の提案が本当に実現可能なのか、それとも選挙目当てのスローガンなのか、今後の議論に注目です。

参考資料:

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