衆院選2026序盤情勢、維新苦戦と参政党躍進
はじめに
2026年1月27日、第51回衆議院議員総選挙が公示されました。投開票日は2月8日です。高市早苗首相による国会冒頭解散を受けた今回の選挙では、自民党と日本維新の会の与党が過半数を確保できるかが最大の焦点となっています。
序盤の情勢調査では、各党の明暗がはっきりと分かれています。与党第2党の維新は本拠地の大阪以外で苦戦し、国民民主党も伸び悩んでいます。一方で参政党やチームみらいといった新興政党が比例代表で存在感を示しつつあります。
本記事では、各党の序盤情勢と多極化する政党勢力図の背景を詳しく解説します。
与党の構図と維新の課題
自民・維新連立の背景
2025年10月に発足した高市政権は、公明党の連立離脱という異例の事態を経て誕生しました。公明党は企業・団体献金の規制強化をめぐる方針の違いから連立を離脱し、立憲民主党と合流して「中道改革連合」を結成しました。代わって日本維新の会が連立に加わり、自民・維新の2党連立体制が成立しています。
解散時の勢力は自民党196議席、維新34議席の合計230議席で、過半数の233議席を下回っていました。今回の選挙は、この与党の過半数回復が実現するかが問われています。
維新の埋没リスク
序盤情勢調査によると、維新は本拠地の大阪では手堅く議席を確保する見通しですが、他の地域ではほとんどの選挙区で苦戦を強いられています。共同通信の調査では「自民と維新で過半数の勢い」とされるものの、維新単独では公示前の34議席を下回る可能性が指摘されています。
与党入りしたことで「改革政党」としての独自色が薄れ、有権者の目には自民党との違いが見えにくくなっています。高市内閣の支持率が比較的高い状況では、与党票が自民党に集中し、維新が埋没するリスクが現実のものとなりつつあります。
比例代表でも前回の15議席から減少する見込みとなっており、全国的な支持の広がりを欠いている状況です。
野党各党の情勢
国民民主党の伸び悩み
2025年参院選で改選4議席から17議席へと大幅に議席を伸ばした国民民主党ですが、今回の衆院選では勢いに陰りが見えています。紀尾井町戦略研究所の調査では比例投票先として6.9%の支持を得ているものの、小選挙区では苦戦が予想される選挙区が多くあります。
支持層が自民党や参政党と重なる部分があることが、伸び悩みの一因とされています。参院選での躍進は主に比例代表によるものでしたが、衆院選では小選挙区の比重が大きく、地方組織の弱さが課題として浮上しています。
参政党の比例での伸長
序盤情勢で最も注目を集めているのが参政党の躍進です。2025年参院選で14議席を獲得して存在感を示した参政党は、衆院選でも比例代表を中心に大幅な議席増が見込まれています。
選挙プランナーの松田馨氏は「参政党は絶対伸びる」と分析し、30〜40議席への大幅増を予想しています。外国人政策や食の安全といった独自の政策テーマが、既存政党に不満を持つ有権者の受け皿となっている構図です。紀尾井町戦略研究所の調査でも比例投票先で4.5%を獲得しており、維新の4.8%に迫る水準です。
チームみらいの動向
2025年に結成されたチームみらいは、比例投票先調査で1.1%と小規模にとどまっています。初の国政選挙となる今回、比例代表での議席獲得が焦点となりますが、知名度不足が大きな壁となっています。
中道改革連合の伸び悩み
立憲民主党と公明党の合流により誕生した中道改革連合は、比例投票先で8.9%と自民党に次ぐ第2位の支持を得ています。しかし、序盤情勢では「伸び悩み」と報じられており、異なる支持基盤を持つ2党の合流が有権者に十分浸透していない可能性があります。
多極化する政党勢力図の背景
2025年参院選が示した構造変化
今回の衆院選の序盤情勢を理解するには、2025年7月の参院選の結果を振り返る必要があります。参院選では自民39議席、公明8議席で自公合計47議席にとどまり、非改選と合わせても参院で過半数を割りました。
一方、国民民主17議席、参政党14議席という躍進が起きました。専門家は「物価問題など経済対策を心配する人は国民民主、外国人問題を心配する人は参政党に投票した」と分析しています。自民党支持層の一部が流出したことが、多党化の大きな要因です。
争点の多様化
今回の衆院選では、物価高対策、外国人政策、安全保障など多様な争点が存在します。各政党がそれぞれの得意分野で支持を集める構図となっており、「政権交代選挙」ではなく「多極化したままの勢力再配置選挙」と分析されています。
従来の「自民vs野党第1党」という二項対立の構図は崩れ、有権者の選択肢が多様化しています。この傾向は比例代表の得票に顕著に表れており、小政党でも一定の議席を確保しやすい環境が生まれています。
注意点・展望
序盤情勢はあくまで選挙戦初期の調査に基づくものであり、投開票日までに大きく変動する可能性があります。特に無党派層の動向は流動的で、選挙戦の終盤にかけて情勢が急変するケースは過去にも多くありました。
注目すべきポイントは3つあります。第一に、自民・維新の与党で過半数の233議席を確保できるかどうかです。僅差の場合、選挙後の連立の枠組みが大きな焦点となります。
第二に、参政党がどこまで議席を伸ばすかです。比例での躍進が予想されていますが、小選挙区での当選は限定的とみられ、比例の議席数が同党の存在感を左右します。
第三に、中道改革連合の最終的な獲得議席です。立憲と公明の合流効果が発揮されれば野党第1党の座を固めますが、両党の支持者が離反するリスクも残っています。
まとめ
2026年衆院選の序盤情勢は、日本の政党政治の多極化を改めて浮き彫りにしています。与党入りした維新は大阪以外で埋没リスクに直面し、国民民主党も勢いを維持しきれていません。一方で参政党は比例を中心に大幅な議席増が見込まれ、多党化の流れは加速しています。
2月8日の投開票に向けて、各党の政策論争と有権者の判断が注目されます。政権の安定性と政策の多様性をどう両立させるか、日本の民主政治が問われる選挙となるでしょう。
参考資料:
関連記事
自民党に保守層回帰、参政党との競合区で優勢の背景
2026年衆院選の序盤情勢で、自民党が参政党との競合区の7割超で有力・優勢に。石破前政権で流出した保守層が高市政権で回帰しつつある構図を分析します。
衆院選あす公示、投票先は自民40%・中道13% 若者支持で国民・参政に厚み
日経世論調査で衆院選の投票先が判明。自民党40%がトップ、中道改革連合13%が追う構図に。国民民主党・参政党は若者からの支持が厚く、世代間で異なる投票行動が鮮明になっています。
2026年衆院選で変わるSNS選挙戦略の潮流を読む
2026年2月の衆院選では「高市人気」に乗る自民党と、参院選で躍進した参政党のSNS戦略が注目されています。宮城2区を例に、選挙とSNSの関係性を解説します。
中道改革連合、北海道・東北で苦戦の背景と課題
立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合が、北海道・東北の小選挙区で有力候補ゼロという厳しい序盤情勢に直面している背景と今後の課題を解説します。
衆院選で自民に保守層回帰、参政党との競合の行方
2026年衆院選の序盤情勢で自民党が参政党との競合区の7割超で優勢に。高市政権で保守層が自民に戻りつつある背景と選挙の見通しを解説します。
最新ニュース
ビットコイン7万ドル台急落、テック株売りが暗号資産に波及
ビットコインが約1年3カ月ぶりの安値となる7万2000ドル台に急落しました。米ハイテク株の売りが暗号資産市場に波及した背景と、MicroStrategyの含み損問題について解説します。
日銀の量的引き締め出遅れと円安の関係を解説
日銀のマネタリーベース縮小が米欧に比べ緩やかな理由と、それが円安に与える影響について解説します。FRB新議長候補ウォーシュ氏の金融政策姿勢にも注目が集まっています。
書店600店の在庫を一元化|返品率30ポイント削減の新システム
紀伊国屋書店、TSUTAYA、日販が出資するブックセラーズ&カンパニーが、56社603店の在庫を横断管理するデータベースを始動。返品率6割減を実現した事例と、出版業界の構造改革を解説します。
中国海警局の尖閣周辺活動が過去最多に、日中の緊張続く
2025年、中国海警局の船舶が尖閣諸島周辺の接続水域に357日出没し過去最多を更新。日本の対応策と偶発的衝突防止の課題を解説します。
中国の土地売却収入がピーク比半減、地方財政に深刻な打撃
中国の地方政府の土地売却収入が2025年も前年比14.7%減少し4年連続の減少を記録。ピークの2021年から52%減となり、不動産不況が地方財政を圧迫し続けています。