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by nicoxz

日本国債の超長期債が急落、財政拡張懸念で利回り過去最高

by nicoxz
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はじめに

2026年1月20日、日本の国内債券市場で異例の事態が発生しました。新発30年物国債の利回りは前日比0.27%上昇して3.88%、40年物国債は0.275%上昇して4.215%と、いずれも過去最高を記録しました。

日本国債利回りの1日の上昇幅が0.2%を超えるのは極めて異例であり、市場に衝撃が走りました。背景には、次期衆院選を控えた与野党による消費税減税競争と、それに伴う財政拡張への懸念があります。

本記事では、超長期債暴落の3つのポイントを中心に、日本の債券市場で何が起きているのかを解説します。

超長期債暴落の3つのポイント

ポイント1:財政拡張リスクへの懸念

超長期債利回り急上昇の最大の要因は、財政拡張リスクへの懸念です。高市早苗首相は1月19日の記者会見で、食品の消費税率を2年間ゼロにすると表明し、「行き過ぎた緊縮志向を終わらせる」という積極財政路線を明確にしました。

飲食料品の消費税率ゼロに必要な財源は年間約5兆円と試算されています。首相は「特例公債に頼ることなく、補助金や租税特別措置、税外収入などの見直しで対応する」と述べていますが、市場は財政悪化への懸念を払拭できていません。

さらに、野党の立憲民主党と公明党が立ち上げた新党「中道改革連合」も、食料品消費税ゼロを公約に掲げています。与野党が減税競争を展開する中、財政規律への信頼が揺らいでいます。

ポイント2:超長期債市場の特殊な構造

超長期債市場には、他の年限の国債とは異なる特殊な構造があります。

主な投資家は生命保険会社と年金基金です。生保は20〜30年の長期保障商品を販売しており、その負債に見合う資産として超長期国債を保有するALM(資産・負債の総合管理)運用を行っています。

しかし、2025年に施行された「経済価値ベースのソルベンシー規制(ESR)」に対応するための超長期債購入は既に完了しており、生保の買い需要は減少しています。年金基金も資産配分の変更がない限り、追加購入は限定的です。

買い手が減少する中、短期売買を行う海外投資家の影響力が相対的に増しています。これにより、市場のボラティリティ(価格変動率)が高まりやすい構造となっています。

ポイント3:国債の需給構造の変化

日本銀行は2026年1〜3月期の長期国債買い入れ予定を公表し、超長期債の買い入れ額を600億円減額しました。残存期間10年超25年以下のゾーンの減額は、2025年の複数の四半期に続くものです。

一方、財務省は2026年度の国債発行計画で超長期債の発行額を減らしています。10年を超える超長期債の発行額は計17兆4000億円と、前年度比で7兆2000億円減少し、発行規模は2009年以来の低水準となります。

発行減額と日銀の買い入れ減額が同時に進む中、市場の需給バランスは不安定な状態にあります。

利回り上昇の影響

既存保有者への影響

金利が上昇すると、既に発行された債券の市場価格は下落します。特に償還までの期間が長い超長期債ほど価格変動幅は大きく、途中売却時には大きな損失が発生するリスクがあります。

生保や年金基金が保有する超長期債の評価損は拡大しており、財務への影響が懸念されています。

政府の利払い負担増加

政府にとっても、新規発行する超長期国債の利率上昇は利払い負担の増加を意味します。かつて年1%程度だった30年債の利回りは、現在4%近くまで上昇しており、将来の財政負担は大幅に増加する見通しです。

財務省が超長期債の発行を減らし、短期化を進めているのはこのためですが、短期債への偏りは将来の借り換えリスクを高めるという別の問題も生じます。

株式市場・為替への波及

超長期債利回りの急上昇を受けて、日本の株式市場は大幅に続落しました。金利上昇は企業の資金調達コストを押し上げ、株式の相対的な魅力を低下させるためです。

為替市場では円が対ドルで158円を挟んで推移しています。財政悪化懸念と金利上昇が複合的に作用し、不安定な動きが続いています。

背景にある構造的問題

高市政権の積極財政路線

高市首相は就任前から「食料品の消費税は0%にすべき」と主張してきた積極財政派です。昨年9月の総裁選では財政規律派の支持を得るために封印していましたが、衆院選を控えて持論を復活させました。

しかし、自民党内からは「いったん下げれば2年で区切れなくなる」との懸念が示されています。連立を組む日本維新の会との合意を踏み越えかねない発言に、党内からいら立ちの声も漏れています。

「債券自警団」の台頭

世界的に「債券自警団」と呼ばれる投資家の動きが注目されています。これは、財政規律の緩みを察知した投資家が国債を売り込み、利回り上昇を通じて政府に警告を発する現象を指します。

日本でも同様の動きが起きつつあり、政策当局は市場との対話に苦慮しています。

ドイツ発の財政不安の波及

世界的には、ドイツの国防費増強方針を発端とする財政拡張への不安が各国に波及しています。日本国債に対しても、保有リスクに応じた上乗せ金利(プレミアム)を求める動きが強まっています。

注意点と今後の展望

選挙後の政策動向

2月8日に予定される衆院選の結果次第で、消費税政策は大きく変わる可能性があります。市場は選挙結果とその後の政策決定を注視しています。

日銀の対応

日銀は金融正常化の過程で国債買い入れを段階的に減額していますが、市場の混乱が深刻化すれば柔軟な対応を迫られる可能性があります。

長期的な財政健全化の重要性

足元の利回り上昇は、財政健全化への取り組みが不可欠であることを示しています。減税と財政規律のバランスをどう取るかが、今後の日本経済にとって重要な課題です。

まとめ

日本の超長期債市場では、30年債・40年債の利回りが過去最高を更新するという異例の事態が発生しました。背景には、高市首相による消費税ゼロ政策の表明と財政拡張への懸念、生保など従来の買い手の需要減少、そして海外投資家主導の市場構造の変化があります。

超長期債の利回り上昇は、政府の利払い負担増加、生保・年金の評価損拡大、株式市場・為替市場への波及など、幅広い影響をもたらします。

債券市場の動向は、財政政策と金融政策の信頼性を映す鏡でもあります。衆院選後の政策運営と市場の反応を注視することが重要です。

参考資料:

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