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by nicoxz

日本国債の金利急騰に苦慮する金融庁と生保の含み損問題

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はじめに

2026年1月20日、日本の債券市場で超長期債を中心に利回りが急上昇し、40年物国債は過去最高となる4%台に到達しました。10年物国債利回りも27年ぶりの高水準である2.275%を記録しています。

金利急騰の背景には、衆院選をめぐる財政悪化懸念や生命保険会社の国債売り越しなどの構造的要因があります。金融庁は生命保険各社に国債の売買動向や含み損の調査を開始し、市場安定化と金融機関の健全性確認に追われています。本記事では、金利急騰の背景と金融庁・生保が直面する課題を解説します。

金利急騰の実態

超長期債を中心に異例の上昇

2026年1月20日の債券市場では、40年物国債利回りが4%の大台に乗せました。2007年の発行開始以来、最高水準です。30年物国債も前日比0.25%程度の大幅上昇となりました。

注目すべきは、2年国債利回りの変動が限定的だった点です。これは金利急騰の原因が日銀の利上げではなく、財政リスクプレミアムの拡大であることを示しています。政策金利と長期金利のスプレッド(利回り差)が急拡大しており、通常の利上げ局面では見られない異常な事態です。

衆院選と消費税減税が引き金

直接的な引き金となったのは、高市首相が1月23日に衆院解散、2月8日投開票の意向を表明し、食料品の消費税減税を示唆したことです。2025年11月の高市政権発足以降、財政拡張志向の強さが市場で意識されてきましたが、選挙を前にした財政出動の姿勢が債券市場の警戒感をさらに高めました。

生命保険会社の含み損問題

含み損10兆円超の衝撃

金利上昇の最大の被害者は、大量の長期国債を保有する生命保険会社です。主要13社・グループの国内債券含み損は2025年3月末時点で16兆8,500億円に達し、前年度末の3兆8,000億円から1年で4倍以上に膨張しました。

大手4社の2025年9月末時点の含み損は合計11兆3,000億円に上ります。日本生命が4兆6,887億円、第一生命が2兆8,923億円、住友生命が1兆9,957億円、明治安田生命が1兆7,106億円です。

ESR規制への対応が売り圧力に

生命保険会社が超長期国債を売り越すという異例の行動に出た背景には、2025年度から全社に適用された新たな健全性規制「ESR(経済価値ベースのソルベンシー比率)」があります。

ESRのもとでは、資産と負債のデュレーション(期間)のミスマッチが資本の毀損要因として厳しく評価されます。生保各社はこの規制に対応するため、デュレーションギャップの縮小を急ぎ、その過程で超長期国債のポジション調整(売却)を進めました。

買い手不在の構造問題

超長期国債の有力な買い手として期待される生損保が売り手に回ったことで、市場では「買い手不在」の状態が深刻化しています。2025年12月の利付国債売買動向によると、超長期国債の買い手は海外投資家と信託銀行に限られており、国内機関投資家の需要が大きく後退しています。

金融庁の対応と片山財務相の発言

生保への緊急調査

金融庁は1月中旬、大手生命保険各社に国債の売買動向や含み損の状況に関する調査用紙を送付しました。表向きは生保の財務健全性を確認する定期的な対応ですが、長期金利が急上昇した原因を突き止め、市場安定化策を検討する必要性にも迫られていたとされています。

ダボス会議での片山財務相の発言

1月20日、まさに40年国債が4%をつけた当日、片山さつき財務相はスイス・ダボスの世界経済フォーラムに登壇し、「日本は財政の持続可能性を維持しつつ支出を増加させる」と述べました。財政規律への配慮を示しつつも支出拡大の方針を明言したことで、市場関係者の間では財政悪化懸念がさらに強まったとの見方があります。

注意点・今後の展望

今回の金利急騰を「日本版トラスショック」と呼ぶ見方が出ています。2022年に英国でトラス首相の大型減税策が債券市場の暴落を招き、就任わずか45日で辞任に追い込まれた事例との類似性が指摘されています。

もっとも、日本と英国では国債の保有構造が異なり、日銀が依然として大量の国債を保有しているため、同様の急激な市場崩壊が起きる可能性は限定的との見方もあります。しかし、金利上昇が続けば、住宅ローン金利の上昇を通じた家計への影響や、国債の利払い費増加による財政圧迫など、実体経済への波及は避けられません。

まとめ

日本国債の金利急騰は、財政拡張路線への市場の警告といえます。生命保険会社の含み損は過去最大規模に膨らみ、超長期国債の買い手不在という構造問題も深刻化しています。

金融庁は市場安定化と金融機関の健全性確認を急いでいますが、根本的な解決には財政規律の回復と市場との丁寧な対話が不可欠です。衆院選後の新政権がどのような財政運営方針を打ち出すかが、今後の金利動向を左右する最大のポイントとなります。

参考資料:

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