日産株一時10%高 営業赤字縮小で再建期待が浮上
はじめに
2026年2月13日の東京株式市場で、日産自動車の株価が大幅に続伸し、前日比43円40銭(10.55%)高の454円40銭を付けました。前日12日に発表された2026年3月期の連結営業損益が、従来予想の2,750億円の赤字から600億円の赤字へと大幅に縮小する見通しが示されたことが買い材料となりました。
経営危機が叫ばれてきた日産にとって、今回の業績修正は構造改革の成果が表れ始めた証とも受け取れます。本記事では、赤字縮小の要因、構造改革の進捗、そして日産が描く再建シナリオについて詳しく解説します。
業績修正の内容と赤字縮小の要因
営業赤字が大幅に縮小
日産自動車は2月12日、2026年3月期の連結営業損益予想を2,750億円の赤字から600億円の赤字に上方修正しました。前期は697億円の営業黒字だったため赤字転落は避けられないものの、当初見通しから2,150億円も改善した点が市場で高く評価されました。
売上高は前期比6%減の11兆9,000億円を見込んでいます。トップラインの縮小にもかかわらず営業赤字を大幅に圧縮できた背景には、積極的なコスト削減の成果があります。
コスト削減が計画を上回る
赤字縮小の最大の要因は、固定費と変動費の両面にわたる徹底的なコスト削減です。固定費削減は1,600億円、変動費削減は2,400億円に達し、いずれも当初計画を上回る進捗を見せています。上期だけで固定費を800億円以上削減しており、年度末までに1,500億円以上の削減を目指しています。
加えて、為替の円安基調も収益改善に寄与しました。輸出比率の高い日産にとって、為替の追い風は営業利益の押し上げ要因となっています。
最終損益は依然として大幅赤字
一方で、最終損益は6,500億円の赤字を見込んでおり、2年連続の巨額赤字となります。工場閉鎖や人員削減に伴う構造改革費用が膨らんでいることが主因です。将来の収益改善のための先行投資的な費用ではありますが、財務基盤へのインパクトは大きいと言えます。
構造改革の全体像
世界規模のリストラ計画
日産が進める構造改革の規模は大きく、世界全体で約2万人の人員削減と7工場の閉鎖・縮小を計画しています。生産能力の適正化を図り、固定費の構造的な圧縮を目指す内容です。
2026年度末までに合計5,000億円のコスト削減を達成する目標を掲げており、2027年3月期には関税の影響を除いた自動車事業の営業損益とフリーキャッシュフローの黒字化を目指しています。
事業ポートフォリオの見直し
構造改革は単なるリストラにとどまらず、事業ポートフォリオの再構築も含まれています。不採算車種の整理や、成長が見込まれる電気自動車(EV)関連への経営資源の集中が進められています。
日産はEV分野で先行者としての技術蓄積がありますが、近年は中国メーカーの台頭やテスラとの競争で存在感が薄れていました。今回の構造改革を通じて、競争力のある製品ラインナップへの転換を加速させる方針です。
市場の評価と今後の課題
アナリストの評価が改善
今回の業績修正を受けて、証券会社のアナリスト評価にも変化が見られます。マッコーリーは日産の投資判断をアンダーパフォーム(弱気)からニュートラル(中立)に引き上げ、目標株価を60%引き上げて400円としました。構造改革の進捗が想定以上だったことを評価した形です。
ただし、目標株価400円は現在の株価水準(454円)を下回っており、短期的な株価上昇の持続性には慎重な見方もあります。市場では「悪材料出尽くし」の期待感と、本格的な業績回復への懐疑的な見方が交錯しています。
米国関税リスクが重荷
日産が直面する最大の外部リスクは、トランプ米政権が発動した高関税です。営業損益ベースで2,750億円もの関税負担が見込まれており、これがなければ営業黒字を達成できる水準にまでコスト構造は改善しています。
米国は日産にとって最大の市場の一つであり、関税問題の長期化は再建計画の前提を揺るがしかねません。現地生産の拡大や販売戦略の見直しなど、関税リスクへの対応策の実効性が問われます。
注意点・展望
日産の再建は緒に就いたばかりであり、楽観は禁物です。2027年3月期の黒字化目標は関税影響を除いたベースであり、関税問題が解決しない限り、見かけ上の赤字が続く可能性があります。
ホンダとの経営統合は破談となりましたが、ホンダおよび三菱自動車との戦略パートナーシップは継続しています。EV開発やソフトウェア開発など、協業によるシナジー効果の具体化が待たれます。
今後の注目点は、2026年度末のコスト削減目標5,000億円の達成状況と、2027年3月期の業績予想です。構造改革の「痛み」を乗り越えて持続的な収益体質を構築できるか、日産の経営陣の真価が問われる局面が続きます。
まとめ
日産自動車の株価急騰は、営業赤字の大幅縮小が構造改革の着実な進捗を示したことへの評価です。固定費・変動費の削減が計画を上回り、コスト面での改善は確実に進んでいます。
しかし、最終赤字6,500億円や米国関税リスクなど、課題は山積しています。世界2万人の人員削減と7工場の閉鎖という大規模リストラの先に、競争力ある日産の姿を描けるかどうかが、今後の株価と企業価値を左右するでしょう。
参考資料:
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