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by nicoxz

ジャングリア沖縄が開業半年で直面する集客の壁

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はじめに

沖縄県今帰仁村のテーマパーク「ジャングリア沖縄」が2026年1月25日で開業から半年を迎えます。USJ再生で知られるマーケター・森岡毅氏率いる株式会社刀がプロデュースし、総投資額約700億円という大型プロジェクトとして注目を集めました。

しかし、開業当初の期待とは裏腹に、来場者数は伸び悩んでいます。平日の来場者は2000人程度にとどまり、アトラクションの弱さを指摘する声も少なくありません。沖縄本島北部の宿泊者数は前年同期比で微増にとどまり、観光の起爆剤としてはまだ本領を発揮できていない状況です。

本記事では、ジャングリア沖縄の現状と課題、そして今後の展望について詳しく解説します。

開業半年の現状

来場者数の推移

ジャングリア沖縄は初年度の来場者として100万〜150万人を見込んでいました。1日あたりのチケット販売数は5000枚を上限としていますが、実際には平日の来場者は2000人程度にとどまっています。

開業直後の7〜8月は夏休みシーズンで賑わいを見せましたが、開業3カ月を過ぎた頃から「新顔効果」が薄れ、来場者数は落ち着いてきました。土日祝日や連休では最大1万人近い来場がある日もありますが、平日との差が大きい状況です。

運営体制の見直し

来場者数の減少を受けて、運営会社は効率経営に転換しました。2025年10月以降、閉園時間を平日は午後5時、土日祝日は午後6時半〜7時に早める運用を開始しています。需要に応じた柔軟な運営で、人件費などのコストを最適化する狙いがあります。

待ち時間の改善

開業当初は「待ち時間が長すぎる」という批判が相次ぎました。冬の平日でも人気アトラクションで130分待ちになるケースがあり、来場者の不満につながっていました。

現在は体制が整い、待ち時間は大幅に改善しています。主力アトラクション「ダイナソーサファリ」は利用者数が1.3倍に増加し、待ち時間60分以内での案内が1日のうち9割を超えるまでになりました。気球「ホライゾンバルーン」も運行時間帯を増やし、1日300人以上が利用できる日もあります。

アトラクションへの評価

「しょぼい」「つまらない」という声

口コミサイトでは厳しい評価が目立ちます。じゃらんnetでの評点は2.9(41件)で、「雨を遮るものが少ない」「ベンチも少ない」「フード販売店が少ない」「ショーが急に中止になってもお詫びアナウンスがない」といった指摘が寄せられています。

特にアトラクションについては「絶叫系がほとんどない」「思ったより早く回り終わった」「アトラクションの数が少ない」という声が多く、一般的なテーマパークを期待して訪れた人には物足りなさがあるようです。

投資額に対する疑問

総投資額700億円という規模に対して、アトラクションの内容が見合っていないという指摘もあります。年間100万人規模のテーマパークとして、レゴランドジャパン(投資額約320億円)と比較すると、投資効率に疑問符がつきます。

広大な敷地の造成費やインフラ整備に多額の費用がかかった可能性があり、来場者が直接体験できるアトラクションへの配分が限られていた可能性があります。

肯定的な評価も

一方で「USJやディズニーとは違った『生身のアドベンチャー』で大人の冒険心をくすぐる」「世界最大級インフィニティスパが神レベル」「スタッフ対応が良い」といった好評もあります。「7000円の価値あり」「沖縄にこのために行く価値もある」と評価する声も確かに存在します。

ジャングリア沖縄は従来のテーマパークとは異なるコンセプトを掲げており、その独自性を評価するかどうかで評価が分かれている状況といえます。

沖縄北部観光への影響

宿泊者数は微増にとどまる

沖縄本島北部9市町村の2025年8月の宿泊者数は、前年同期比2.7%減の68万8296人でした。ジャングリア開業後にもかかわらず、北部全体では観光客がわずかに減少するという意外な結果となっています。

同月にジャングリアを訪れた人は約4万7591人(約6.9%)でしたが、ジャングリアと他の観光地をセットで巡る周遊行動は限定的だったようです。

一部ホテルでは好調

ただし、個別に見ると効果が出ているケースもあります。名護市のホテル「カヌチャリゾート」では、ジャングリアの入場券付きプランが好調で、7〜9月の稼働率が前年比20〜40%もアップしました。

また、今帰仁村のコスメ会社「YUMEJIN」では、ジャングリア施設内に商品が置かれた影響で問い合わせが増え、売上高が過去最高になる可能性もあるとのことです。

「素通り観光」の課題

沖縄本島北部は長年「素通り観光」と呼ばれ、観光客は美ら海水族館を訪れても宿泊せずに南部に戻るケースが多いという課題を抱えてきました。ジャングリア沖縄は北部の観光振興の切り札として期待されていましたが、現時点ではその効果は限定的です。

森岡毅氏の戦略と見解

「大成功はいらない」

森岡毅氏は開業前から「大成功はいらない」と語っていました。ジャングリアは沖縄県の人口約140万人、年間観光客数約1000万人という市場規模を踏まえ、投資額を700億円に抑えた設計となっています。

「美ら海水族館の半分程度(年間150〜200万人)でも十分採算に合う」というのが森岡氏の見立てで、東京ディズニーリゾートやUSJのような大規模テーマパークとは異なる事業モデルを志向しています。

成功確率73%の計算

森岡氏は成功確率を約73%と計算しています。残りの27%は「今想定できていないファクター」であり、災害や運営のクオリティーが課題として挙げられています。パークがオープンしたばかりで現場の経験値が不足していることは認識されていました。

将来の拡張計画

ジャングリアは120ヘクタールの建設用地を確保しており、第1期は60ヘクタールで開業しました。将来的なフェーズ2への拡張を視野に入れた計画で、成功すれば追加投資によりアトラクションを増やす余地があります。

また、アジアでの2号店展開やIPO(株式上場)も視野に入れており、「ジャングリアを開業後、実績が出た20年代後半」での上場を計画しています。

今後の注目点

冬季の集客力

沖縄観光は夏季に偏る傾向がありますが、テーマパークは通年で集客できる施設として期待されています。冬季の集客力がどこまで維持できるかが、年間来場者数を左右する重要なポイントです。

リピーター獲得

沖縄を訪れる観光客の約9割がリピーターとされています。ジャングリアが「一度行けば十分」となるか、「また行きたい」と思わせる魅力を維持できるかが長期的な成功の鍵を握ります。

北部宿泊との連携

ジャングリアと北部の宿泊施設、他の観光スポットとの周遊を促進する取り組みが求められます。単独施設としての集客だけでなく、北部観光全体を活性化させることが本来の目標です。

まとめ

ジャングリア沖縄は開業から半年を迎え、平日来場者2000人程度という厳しい現状に直面しています。アトラクションの弱さを指摘する声がある一方で、独自のコンセプトを評価する声もあり、評価は分かれています。

沖縄本島北部の観光起爆剤としては、現時点ではまだ芽を出せていない状況です。ただし、東京ディズニーランドも開業当初は批判があり、改善を重ねて現在の地位を築いた歴史があります。

森岡氏は「大成功はいらない」と語っており、700億円という投資額に見合った収益を上げられるかどうかが真の評価基準となります。今後のアトラクション追加や運営改善、北部観光との連携強化に注目が集まります。

参考資料:

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