オリエンタルランド最高益も入園者数に課題が残る
はじめに
オリエンタルランドが発表した2026年3月期第3四半期(2025年4月〜12月)の連結決算は、売上高5,302億円、営業利益1,414億円と、いずれも四半期累計で過去最高を記録しました。しかし、決算発表翌日の1月30日、株価は反落しています。
好決算にもかかわらず市場が慎重な反応を示した背景には、入園者数の伸び悩みという構造的な課題があります。この記事では、オリエンタルランドの業績の中身を分析し、「最高益なのに株価が上がらない」理由と今後の展望を解説します。
過去最高益の中身を読み解く
単価アップ戦略が業績を牽引
2026年3月期第3四半期累計の連結経常利益は前年同期比4.6%増の1,422億円に達し、通期計画1,608億円に対する進捗率は88.5%と順調です。営業キャッシュフローも2,140億円と過去最高を記録しました。
この好業績を支えているのは「体験価値向上に伴う単価アップ」です。入園者数はほぼ横ばいにとどまっているにもかかわらず、売上高は着実に伸びています。チケット価格の引き上げや、有料ファストパス(ディズニー・プレミアアクセス)の導入、園内飲食やグッズの高付加価値化といった施策が奏功しています。
直近四半期はやや減速
ただし、直近3カ月の10〜12月期(第3四半期単体)を見ると、連結経常利益は前年同期比1.4%増の729億円にとどまりました。売上営業利益率も前年同期の34.5%から34.2%にやや低下しています。
ファンタジースプリングス関連の減価償却費の増加が利益を圧迫しており、大型投資のコスト負担が本格化し始めていることがうかがえます。
入園者数の課題と株価の反応
伸びない入園者数
オリエンタルランドの課題は、入園者数が増加に転じていない点です。2024年6月に東京ディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」がオープンしたにもかかわらず、全体の入園者数は前年とほぼ変わらない水準にとどまっています。
スペース・マウンテンの休止(リニューアルのため)が一因とされていますが、それだけでは説明しきれないという見方もあります。テーマパーク業界全体で「価格に対する満足度」が問われる局面に入っている可能性があります。
株価下落が続く理由
オリエンタルランドの株価は、2024年初頭の約5,700円をピークに下落トレンドが続いています。2025年には一時3,000円を割り込み、ピークから約48%もの下落を記録しました。最高益を更新しても株価が上がらない背景には、いくつかの構造的な要因があります。
第一に、バリュエーションの問題です。現在の株価水準でもPER(株価収益率)は約40倍と、市場平均を大きく上回っています。「ディズニープレミアム」と呼ばれる割高評価の修正が進んでいると考えられます。
第二に、ファンタジースプリングス関連の約3,200億円にのぼる大型投資の減価償却が始まり、2025年3月期第3四半期累計では114億円の減益要因となりました。投資回収にはまだ時間がかかります。
第三に、配当利回りの低さです。2026年3月期の年間配当金は14円で、配当利回りは約0.49%にとどまります。金利上昇局面では、低配当の成長株から高配当株への資金シフトが起きやすくなります。
注意点・展望
単価戦略の持続性
単価アップ戦略は業績向上に貢献していますが、入園者数が伸びない中での値上げには限界があります。消費者の「コストパフォーマンス」に対する意識が高まれば、客離れにつながるリスクも否定できません。
一方で、オリエンタルランドはトゥモローランドの大規模再開発(スペース・マウンテン周辺およびシュガー・ラッシュ関連)に約1,000億円規模の投資を計画しています。2027年以降に新アトラクションが稼働すれば、入園者数の回復に寄与する可能性があります。
財務基盤は健全
財務面では手元現金が約4,500億円と潤沢で、自己資本比率は67.8%を維持しています。大型投資を続けながらも財務の健全性が保たれている点は、長期投資家にとって安心材料です。
まとめ
オリエンタルランドは過去最高の営業利益を達成し、単価アップ戦略は確実に成果を上げています。しかし、入園者数の横ばいや大型投資の償却負担、高いバリュエーションといった課題が株価の重荷となっています。
今後は、トゥモローランドの再開発やAI・デジタル技術を活用した新たな体験価値の創出が、入園者数の回復と持続的な成長のカギとなります。株式投資の観点では、短期的な株価変動よりも、中長期的な投資回収の進捗や入園者数の動向に注目することが重要です。
参考資料:
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