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by nicoxz

柏崎刈羽原発6号機が再稼働29時間で停止

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はじめに

東京電力ホールディングスは2026年1月22日、前日に13年10か月ぶりに再稼働させた柏崎刈羽原子力発電所6号機を停止すると発表しました。制御棒を引き抜く作業中に警報が鳴る不具合が発生し、原因調査のため運転を中断するものです。

福島第1原発事故の当事者である東京電力にとって、原発の再稼働は事故後初の出来事でした。しかし、再稼働からわずか29時間での停止という結果に、原発の安全性と東電の管理体制への疑問の声も上がっています。

本記事では、柏崎刈羽原発6号機の相次ぐトラブルの経緯と、日本のエネルギー政策における原発再稼働の意義を解説します。

トラブルの経緯

1月17日:最初の不具合発生

2026年1月17日、東京電力は6号機の再稼働に向けた試験中、制御棒の操作に誤りがあった際に作動するはずの警報が出ない不具合が見つかったと発表しました。

制御棒は燃料の核分裂反応を抑える装置で、6号機には205本あります。1本引き抜いた状態で他の制御棒を引き抜こうとすると警報が出るはずが、その警報が作動しなかったのです。

原因は30年前からの設定ミス

翌18日、東京電力はこの不具合の原因が制御棒の不用意な引き抜きを防ぐ機能の設定ミスであったと発表しました。驚くべきことに、この設定誤りは1996年の営業運転開始時から存在しており、約30年間発見されていませんでした。

設定が誤っていた88の組み合わせは、約2万組の約0.4%でした。これまでの検査では見つからず、今回の再稼働前検査で初めて発覚したのです。

1月20日の再稼働延期

この問題を受け、東京電力は当初1月20日に予定していた再稼働を延期しました。トラブルの影響を慎重に見極める方針を取ったためです。

1月21日:13年10か月ぶりの再稼働

1月21日、6号機は13年10か月ぶりに再稼働しました。東京電力が原発を再稼働させるのは、2011年の福島第1原発事故後初めてのことでした。

1月22日:再び不具合で運転停止

しかし、再稼働の翌日である1月22日午前0時28分、制御棒の引き抜き操作中に再び警報が発生し、作業を中断しました。東京電力は原因調査に時間を要する見込みとなったため、原子炉を停止すると発表しました。

1月22日午後11時56分に制御棒の挿入を開始し、翌23日午前0時3分に全ての制御棒を挿入して原子炉を停止しました。再稼働からわずか29時間での停止となりました。

柏崎刈羽原発の再稼働への道のり

福島事故後の長い停止期間

柏崎刈羽原発は新潟県柏崎市と刈羽村にまたがる東京電力の発電所です。7基の原子炉を有し、合計出力は821万2,000kWと世界最大級の規模を誇ります。

2011年の福島第1原発事故後、2012年3月に全7基が運転を停止しました。2013年9月には6、7号機の安全審査を原子力規制委員会に申請し、2017年12月に新規制基準の安全審査に合格しました。

テロ対策不備と運転禁止命令

しかし、再稼働への道のりは険しいものでした。2020年9月には東電社員がIDカードの不正利用で中央制御室に入室する事件が発生。さらに2021年3月には、テロリズム対策に関わる侵入検知装置が長期間機能喪失に陥っていたことが発覚しました。

原子力規制委員会は問題の重要度を「最悪」と評価し、2021年4月14日、東京電力に対して核燃料の移動を禁じる是正措置命令を下しました。この命令により、再稼働は事実上不可能となりました。

運転禁止命令の解除と地元同意

2023年12月、原子力規制委員会は自律的な改善が見込める状況であることを確認し、運転禁止命令を解除しました。

2025年11月21日、新潟県の花角英世知事は臨時記者会見で柏崎刈羽原発の再稼働を容認する意向を表明。同年12月に再稼働の地元同意手続きが完了し、東京電力は2026年1月20日の再稼働を発表しました。

安全性への影響と東電の対応

外部への放射能影響なし

今回の不具合について、東京電力は「外部への放射能の影響はなく、発電プラントの状態は安定している」と説明しています。原子力規制委員会も「原子炉の状態は安定しており、安全上問題はない」との見解を示しています。

調査の見通し

22日に記者会見した柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は「調査は1、2日で終わるとは想定していない」と述べています。東京電力は「調査結果については、判明次第あらためてお知らせする」としており、復旧時期の見通しは現時点で不透明です。

東電のコメント

東京電力は「約14年振りの運転であるため、プラント設備の健全性確認を一つひとつ慎重に進める中で、気づきがあれば適切に対処し、各起動工程の状況について、しっかりと情報発信を行ってまいります」とコメントしています。

日本のエネルギー政策における意義

原発活用の転換点

福島第1原発事故の当事者である東電が原発を動かすことは、日本の原子力政策の転換点と位置づけられています。人工知能(AI)の普及でデータセンター向けの電力需要が高まっており、日本は原発活用を推し進める方針です。

7号機の状況

なお、7号機については東京電力が再稼働を目指しているものの、テロ対策施設の完成が遅れるため、2025年10月以降、3年から4年程度運転できなくなる見通しです。

「西高東低」の原発利用

これまで日本の原発再稼働は西日本が先行しており、「西高東低」の状況が続いていました。柏崎刈羽原発の再稼働は、東日本における原発利用の転機となることが期待されていました。

注意点・展望

相次ぐトラブルへの懸念

再稼働前の1月17日のトラブルに続き、再稼働直後の22日にも不具合が発生したことで、東電の管理体制への懸念が高まっています。特に、30年間発見されなかった設定ミスの存在は、検査体制の在り方に疑問を投げかけています。

今後の見通し

原因調査には一定の時間を要する見込みで、運転再開の時期は不透明です。東電は慎重な対応を強調していますが、度重なるトラブルが地元住民や国民の信頼にどのような影響を与えるか注視が必要です。

また、7号機の再稼働が数年先になる見通しであることも、東電の原発事業全体に影響を与える可能性があります。

まとめ

柏崎刈羽原発6号機は、13年10か月ぶりの再稼働からわずか29時間で運転停止となりました。制御棒の制御装置に関する不具合が原因で、東京電力は原因調査を進めています。

福島第1原発事故後初となる東電の原発再稼働は、日本のエネルギー政策における重要な転換点でした。しかし、相次ぐトラブルの発生は、原発の安全性と電力会社の管理体制について改めて議論を呼ぶことになりそうです。

外部への放射能影響はないとされていますが、今後の調査結果と復旧への取り組みが注目されます。

参考資料:

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