レーザーテック株急落、受注見通しへの失望が背景
はじめに
2026年2月2日の東京株式市場で、半導体検査装置大手のレーザーテック(6920)の株価が大幅に下落しました。一時は前営業日比で10%を超える下げ幅を記録し、2025年4月以来の日中下落率となっています。
直前の1月30日に発表された2026年6月期の第2四半期決算では、通期業績が上方修正されたにもかかわらず、市場の反応は厳しいものでした。投資家が注目していた受注高の見通しが期待を下回ったことが、売りの引き金になったとみられます。
この記事では、レーザーテックの決算内容と株価急落の背景、さらにEUV検査装置市場の動向を踏まえた今後の見通しを詳しく解説します。
第2四半期決算の中身:上方修正でも「物足りない」
通期業績は上方修正
レーザーテックは1月30日、2026年6月期の通期連結業績予想を上方修正しました。売上高は従来予想の2,000億円から2,200億円へ、営業利益は850億円から1,000億円へ引き上げられています。一部製品の売上検収が前倒しとなったことや、為替変動の影響が主な要因です。
第2四半期累計(2025年7月〜12月)の経常利益は前年同期比4.3%増の651億円となりました。10〜12月期の営業利益は363億円で、市場予想の280億円程度を大きく上回っています。
減益幅も当初予想の28.8%減から16.3%減へと縮小する見通しで、数字だけを見れば好決算と評価できる内容です。
受注高見通しが期待を下回る
しかし、市場が最も注目していた受注高の見通しが問題でした。2026年6月期の受注高見通しは1,700億〜2,200億円のレンジで示されましたが、これが市場の期待値を下回りました。
背景には、オランダの半導体露光装置大手ASMLの好調な受注状況があります。ASMLのEUV露光装置の受注が拡大していたため、その検査装置を手がけるレーザーテックにも同様の受注増が期待されていました。しかし実際の見通しはその期待に届かず、失望売りにつながったのです。
EUV検査装置市場におけるレーザーテックの独占的地位
世界唯一のアクティニック検査技術
レーザーテックがここまで注目される理由は、EUVマスク検査装置において世界で唯一の地位を確立しているためです。同社のACTISシリーズは、EUV光源を使ったアクティニック検査(実際の露光波長と同じ光で欠陥を検出する技術)を実現した唯一の製品です。
競合のKLAテンコールは同分野の開発に大幅な遅延を抱えており、当面はレーザーテックの独占状態が続く見通しです。この独占的な立場こそが、同社の受注動向が半導体セクター全体のバロメーターとして注目される理由です。
新製品「ACTIS A200HiT」への期待
受注回復の鍵を握るのが、新製品の「ACTIS A200HiTシリーズ」です。従来のA150と比較して検査速度が3倍に向上しており、ウェハファブで発生するすべての転写性欠陥を検出する感度を実現しています。
また、半導体の微細化がナノメートルからオングストロームの領域へ進むにつれ、EUV検査装置の需要は構造的に拡大する方向にあります。最先端ロジック半導体だけでなく、HBM(高帯域メモリ)を含む最先端DRAMでもEUV露光装置の採用が進んでおり、ACTISシリーズの需要基盤は拡大しています。
株式市場全体の環境も逆風に
米ハイテク株安の波及
2月2日の日経平均株価は前週末比667円67銭(1.25%)安の5万2,655円で取引を終えました。前週末の米国市場でハイテク株が下落した流れを受け、アドバンテストなど値がさの半導体関連株が軒並み売られた影響が大きかったです。
レーザーテック固有の材料に加え、半導体セクター全体への売り圧力が重なったことが、下げ幅を拡大させた要因と考えられます。
為替要因と他セクターの動向
一方、高市早苗首相が週末の演説で「円安で外為特会の運用がホクホクだ」と発言したことなどを背景に、円相場は対ドルで下落しました。これにより朝方は自動車や機械など輸出関連株に買いが入る場面もありましたが、半導体セクターの下落が指数全体の重荷となりました。
注意点・展望
アナリストの評価は分かれる
2月2日時点でのアナリストコンセンサスは「中立」です。内訳は強気買い4人、中立10人、強気売り2人で、平均目標株価は約2万9,773円となっています。業績の下方リスクは後退した一方、受注回復の時期と規模に不透明感が残る状況です。
2027年6月期の回復がカギ
会社側は、受注から売上までのリードタイムが1.5年以下に短縮されていることから、2026年中に受注が回復すれば2027年6月期には業績反転が見込めるとしています。微細化の進展に伴うEUV検査装置の構造的な需要拡大を踏まえると、中長期的な成長ストーリーは崩れていないとの見方もあります。
ただし、短期的には受注動向の確認が必要であり、次回の四半期決算(2026年4月末予定)で具体的な受注高の数字が注目されることになります。
まとめ
レーザーテックの株価急落は、好決算にもかかわらず受注見通しが市場の期待に届かなかったことが主因です。EUV検査装置における独占的な地位は揺るがないものの、受注回復のタイミングに不透明感が残り、投資家の慎重姿勢が表面化しました。
半導体の微細化トレンドやHBM需要の拡大を考慮すれば、中長期的な成長余地は依然として大きいといえます。短期的な株価変動に惑わされず、次回決算での受注高の動向を注視することが重要です。
参考資料:
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