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by nicoxz

自民・維新が食料品消費税ゼロを公約、財政懸念も

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はじめに

自民党と日本維新の会は2026年1月21日、2月8日投開票の衆議院選挙に向けた公約をそれぞれ発表しました。両党とも食料品の消費税を2年間ゼロにする方針を掲げ、物価高に苦しむ家計への支援を前面に打ち出しています。

一方で、ライドシェア導入など規制緩和策の多くは重点項目から外れました。分配政策への傾斜が鮮明になる中、財源確保をめぐる懸念も高まっています。公約の詳細と課題について解説します。

食料品消費税ゼロの公約

連立合意に基づく方針

自民党と日本維新の会は2025年10月20日に署名した連立政権合意書で、食料品の消費税率を2年間ゼロにすることを視野に法制化を検討すると確認していました。今回の衆院選公約は、この合意を具体化したものです。

自民党は公約で、飲食料品を2年間限定で消費税の対象外とすることについて、社会保障と税の一体改革を議論する「国民会議」で財源や工程の検討を加速すると明記しました。

維新の先導的役割

日本維新の会の藤田文武共同代表は1月17日、次期衆院選の公約に食料品の消費税率ゼロを盛り込む考えを示しました。「2年間に期間を限定したゼロは我が党がずっと言ってきた。強く訴えていきたい」と述べ、「物価高で家計が非常に痛んでいる」と理由を説明しています。

自民党の姿勢転換

自民党の鈴木俊一幹事長は1月18日、時限的な「食料品の消費税率ゼロ」を衆院選公約に盛り込むことに前向きな姿勢を示しました。維新との連立合意書に触れ「誠実に実現していくのが基本的な立場だ」と強調しています。

注目すべきは、自民党が2025年7月の参院選公約では消費税減税を掲げていなかった点です。維新との連立を機に、減税政策に大きく舵を切った形となりました。

規制緩和策の後退

重点項目から外れた政策

今回の公約では、分配政策が柱に据えられた一方で、ライドシェア導入など規制緩和策の多くが重点項目から外れました。

また、自民党が2025年の参院選で公約の5本柱の一角に据えた「コメの安定供給に向けた改革」も、今回の重点項目からは外れています。

分配重視への傾斜

両党の公約は、成長戦略よりも家計への直接的な負担軽減を優先する姿勢を鮮明にしています。物価高対策として現金給付に代わる減税という選択は、有権者へのアピールとしては効果的と言えます。

しかし、規制緩和や構造改革といった中長期的な成長戦略が後退することへの懸念も出ています。

対中関係の方針

建設的・安定的な関係構築

自民党は公約で、中国との「建設的かつ安定的な関係構築」を盛り込みました。

政権公約では「わが国を守る責任。国際秩序を担う日本外交」を5本柱の一つに掲げ、日中関係について「開かれた対話を通じ、建設的かつ安定的な関係構築を目指す」としています。

米中対立下での外交バランス

トランプ政権と中国の対立が深まる中、日本の外交的立ち位置は難しさを増しています。公約で対中関係の安定化を明記したことは、経済面での中国との関係維持を重視する姿勢の表れとも言えます。

財源確保の課題

巨額の減収見込み

食料品の消費税をゼロにすれば、年間数兆円規模の税収減となります。2年間の時限措置とはいえ、財源をどう確保するかは大きな課題です。

「国民会議」での検討を通じて財源を詰めるとしていますが、具体策は今後に委ねられています。

国債市場の反応

すでに債券市場は財政懸念に敏感に反応しています。与野党が消費税減税を公約に盛り込む動きを受け、長期金利(新発10年物国債利回り)は1月19日に一時2.275%まで上昇し、27年ぶりの高水準をつけました。

財政拡張懸念から国債が売られ、金利上昇・円安という悪循環に陥るリスクが指摘されています。

財政健全化目標への影響

石破前政権は2025・2026年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指していました。消費税減税で財政収支に大きな穴が開けば、黒字化のチャンスが10数年先に後回しになる可能性があります。

社会保障財源としての消費税

2024年度予算で消費税収は23.8兆円計上され、その81%にあたる19.2兆円が年金、介護、医療、子ども・子育て支援に回っています。消費税は「全世代型の社会保障を支える重要な財源」であり、減税による社会保障への影響も懸念されます。

減税実施の見通し

早ければ2027年1月から

政府・与党は衆院選に勝利すれば、選挙後に召集される特別国会に消費税減税を盛り込んだ税制改正案の提出を検討しています。早ければ2027年1月から減税を実施する案が浮上しています。

2年間の時限措置の意味

「2年間限定」という条件は、財政への影響を抑えるための歯止めと位置づけられています。しかし、一度下げた税率を元に戻すには相当な政治的エネルギーが必要であり、過去の消費税増税の経験からも、恒久化につながるリスクは否定できません。

各党の減税競争

野党も追随

消費税減税は与党だけの動きではありません。各野党も物価高対策として減税や給付金などの政策を掲げており、選挙戦は「減税競争」の様相を呈しています。

財源論争の不在

しかし、各党の公約では財源の裏付けが曖昧なものも少なくありません。税収の上振れ分に頼るとしても、上振れるかどうかは不確定です。結局、赤字国債に頼らざるを得ないケースも出てくる可能性があります。

今後の注目点

選挙結果と政策実現

2月8日の投開票結果が、消費税減税の行方を左右します。自民・維新連立政権が過半数を維持すれば、公約実現に向けた動きが加速するでしょう。

市場の反応

選挙戦を通じて財政拡張的な公約が競われれば、国債市場や為替市場の動揺が続く可能性があります。金利上昇が家計や企業の借入コストを押し上げ、景気に悪影響を及ぼすリスクもあります。

国民会議の議論

減税の財源や工程を議論する「国民会議」の動向も重要です。社会保障との一体改革の中で、持続可能な財政運営とのバランスをどう取るかが問われます。

まとめ

自民党と日本維新の会が食料品の消費税2年間ゼロを公約に掲げたことで、2026年2月の衆院選は分配政策を軸とした争いとなりそうです。

物価高に苦しむ家計への支援という点では歓迎される政策ですが、財源確保の見通しが立たない中での減税は、財政悪化と金利上昇のリスクを高めます。また、ライドシェアやコメ改革など規制緩和策が後退したことは、中長期的な成長戦略の観点から懸念材料です。

有権者としては、目先の減税だけでなく、その財源や副作用についても注視する必要があります。選挙後の政策実行段階で、市場の信認を維持できるかどうかが問われることになります。

参考資料:

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