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by nicoxz

マキタがストップ高、業績上方修正と自社株買いの全容

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はじめに

電動工具大手のマキタ(東証プライム・6586)が2026年1月30日、株価がストップ高となる前日比700円高(15.05%)の5,351円まで急騰しました。前日29日の取引終了後に発表された2026年3月期の業績予想の上方修正と、大規模な自社株買いの実施が市場で高く評価された形です。

マキタは国内電動工具市場でシェア約60%を握り、売上高の84%を海外で稼ぐグローバル企業です。本記事では、今回の上方修正の詳細と自社株買いの規模、そしてマキタが直面する為替リスクや関税問題について解説します。

業績予想の上方修正と第3四半期決算

通期予想を2度にわたり引き上げ

マキタは今回、2026年3月期の通期業績予想を以下のとおり修正しました。

  • 売上高: 7,300億円 → 7,600億円(300億円増額、前期比0.9%増)
  • 連結純利益: 685億円 → 730億円(45億円増額、前期比8.0%減)

注目すべきは、売上高が「一転増収」となった点です。従来予想では前期比減収を見込んでいましたが、為替の円安効果を織り込んだ結果、わずかながら増収に転じる見通しとなりました。

この修正は2度目にあたります。2025年10月にも通期純利益を145億円上方修正しており、当初540億円だった純利益予想が、半年間で190億円も引き上げられたことになります。

第3四半期の実績

2026年3月期の第3四半期累計(4〜12月)の実績は以下のとおりです。

  • 売上高: 5,687億7,800万円(前年同期比微増)
  • 連結純利益: 575億1,600万円(前年同期比7.0%減)

売上高は横ばいを維持しましたが、純利益は減益となっています。ただし、通期予想730億円に対する進捗率は約78.8%と高水準であり、第4四半期の追い風次第ではさらなる上振れも期待できる状況です。

400億円規模の自社株買いの狙い

取得枠の概要

マキタが発表した自社株買いの概要は以下のとおりです。

  • 取得上限株数: 1,000万株(自己株式を除く発行済株式総数の3.78%)
  • 取得上限金額: 400億円
  • 取得期間: 2026年1月30日〜5月31日

発行済株式の約3.8%に相当する大規模な買い付けであり、株主還元強化の姿勢が鮮明です。

自社株買いが評価された理由

自社株買いは、市場に流通する株式数を減らすことで1株当たりの利益(EPS)を押し上げる効果があります。マキタの場合、400億円という金額はストップ高前の時価総額(約1.2兆円)の約3.3%に相当し、かなり積極的な水準です。

業績が減益基調にあるなかでの大規模な自社株買いは、経営陣が現在の株価水準を割安と判断していることの表れとも受け取れます。市場ではこの点が特に好感されました。

マキタの業績を左右する為替と海外市場

円安が支える収益構造

マキタの海外売上比率は84%を超えており、為替変動が業績に与える影響は極めて大きい構造です。2025年3月期の実績では、円ドルの平均レートが152.62円(前期比5.6%の円安)、円ユーロが163.88円(同4.5%の円安)となり、為替だけで売上収益を約228億円押し上げました。

一方で、為替影響を除いた実質ベースでは売上収益が1.5%減少しており、「実力ベースでは減収」という側面もあります。今回の上方修正でも為替効果が主因であり、本業の成長力を見極める際には注意が必要です。

北米市場の関税リスク

マキタにとって最大の懸念材料は、北米市場における関税の影響です。米国で販売する製品の約6割を中国の自社工場から供給しているため、米国の対中関税政策の影響を直接受けます。

2026年3月期の前期(2025年3月期)決算時には、関税による利益下押し効果が約200億円に達するとの見通しが示されており、北米向け売上収益は7%減の7,000億円を見込んでいました。この構造的なリスクは今後も継続する可能性があります。

欧州市場の回復と「筋肉質」経営

欧州はマキタの最大市場であり、2025年3月期の売上高は3,717億円(前期比4.3%増)でした。欧州では建築・建設市場の低迷が続いていましたが、在庫調整後の受注が回復傾向にあります。

投資家の間では、マキタが景気低迷期にあえて減産や在庫調整に踏み切り、コスト構造を「筋肉質」にした点が評価されています。営業利益率は14.2%まで改善しており、利益体質の強化が進んでいます。

注意点・今後の展望

投資家が注意すべきポイント

今回のストップ高は好材料が重なった結果ですが、以下の点には留意が必要です。

  • 減益予想は継続: 上方修正後も通期純利益は前期比8%減の見込みであり、増益転換には至っていません
  • 為替依存の収益構造: 円高に振れた場合、業績の下振れリスクが顕在化します
  • 関税リスクの長期化: 中国工場からの米国向け供給体制の見直しには時間がかかります

中長期の成長ドライバー

マキタは充電式バッテリーのプラットフォーム戦略を軸に、電動工具だけでなく園芸工具(OPE)や清掃機器など隣接市場への展開を進めています。世界の電動工具市場は2034年にかけて年平均4.3%で成長し、1,081億ドル規模に達するとの予測があり、バッテリー式への移行トレンドはマキタにとって追い風です。

生産拠点の分散化や現地生産の拡大が進めば、関税リスクの軽減と為替ヘッジの両面で経営の安定性が増すことが期待されます。

まとめ

マキタの株価ストップ高は、業績予想の上方修正(売上高7,600億円、純利益730億円)と400億円規模の自社株買いという2つの好材料が重なった結果です。円安による為替効果が業績を下支えし、大規模な株主還元策が投資家心理を大きく改善しました。

ただし、減益予想の継続や北米関税リスクなど構造的な課題は残っています。中長期的には、充電式プラットフォームを活用した市場拡大戦略と生産体制の見直しが、持続的な成長のカギとなるでしょう。

参考資料:

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