日経平均株価、一時最高値を更新 米国株上昇と金急落一服で
はじめに
2026年2月3日の東京株式市場で、日経平均株価が1月につけた史上最高値(5万4341円)を一時上回る場面がありました。前日比の上げ幅は一時1900円を超え、投資家の間で楽観ムードが広がっています。
この上昇の背景には、前日の米国株相場の堅調な推移に加え、直近で急落していた貴金属相場の下落がいったん落ち着いたことがあります。本記事では、日経平均株価の最高値更新の要因と、今後の市場見通しについて詳しく解説します。
日経平均株価上昇の主要因
米国株上昇の波及効果
前日の米国株式市場が上昇し、その流れが日本株にも波及しました。S&P500は2023年から3年連続で二桁上昇を記録しており、2026年も強気基調が継続しています。
野村證券の予測では、S&P500は2026年末に7,200ポイントまで上昇する見通しで、AI関連需要の拡大や堅調な企業業績が下支えとなっています。米国経済が「ソフトランディング」から「ノーランディング」へとシナリオを切り替えたことも、投資家心理を支えています。
貴金属相場の下落一服
金相場は2月2日に歴史的な急落を記録しました。ニューヨーク金先物価格は前日比600ドル超、率にして約11%の下落となり、1980年以来46年ぶりの下落幅でした。この急落は、トランプ大統領がタカ派とされるケビン・ウォーシュ元FRB理事を次期FRB議長に指名したことが引き金となりました。
しかし、3日にはアジア時間の強烈な売りが一服し、下げが縮小。貴金属市場の混乱がいったん落ち着いたことで、株式市場への資金流入が促進されました。
好決算銘柄への買い
個別銘柄では、好決算を発表した企業に買いが集まりました。
TDK(一時12%高)
TDKは2月2日、2026年3月期の連結純利益を前期比14%増の1900億円に上方修正しました。従来予想から100億円の上乗せで、上方修正は今期2度目となります。スマートフォン向け小型2次電池の販売好調と円安が追い風となっています。年間配当も32円から34円に増額修正し、2期連続の過去最高益更新を見込んでいます。
半導体関連株の反発
前日に下落していたアドバンテストや東京エレクトロンなど半導体関連株も反発しました。AI需要の拡大を背景に、半導体セクターへの期待は依然として高い状態が続いています。
金相場急落の影響と今後
史上最高値から一転、大幅下落
金相場は1月29日に史上最高値となる1トロイオンス5,626ドルを記録しましたが、その後わずか数日で4,700ドル台まで下落しました。下落率は16%に達し、時価総額ベースでは約4.3兆ドル(約670兆円)が吹き飛びました。
大阪取引所では2月2日、金先物の売買を一時的に中断する「サーキットブレーカー」を発動。前営業日比の下げが制限値幅の10%に達したためです。
他の貴金属への波及
金の急落は他の貴金属にも波及しました。銀は取引時間中として過去最大の下落率を記録し、一時16%安まで下落。プラチナなど他の貴金属でも3〜4割に及ぶ下落が見られました。
構造的な金需要は継続
短期的な急落にもかかわらず、金価格を支える構造的な要因は健在です。ピクテによると、中央銀行とファンド投資家からの2つの構造的金需要は2026年以降も続き、金価格に上昇圧力がかかり続けると予想されています。
2026年の日本株市場見通し
主要経営者20人全員が最高値更新を予想
主要企業の経営者20人に2026年の株式市場の見通しを聞いた調査では、全員が日経平均株価の最高値を超えると回答しました。高値予想の平均は5万7350円となっています。
野村證券では2026年12月の日経平均株価の見通しをメインシナリオで5万5,000円、上値の目途として最大5万9,000円を想定しています。
脱デフレの「転換点」が鮮明に
2026年の日本株市場を支える要因として、国内経済のデフレ脱却が挙げられます。賃金上昇と物価上昇の好循環が定着しつつあり、企業の価格転嫁力も向上しています。
野村證券は「脱デフレの転換点が鮮明になっている」と指摘し、企業業績の拡大基調が続くと予想しています。2027年3月期はトランプ関税の影響一巡もあり、大手調査機関では営業利益は今期予想比で12%の増益と試算されています。
注意すべきリスク要因
一方で、2026年の株式市場にはリスク要因も存在します。
中間選挙の年のアノマリー
2026年は米国の中間選挙の年にあたり、歴史的に株式市場の成績が良くない傾向があります。1958年以降のデータでは、中間選挙の年のS&P500は年前半にパフォーマンスが低迷し、秋以降に改善するアノマリーが見られます。
AI相場の「結果」が問われる年
2025年にAI相場の「期待先行」フェーズが終わり、2026年は「結果」が厳格に評価される年となる見通しです。AI関連企業の業績が市場の期待に応えられるかどうかが、株価の行方を左右するポイントとなります。
今後の投資戦略
分散投資と押し目買いが基本
中間選挙の年は株価が下がりやすいことを踏まえ、分散投資と押し目買いを基本戦略とすることが推奨されています。特に年前半は調整局面を想定し、慎重な姿勢が求められます。
決算発表への注目
2月から3月にかけては、多くの企業が通期決算を発表する時期となります。TDKのように業績上方修正を発表する企業には買いが集まりやすく、決算内容を精査した銘柄選別が重要になります。
まとめ
日経平均株価が史上最高値を一時上回った背景には、米国株の堅調推移、貴金属相場の下落一服、そしてTDKなど好決算銘柄への買いがありました。主要経営者や証券アナリストの多くは2026年も日本株の上昇基調継続を予想していますが、中間選挙の年特有のリスクやAI相場の「結果」が問われる局面も想定されます。
投資家としては、短期的な値動きに一喜一憂せず、企業業績や経済のファンダメンタルズを見極めながら、分散投資を心がけることが重要です。
参考資料:
関連記事
日経平均2000円超高で最高値更新、上昇の背景を解説
2026年2月3日、日経平均株価が2000円超の急騰を記録し史上最高値を更新しました。米国株高、ISM製造業指数の好結果、半導体株の復調など上昇要因を詳しく解説し、今後の展望を分析します。
日経平均1000円安の衝撃、円急伸と支持率低下のダブルパンチ
2026年1月26日、日経平均株価が大幅反落。円相場が154円台まで急伸し、高市内閣の支持率低下も重なって投資家心理が悪化。株式市場への影響と今後の見通しを解説します。
日経平均先物が夜間取引で急落した背景と今後の展望
2026年1月24日の日経平均先物が夜間取引で800円安となった要因を解説。米国株の動向やAI関連銘柄の影響、今後の相場見通しを専門家の見解とともに詳しく分析します。
日経平均5万4000円突破、解散株高は持続するか
日経平均株価が初めて5万4000円台に到達。衆院解散観測が追い風となる中、小泉・安倍政権時代の「解散株高」と比較しながら、今後の見通しを解説します。
日経平均5万4000円突破・解散株高の持続性を検証
衆院解散観測を受けて日経平均株価が史上初の5万4000円台に到達。「選挙は買い」のアノマリーと、小泉・安倍政権時との比較から今後の展望を解説します。
最新ニュース
ビットコイン7万ドル台急落、テック株売りが暗号資産に波及
ビットコインが約1年3カ月ぶりの安値となる7万2000ドル台に急落しました。米ハイテク株の売りが暗号資産市場に波及した背景と、MicroStrategyの含み損問題について解説します。
日銀の量的引き締め出遅れと円安の関係を解説
日銀のマネタリーベース縮小が米欧に比べ緩やかな理由と、それが円安に与える影響について解説します。FRB新議長候補ウォーシュ氏の金融政策姿勢にも注目が集まっています。
書店600店の在庫を一元化|返品率30ポイント削減の新システム
紀伊国屋書店、TSUTAYA、日販が出資するブックセラーズ&カンパニーが、56社603店の在庫を横断管理するデータベースを始動。返品率6割減を実現した事例と、出版業界の構造改革を解説します。
中国海警局の尖閣周辺活動が過去最多に、日中の緊張続く
2025年、中国海警局の船舶が尖閣諸島周辺の接続水域に357日出没し過去最多を更新。日本の対応策と偶発的衝突防止の課題を解説します。
中国の土地売却収入がピーク比半減、地方財政に深刻な打撃
中国の地方政府の土地売却収入が2025年も前年比14.7%減少し4年連続の減少を記録。ピークの2021年から52%減となり、不動産不況が地方財政を圧迫し続けています。