日経平均6万円超え予想の根拠と注目ポイント
はじめに
2026年の年明け、大手証券各社のトップが日経平均株価の上昇継続を見込む声を相次いで発表しました。年末時点で6万円を超えるとの予想も出ており、投資家の注目を集めています。
この記事では、なぜ証券会社が日経平均の大幅上昇を予測しているのか、その根拠となる企業業績の動向、M&Aの活発化、そしてコーポレートガバナンス改革の進展について詳しく解説します。投資判断の参考として、2026年の株式市場を読み解くポイントをお伝えします。
証券各社の2026年日経平均予想
5万3000円から6万1000円の予想レンジ
金融機関各社に対する調査によると、2026年末の日経平均株価予想は5万3000円から6万1000円の範囲に分布しています。市場関係者の間では、2026年の日経平均は4年連続の上昇となるとの見方が多数を占めています。
野村證券のストラテジストは、年末5万5000円をメインシナリオとして提示しています。また、SMBC日興証券やステート・ストリートも同様に5万5000円から5万6000円の水準を予想しており、現水準から約1割の上昇余地があるとの分析を示しています。
6万円到達の計算根拠
6万円という強気予想の根拠は、企業収益の成長予測にあります。2026年3月期の日経平均採用銘柄の1株あたり利益(EPS)は約2690円と見込まれています。翌期に12%の増益となれば、EPSは3012円強に達します。
株価収益率(PER)が20倍まで評価されると仮定すれば、日経平均は単純計算で6万円に到達する計算になります。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、「日経平均が6万円に到達するのは比較的近い時期に可能性がある」と述べています。
経営者も最高値更新を予想
主要企業の経営者20人に対する調査では、全員が日経平均株価の最高値(5万2411円)を超えると回答しました。26年の高値予想の平均は5万7350円となり、企業経営者も株価上昇に自信を示しています。
株価上昇を支える3つの要因
企業業績の好調継続
2026年度の企業業績は、2桁増益が予想されています。具体的には、営業利益で+14.6%、経常利益で+13.2%、純利益で+15.0%の増益が見込まれています。
この業績好調を支える要因として、人工知能(AI)向けを含む半導体およびデータセンター需要の増加が挙げられます。また、米国の関税引き上げへの企業対応が進展していることも、収益の下支えとなっています。
物価上昇と賃金上昇という国内マクロ環境の変化も、企業業績にプラスに働いています。値上げによる売上増加と、消費者の購買力向上が相まって、内需関連企業の収益改善が期待されています。
M&Aの活発化
日本企業のM&A(合併・買収)活動は活発化の傾向にあります。企業は事業ポートフォリオの見直しを進めており、コア事業への経営資源集中と、成長分野への投資拡大を同時に進めています。
M&Aを通じた事業再編は、ROE(自己資本利益率)の改善につながります。金融を除くベースでは、日経平均採用企業のROEはすでに10%と2桁に達しており、2026年にはさらなる改善が見込まれています。
海外企業の買収や国内での業界再編を通じて、日本企業は「稼ぐ力」の強化を図っています。この動きは、株式市場でのバリュエーション向上にも寄与するとみられています。
ガバナンス改革の進展
2026年半ばには、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)の5年ぶり3回目となる改訂が予定されています。高市首相は「企業が経営資源を適切に配分することを促す改革を進める」と表明しています。
今回の改訂の特徴は、原則を守ること自体を目的とするのではなく、「稼ぐ力」を向上させるガバナンスの実践に焦点を当てている点です。細かすぎる原則を整理してシンプルにする方向性も示されています。
資本効率の改善に向けた動きも加速しています。現預金を適切に活用しない企業に対しては、投資家からの厳しい視線が注がれ、場合によっては株主提案のような実力行使を受ける可能性もあります。
株主還元の拡大傾向
自社株買いの増加
日本企業の株主還元政策において、自社株買いの重要性が高まっています。過去は配当が株主還元の中心でしたが、足元では自社株買いの比率が上昇しています。
2023年春以降、デフレ脱却やガバナンス改革への手ごたえを感じながら、企業は自身の株価が割安だという自信を強めてきました。その結果、自社株買いが需給を支え、株価上昇の一因となっています。
配当の増加
上場企業の配当総額は2026年3月期に初めて20兆円を超える見通しです。前期比8%増となり、純利益の約4割が配当に回される計算になります。企業業績の堅調さと株主重視姿勢の強まりが、配当拡大の背景にあります。
注意点と今後の展望
リスク要因
株価上昇予想の一方で、いくつかのリスク要因も指摘されています。米国の通商政策の動向、円相場の変動、そして地政学リスクは引き続き注視が必要です。
また、海外投資家の動向も重要な要素です。日本株への資金流入が継続するかどうかは、グローバルな投資環境に左右される面があります。
注目セクター
2026年の物色テーマとしては、高市政権が掲げる重点17分野が軸になるとみられています。特にAI・半導体、造船、防衛、デジタル・サイバーセキュリティなど、経済安全保障に関係する分野が注目を集めています。
まとめ
2026年の日経平均株価は、証券各社が揃って上昇を予想しています。企業業績の好調、M&Aの活発化、コーポレートガバナンス改革の進展という3つの要因が株価を支える構図です。
投資家にとっては、個別企業のROE改善度や株主還元姿勢を見極めることが重要になります。6万円到達の可能性も視野に入れつつ、リスク要因にも目配りしながら投資判断を行うことをおすすめします。
参考資料:
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