日経平均反落、衆院選前の踊り場でOLCとイオンに停滞感
はじめに
2026年1月30日午前、東京株式市場で日経平均株価は前日比452円(0.85%)安の5万2923円まで下落しました。1月前半に衆院解散観測を追い風に史上初の5万4000円台に乗せた日経平均ですが、ここ数日はやや不安定な値動きが続いています。
2月8日の衆院選投開票を控え、市場は「踊り場」とも言える状態に入っています。特にオリエンタルランド(OLC)やイオンといった内需系の主力銘柄に停滞感が広がっており、投資家心理の変化を映し出しています。本記事では、足元の相場環境と個別銘柄の動向、そして衆院選後のシナリオを整理します。
衆院解散から投開票へ、「選挙は買い」の行方
1月の急騰と解散効果
高市早苗首相が1月23日に通常国会の開会直後に衆院を解散したことで、市場には「選挙は買い」のアノマリーが一気に意識されました。1969年以降、衆院解散日から総選挙までの期間に株価が上昇した実績は17回連続とされ、今回もこの経験則が買い材料となりました。
実際、解散観測が最初に報じられた1月10日前後には、日経平均先物が急騰し、連休明けの13日には一時前日比1800円超の上昇を記録しています。14日には初めて5万4000円台に到達し、年初からわずか2週間で約2000円の上昇を果たしました。
踊り場に入った背景
しかし1月後半に入ると、上昇の勢いは鈍化しています。衆院選の結果が見通しにくいことに加え、好決算銘柄への個別物色が中心となり、指数全体を押し上げる力は弱まっています。
市場参加者の間では、与党が過半数(233議席以上)を確保できるかどうかが最大の関心事です。自民党が勝利して高市政権が安定すれば、積極的な財政出動や成長戦略への期待が継続し、株価の上昇基調が維持される可能性があります。一方で、与党が議席を大幅に減らすケースでは、政策の不透明感から売りが膨らむリスクも指摘されています。
OLCとイオンが映す内需銘柄の停滞
オリエンタルランド:決算失望と構造的な売り圧力
オリエンタルランド(4661)の株価は2026年1月に年初来安値となる2707.5円を記録しました。2023年夏には5500円付近まで上昇していた同社株ですが、そこからほぼ半値の水準まで下落しています。
直近の下落要因は複数あります。まず、2025年10月に発表された4〜9月期の連結営業利益は682億円と前年同期比8%増でしたが、市場予想の706億円には届きませんでした。発表翌日には前日比327円(9.43%)の急落を見せています。
さらに、2026年3月期通期では営業減益の見通しが示されています。人件費の増加や諸経費の上昇が利益を圧迫する構図です。PERは約41倍と依然として割高であり、同業の富士急行(約21倍)やサンリオ(約24倍)と比較しても突出した水準にあります。
加えて、海外ファンドからの売却圧力も重荷です。英パリサーキャピタルは筆頭株主の京成電鉄にOLC株の売却を要求し、米エリオット・マネジメントは三井不動産にOLC株売却と1兆円規模の自社株買いを求めています。こうした需給面の不安が、株価の重しとなっています。
もっとも、ゲスト一人当たりの売上高は前期比5.2%増の1万8196円、平均客室単価も8.7%増と収益力自体は改善傾向にあります。テーマパーク事業のファンダメンタルズは底堅く、バリュエーションの調整が一巡すれば反発の余地はあるとの見方もあります。
イオン:過去最高益でも株価は調整局面
イオン(8267)もまた、業績好調にもかかわらず株価が冴えない状況が続いています。1月9日には前日比で一時8%超の急落を記録しました。
きっかけは1月8日に発表された2025年3〜11月期決算です。連結営業利益は前年同期比23%増の1447億円と過去最高を更新しましたが、市場では「材料出尽くし」と受け止められました。特に、GMS(総合スーパー)やスーパーマーケット事業で価格戦略を強化した結果、利益率が低下した点が懸念材料となっています。
2026年2月期通期では純利益を前期比2.2〜2.6倍の600〜700億円に上方修正しており、ツルハホールディングスの子会社化による成長期待もあります。しかし、アナリストのコンセンサスは「中立」にとどまり、平均目標株価は1814円と現在の株価を約17%下回る水準です。PERも東証プライム市場の平均(16.3倍)や小売業の平均(20.0倍)を大きく上回っており、割高感の解消が課題です。
注意点・今後の展望
衆院選後のシナリオ
過去のデータでは、自民党が議席数を増やして過半数を確保したケースで、選挙後3カ月間に日経平均は平均13%上昇しています。マネックス証券の試算では、与党勝利のメインシナリオが実現した場合、年末の日経平均は5万9446円との見通しも示されています。
ただし、選挙が終われば株価は選挙以外の材料に左右されやすくなります。特に注意すべきは日銀の追加利上げの可能性です。早期の追加利上げが現実味を帯びれば、株式市場にとって最大の波乱要因になるとの指摘があります。また、米中関係の動向や円安の持続性も引き続き重要な変数です。
丙午の格言と年間見通し
2026年は丙午(ひのえうま)の年にあたり、「辰巳天井、午尻下がり」という相場格言があります。過去4回の午年の日経平均の平均騰落率はマイナス6.7%と、十二支の中で最悪です。ただし、上昇2回・下落2回と勝率は五分五分であり、格言だけで相場を判断するのは危険です。
まとめ
日経平均株価は衆院解散をきっかけに1月前半に急騰しましたが、投開票を目前に控えた現在は踊り場に入っています。OLCは決算失望とファンドの売却圧力、イオンは好決算にもかかわらず割高感の修正と、それぞれ異なる理由で停滞感が漂っています。
投資家にとっては、2月8日の衆院選の結果がまず最大の注目ポイントです。与党の議席確保状況によって、選挙後の相場展開は大きく変わります。短期的な値動きに惑わされず、選挙結果と日銀の金融政策、そして個別企業のファンダメンタルズを総合的に判断することが重要です。
参考資料:
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