日経平均961円安、協調介入警戒で選挙は買いにブレーキ
はじめに
2026年1月26日、東京株式市場で日経平均株価が大幅に反落しました。終値は前週末比961円(1.79%)安の5万2,885円となり、下げ幅は一時1,100円を超える場面もありました。
急落の背景には、日米協調介入への警戒感の高まりがあります。円相場は前週末の159円台から一時153円台まで急騰し、わずか数日で5円以上の円高が進行。輸出関連株を中心に売りが広がりました。
衆院解散を控え、市場では「選挙は買い」のアノマリー(経験則)が意識されていましたが、協調介入懸念という予想外の材料がこの流れにブレーキをかけています。
日経平均急落の全体像
26日の市場動向
26日の東京株式市場では、東証プライム市場の値下がり銘柄数が88%に達し、ほぼ全面安の展開となりました。日経平均寄与度では、ソフトバンクグループとファーストリテイリングの2銘柄だけで約247円押し下げる結果となりました。
自動車やメガバンクなど主力大型株に売りが集中。機関投資家が買い持ち高を圧縮する目的で売りを出し、全体相場を押し下げました。
業種別の明暗
輸出関連セクターが軒並み下落する一方、円高メリット関連株は堅調でした。上昇したのはメルカリ、ニトリホールディングス、良品計画などの内需・輸入関連銘柄。花王やニチレイなど生活必需品セクターも買われました。
非鉄金属セクターでは住友金属鉱山、古河電工、DOWAホールディングスなどが上昇。円高による輸入原材料コストの低下期待が支えとなりました。
急速な円高進行の背景
日米レートチェック観測
1月23日、円相場は劇的な動きを見せました。日銀の金融政策決定会合後、植田総裁の会見中に円相場は一時159円台まで円安に振れましたが、その後急激に反転。ニューヨーク時間には155円台まで急騰しました。
市場では日本政府・日銀が為替介入の準備段階である「レートチェック」を実施したとの観測が広がりました。さらに、米国当局も同様の動きを見せた可能性があるとして、日米協調での為替介入への警戒感が急速に高まりました。
週末を挟んだ思惑の拡大
週末の間に協調介入への思惑が広がり、26日の東京市場では153円台後半まで円高が進行。先週末から5円以上の円高となり、輸出企業の収益悪化懸念が一気に高まりました。
為替ヘッジをしていない外国人投資家にとっては、円高は日本株投資のリターンを押し上げる要因ですが、急激な相場変動は不確実性を高め、リスク回避の売りを誘発しやすくなります。
「選挙は買い」アノマリーへの影響
半世紀続いた経験則
株式市場には「選挙は買い」というアノマリーがあります。衆議院の解散総選挙が行われると株価が上昇するという経験則で、1969年以降に行われた18回の解散総選挙のうち、2024年を除く17回で日経平均は上昇してきました。
このアノマリーの背景には2つの期待があります。第一に、選挙戦で各党が打ち出す経済政策への期待。第二に、選挙後の政権安定への期待です。2005年以降の5回の選挙では、投開票前の7週間で外国人投資家が平均約3兆円の日本株を買い越してきました。
2026年衆院選の日程
高市早苗首相は1月14日、通常国会冒頭での衆議院解散の意向を表明しました。衆議院選挙は「1月27日公示、2月8日投開票」の日程で調整が進んでいると報じられています。解散から投開票までの期間は16日となり、戦後最短記録を更新する見通しです。
アノマリーに陰り
今回の衆院選でも「選挙は買い」が意識され、解散発表後は株価上昇への期待がありました。しかし、日米協調介入という予想外の材料が浮上し、この流れにブレーキがかかっています。
2024年10月の衆院選では、政局の不透明感から「選挙は買い」のアノマリーが崩れ、日経平均は解散前日比3%安で終えました。今回も同様のリスクが意識されています。
輸出関連株への打撃
自動車セクターの苦境
円高の進行は輸出関連企業の収益に直接的な打撃を与えます。特に自動車セクターは為替感応度が高く、1円の円高で大手自動車メーカーの営業利益は数百億円規模で変動します。
26日はトヨタ自動車、ホンダなど主力自動車株が軒並み下落。円高・ドル安が続けば、2026年3月期の業績見通しの下方修正リスクも意識されます。
ハイテク・半導体への影響
半導体関連銘柄も売られました。ソフトバンクグループは日経平均を大きく押し下げる要因となりました。輸出比率の高いハイテクセクターは円高の影響を受けやすく、海外売上高の円換算額が目減りします。
今後の見通しとリスク要因
介入実施の可能性
片山さつき財務相は「為替の過度で無秩序な動きに対しては断固として措置を取る」と発言しています。市場関係者の間では、現時点の警戒度は5段階中の第4段階に相当するとの見方があります。
ただし、米国が協調介入に実際に参加するかどうかは不透明です。「レートチェック」止まりで、実弾介入には至らない可能性もあります。
選挙後のシナリオ
選挙結果も株式市場の行方を左右します。自民党が過半数を確保するメインシナリオが実現すれば、経済・成長戦略における大胆な政策実行への期待から、株価は持ち直す可能性があります。一部の予測では、2026年末の日経平均は5万9,000円台を想定しています。
一方、与党が議席を減らす展開となれば、政局の不安定化が懸念され、株価の重しとなる可能性があります。
複合的なリスク
市場が直面するリスクは複合的です。日米協調介入の可能性、衆院選の結果、日銀の追加利上げ観測、米国の金融政策動向など、複数の不確実性が重なっています。
ボラティリティ(価格変動性)が高まりやすい環境であり、短期的な相場変動に翻弄されないよう注意が必要です。
投資家への示唆
ポジション管理の重要性
急激な為替変動と株価下落は、ポートフォリオ全体のリスク管理を再点検する機会です。特にレバレッジをかけたポジションを持っている場合は、証拠金維持率の低下に注意が必要です。
輸出関連株を多く保有している投資家は、円高リスクへのエクスポージャーを確認すべきでしょう。
円高メリット銘柄に注目
円高局面では、輸入コストの低下がメリットとなる銘柄に注目が集まります。内需セクターや小売、食品、生活必需品などが該当します。ポートフォリオの分散という観点からも、セクター配分の見直しを検討する価値があります。
選挙後を見据えて
過去のデータでは、選挙から半年経過後の日経平均は上昇・下落まちまちの動きとなっています。株高の期間は比較的短く、選挙が終われば株価は選挙以外の材料に左右されます。
選挙結果に一喜一憂するのではなく、企業業績や経済のファンダメンタルズを冷静に見極めることが重要です。
まとめ
日経平均の961円安は、日米協調介入への警戒感が急速に高まったことが主因です。円相場は週末を挟んで5円以上の円高が進み、輸出関連株を中心に売りが広がりました。
半世紀続いてきた「選挙は買い」のアノマリーは、2024年に続き今回も試練に直面しています。協調介入の可能性、衆院選の結果、日銀の金融政策など、複数の不確実性が重なる中、市場は神経質な展開が続く可能性があります。
短期的な相場変動に惑わされず、リスク管理を徹底しながら、中長期的な視点で投資判断を行うことが求められます。
参考資料:
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